メディアグランプリ

自己肯定感を爆上げする極秘オペレーション


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記事:服部真子(はっとりなおこ)(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「ただいま戻りました」
 
私が帰宅した時の独り言だ。一人二役で執事とお嬢様をやっている。変わった人だね、と思うかもしれないが、これは私が自己肯定感を取り戻す儀式なのだ。
 
自己肯定感という言葉が流行り出したのはいつからだろう。特に女性向けのコラムでこの言葉を見ない日はない。何かにつけてセルフラブとか、ありのままの自分を好きになりなさい、という記述をみる。それができないからみんな困っているのではないか。
 
私の友人に、ものすごく自己肯定感の高い子がいる。彼女は20代から30代にかけて徐々に体重を増やし最終的に10キロくらい増量した。しかしその事実ですら、彼女を凹ませることはできない。彼女が結婚式で読み上げた母親に当てた手紙に秘密が隠されていた。
 
「お母さんは、いつも私のことを本当に可愛いと言って育ててくれました。どんな時も美人と言ってくれたし、それが今の私を作っています」
 
育った環境は考え方に大きな影響を及ぼす。彼女の細胞には、自分は美しく大切にされるべき存在と刻み込まれている。そういう人には、その人のことを肯定してくれる人がどんどん集まってくるのもよくわかる。まれに彼女を侮辱するような人がいても、笑止千万と受け流している。強い。
 
私は、親に貶されたわけではないが、褒められて育ったわけではない。自分を好きになりたくても、嫌いなところばかり見えてきてしまう。全部親のせいにして諦めていいものだろうか? 否、私も自己肯定感を爆上げしたい! そう思い立ち実験を始めた。その名は「なりきりお嬢様大作戦」だ。やることは簡単。自宅に帰った瞬間から自分を大切なお嬢様として扱うのだ。そしてお嬢様として振る舞う。誰かと一緒に住んでいる人は家の外に出たタイミングで発動させるのが良いだろう。人にお嬢様扱いしてもらうにはサービスチャージが発生する上に、かなり嫌なやつだと嫌われるのがオチなのでお勧めしない。
 
ドアを閉めた瞬間にこの作戦は始まる。執事は靴をきれいに揃えて、上着の埃を払う。お嬢様が召し上がるお料理はきちんとお皿に盛りつけ、カトラリーも用意する。お嬢様が不快じゃないように部屋はきちんと掃除し、お風呂のお湯も湧いている。お嬢様は執事がしてくれたことに一つ一つ感謝しながら優雅に食事と風呂を済ませ寝支度をする。仕上げにリラックス効果のあるルームスプレーを一吹きしてベッドに入る。
「おやすみなさいませ、お嬢様」
「おやすみなさい、セバスチャン」
 
オペレーションを発動させないで帰宅するとどうだろう。靴は脱ぎっぱなし、明日揃えればいいや。洗い物が面倒だから、惣菜はパックのままでいいや。シャワーだけでいいや。化粧だけ落としてとりあえず寝られればいいや。と、自分をどうしても蔑ろにしてしまう。そういう日ももちろんあるが、それが本来の自分だと脳が認識していると、「どうせ私は……」と自己肯定感は下がる一方だ。
 
ここで、親や他人から認めてもらうということについて言及したい。人に認めてもらうと、確かに自己肯定感は上がる。しかし、褒め言葉ジャンキーになるのは危険だ。褒め言葉がもらえないと、親が上司が友達が認めてくれないから私は自信がもてない、という風になってしまう。私の友人のように細胞に染み渡っている場合を除き、人に褒められることで自己肯定感を上げようとするのは危険なのだ。人にどれだけ褒められても「本当の自分はそうじゃないのに」と思っていたら元も子もない。だからこそ「なりきりお嬢様作戦」は有効なのだ。誰にも知られずに無料でできるのもポイントが高い。
 
自分という人間を一番見ているのは自分だ。「本当の自分」は、人が見ていない時の自分と感じる人が多いだろう。この作戦は人に知らせず、人が見ていないところでやることで効果を最大に発揮する。人知れず発動することで、本来の自分は、お嬢様のように大切な存在なのだと脳に擦りこまれていく。人の評価は気にしなくていいのだ。こんなのはお嬢様と言えないとか、外の価値観を自分の中に持ち込む必要はない。楽しくやれる範囲で、自分が大切な人にするように自分に接すれば良いのだ。
 
繰り返しになるが、極秘を貫くことが大事だ。敵陣営に密かに紛れ込んだ姫君のような設定にしてみてはどうか。誰にも見せず心の中に聖域を持つのだ。
 
ここまで私の秘密を披露してしまったから、今日の設定をこっそり教えてしまおう。「お嬢様の休日大作戦」だ。足を机に上げて、お腹の上にノートP Cを載せてビール片手に原稿を書いている。お嬢様だって時にはお下品なことしてみたいもの。
慣れてくるとこれでも自己肯定感は爆上がりさせることができる。
 
 
 
 
***
 
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2022-08-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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