メディアグランプリ

沈まない太陽と欠けない月の教室


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:小川大輔(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
その教室には太陽と月がいた。
 
僕の住んでいる場所からすぐ近くの書店へ講義を受けに行く。
「こんにちは」
「ああ、小川さん、こんにちは」
いつも丁寧で親しみやすい店長さんに名前を覚えてもらえてちょっと嬉しい。
自分の部屋から近いのをいいことに、いつも講義開始ギリギリの時間に席に着く。そこはとても書店の中とは思えない空間。全国にある店舗が画面越しにつながり、東京からの講義を受けれるという環境。遠く離れた場所にいるのにモニター1枚を通して同じ時間を共有できることに不思議な感覚を覚えながらも毎回欠かさず出席した。東京から僕たち受講生に文章を教えてくれる女性講師を太陽、アシスタント的な役割に徹している男性を月のようだなと感じながら。
 
僕はこのライティング・ゼミというものが天狼院書店で行われていることは、ずいぶん前から知っていた。近所に住んでいるので天狼院はよく利用させてもらっていたし、他の通信講義に申し込んだこともある。ライティング・ゼミの存在も自然と耳に入ってくる。でも、興味はわかなかった。
興味がなかったのになぜ申し込んだのか、僕がなぜ文章を習ってみようと思ったのか。理由は単純だ。何かを始めたかったからである。
もう少し掘り下げると、小学生の頃、普段ほとんど僕を褒めない父が言ったことが頭の片隅に残っていたからだ。
小学校の夏休み、あと数日で休みも終わるというのに僕は宿題を当然の如くやっていなかった。そのためプロ野球を観に連れていってもらう約束をしていたのに「宿題を終わらせなければ連れて行かない」と父に絶望的なことを言われた。当時の僕にとってこのセリフは将棋の「王手」と同じ意味を持つ。さすがに追い詰められすぐに宿題に取り掛かる。その時残っていたのが作文だ。楽しい夏休みのラスボスとも言える存在かもしれない。そのラスボスをイチローの足の速さもびっくりの、ものすごいスピードで終わらせたらしい。「もう終わったのか」と驚かれ、一緒に言われたのが「文才があるのかもな」という言葉である。曖昧な記憶ではあるが、作文をスラスラと用紙いっぱいに書き終えたことと、父が「文才があるのかもな」と言ったことは、はっきりと覚えている。
これまでも回数は少ないがなぜか文章を褒められたことがある。ご覧のとおり、実際は全然文才があるとは思えないが……。
無謀にもそんな小さな出来事を都合良く勝手に解釈し「じゃあ、自分の文章力ってどうなんだろう?」と疑問を抱いてしまった。
そして「自分を知るため」にライティング・ゼミを始めることを選んだのだ。本当に気の向くままになんとなく。
 
第1講目の講義で強制ではないが課題提出が毎週1回、4ヶ月で計16回あるという衝撃的事実を知ることになる。
「16回!?」
課題があるのは事前に知っていたが、講義回数と同じ8回だと思っていた。根性のない脆弱な精神の僕は2週間に1回なら何とかなりそうだなと勝手に思っていたため、すでに不安しかない。16回も出せるのか? でももうやるしかない。心の中では半泣きだ。
 
文章を書く上での心構えやスタンスから新たな文章手法まで講義の中では様々なことを教えてもらった。僕は課題提出の際に決めていたことがある。それは「その回の講義で教えてもらったことを文章に反映させる」ということ。いくら教えてもらっても、使えなければ意味がないからだ。
「これでいいのかなあ」といつも悩む。この文章を書いている今だってそうだ。そして完成させた課題をモヤモヤしながら「オラァッ!」と覚悟を決めて提出する。それを繰り返した。
 
そんな受講生の心境を熟知しているのだろう。
女性講師は講義の度に文章の技術以外にもこちら側の気持ちを汲み取るような言葉を投げかけ続けてくれた。まるであたたかな太陽のように。
男性も講師のアシストに徹しながら同じように講義中やSNS上で受講生をフォローし続けてくれた。あたかもそっと光を当ててくれる月のように。
 
何度も何度も励ましてくれていた。エールを送ってくれていた。
 
そんなお二人のご指導とお気遣いのおかげで、ヘタレの僕も講義を受け終えることができ、なんとか課題も16回目が提出できそうである。
自分の文章力に変化はきっとあった。
16回の課題の中で、「不特定多数の第三者に最後まで読んでもらえる、わかりやすく面白い文章」を心がけながら、特定の人物へ向けた文章を提出したことが何度かある。その人達が僕の文章を読み、とても喜んでくれたからだ。ライティング・ゼミを受けていなければ、その人達の心の振れ幅はそこまで大きくはなっていなかったはずだ。それは実感として感じることができる。
 
「沈まない太陽」と「欠けない月」。
川代先生と平野さん。
 
「私たちが全力でサポートするから最後まで頑張ってついてきて!」
そんな思いがひしひしと伝わってくる講義。そして提出した課題のフィードバックにも二人のお人柄は表れていた。なぜなら、どんなフィードバックにせよ、まずはこちらを気遣う言葉が使われていたから。そこから「この課題はここがよかった、ここが気になった、こうすればもっとよくなる、この文章に対してこう感じた」と具体的な指摘やアドバイスが続く。
「諸行無常、盛者必衰という言葉があるけど、この太陽と月はきっと沈まないし、欠けないんだろうなあ」そんなことを感じながら講義を受けていた。
受講生を思った講義を展開して下さったこと、感謝します。
 
お二人ともびっかびかに輝いていた。
そこに商売臭さは一切感じなかった。
お二人のおかげでもう少し文章と向き合ってみようと思うようになった。
 
この4ヶ月で僕に芽生えたもの、それは文章への興味である。「自分を知るため」にライティング・ゼミを始めたと述べたが、最初は自分の文章力がどんなものか知りたかったからだった。下手くそな文章だけど変化はきっとあった。でも、同じくらい大きな収穫は「自分は文章に興味がある」ということがわかったことだ。
太陽と月に照らしてもらったおかげで。
 
さあ、この完成した文章も覚悟を決めて提出することにしよう。
オラァッ!!

 
 
 
 
***
 
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2022-08-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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