メディアグランプリ

娘を呪縛から解き放つために。感染源は誰だ!?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:宮越浩子(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 

「はぁ……勉強しなくちゃ」
溜息混じりに中学生の娘が呟く。いつの頃からか、このセリフを1日に何回も聞くようになった。家族は誰もがもう聞き飽きたと感じるぐらいに、娘が口を開くと出てくるセリフである。
直前まで勉強していて、やっと休憩に入ったかと思うと「勉強しなくちゃ」と言う。聞いている方としては思わず笑ってしまうのだが、当の本人はすごく真剣な表情で「だって全然勉強してないんだもん」と話す。
 
「そんなにもプレッシャーをかけられているの?」と思った方もいらっしゃるかもしれない。だが、わが家では、私たち親が子どもたちに向けて放出する「もっと勉強した方がいい」というオーラは、目に見えるものも、目に見えないものもおそらくかなり少ない。
私たちがそういったスタンスであるのは、受験戦争がそれほど過酷ではない地方に住んでいることも大いに関係していると思う。また、受験生のやる気に火をつけるような中学校の先生の言葉を、娘が真正面から受け取り、1日の限られた時間の中で彼女なりの努力をしていることを感じているからでもある。
 
それなのに「全然勉強していない」と常に言いまくり、「はぁ……勉強しなくちゃ」と繰り返し呟く姿は、まるで重い呪縛にかかっているかのようだ。「また勉強の呪縛が始まっちゃったね」と茶化すと見せる娘の笑顔に安心しつつも、ちょっと心配になってしまう。
 
そんな娘と会話をする中で、気付いたことがある。
「今日は3時間勉強しなくちゃいけないのに、まだ2時間半しかやれていない」
「決めた時間は勉強したけど、社会は今日はやれなかった……」
「目標のところまで終わったけど、まだまだしなくちゃいけないことがたくさんあるから、全然勉強やれた気がしない」
そう、そうなのだ。お気付きの通り、彼女の目にはいつも”やれたこと”ではなく”やれなかったこと”だけが映ってしまっていた。
 
そして、娘の思考パターンに気付いた時、「あちゃー」と思った。なぜなら、私自身の思考パターンにうりふたつだと感じたからだ。
 
勤務時間にどれだけモリモリ仕事をやっつけても、終わらせたかった業務を何かひとつ完了できなかった時に「あぁー仕事が終わらなかった……」と、まるで今日一日何の仕事もできなかったかのような気持ちになる。そして、その仕事を持ち帰り、「しなくちゃいけない仕事が全然進んでないから、今からやらなくちゃ」と溜息混じりで家族に話す。
子どもが小さい頃からずっとそんな日々を送っていたように思う。
 
「思考パターンは伝染する」と脳科学に関する記事で目にしたことがあるが、そんな思考の母親と毎日接してきた娘の思考は、本当に私にそっくりな状態になっていた。
「もっと勉強した方がいい」というオーラをあまり放たず、子どもが負担に感じるような圧は決してかけていないだろうと、自分をちょっとだけ誇らしく思っていたことが何とも恥ずかしい……。がんばっているにも関わらず、娘が自分自身のがんばりを認められない状況にあるとしたら、遥かにたちが悪い。
 
”やれたこと”を「やって当然のこと」と捉え、”やれなかったこと”に目を向けてしまう。
長年、手放せないままだった思考パターンだが、意識的に視点を変えて捉えてみれば、必ず”やれたこと”がそこにはあるはずだ。そこで、娘と一緒に”やれたこと”に目を向け、認められるよう意識していくことにした。
 
「今日は期限を守って納得のいく形で仕事を完了できた!よくやった、私」
「この3つの業務を勤務時間内に処理できたら、今日は合格点!」
「今日は忙しかったけど、その中で2時間半集中して勉強できた!」
「決めた範囲の勉強をちゃんと終わらせられた。がんばったー!!」
 
意識し始めたばかりの頃は難しさを感じたが、日を重ねるごとに私も娘も”やれたこと”に自然と目が向くようになり、自分で自分を労ったり褒めたりできるようになってきた。
 
”やれたこと”を”やって当然のこと”と捉え、”やれなかったこと”だけに目を向けてしまう。
私や娘に限らず、そんな思考の癖をもつ方がもしかしたら案外いらっしゃるのではないだろうか。
 
どんな小さなことであっても”やれた自分”に目を向け、自分を承認する機会を意識的に設けてみる。自分のがんばりを認め、元気が出るような応援の言葉を自分にかけてみる。
そういった「自分とのコミュニケーション」が習慣になったとき、きっと【勉強の呪縛】からも解き放たれ、自分にやたらダメ出ししてしまうことなく、自分を認め、応援できるような思考パターンを手に入れることができるのだろう。そんな思考パターンを、大切なわが子に伝染させられる親でありたいと思う。
 
みなさんにも、今日からぜひ1日の終わりに振り返ってみてほしい。
今日、自分のどんなところを褒めてあげられそうですか?

 
 
 
 
***
 
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2022-09-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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