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メディアグランプリ

40代からのインタビューイ初体験記


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:田盛稚佳子(ライティングゼミNEO)
 
 

2021年の秋、私はあるダーツの的になることを決意した。
よっしゃ、どんな矢でもやって来い! 絶対、受け止めてやるー!!
それくらいの勢いだった。
果たして、その的とは一体何か?
「インタビューイを募集します!」
ある日、目に飛び込んできた告知文が、そもそもの始まりだった。
直感的にやりたい! やってみたい!! と思い、たいして詳細も確認せずに即応募してしまったのである。
インタビューイというのは、「インタビューをされる人」のことである。
 
私が所属している派遣会社のホームページには、派遣社員がメインとなるインタビュー記事が毎月1名だけ定期的に掲載される。これは誰でも閲覧できるオンラインマガジンである。
「病気を乗り越えて、好きな仕事に就くことができました」
「子育てをきっかけに、新しい働き方を見つけました」
など、インタビューイの経験も性別問わずさまざまであり、読みごたえのある内容なので、アップされるのを毎月楽しみにしていた。
一方、派遣登録をしたことがない初めての方に向けても、
「当社ではこういう人たちが派遣社員で活躍しています! あなたも登録しませんか!」
と自然に登録を促す方向へ持っていく要素も持っているので、派遣スタッフとして働き始めた頃から、欠かさず読んでいたコンテンツでもあった。
そして読んでいるうちに、こっそりと思い始めた。
「いつか私も出てみたい」と。
 
このインタビューは基本的に直接会って取材されることが前提のため、これまでは首都圏で働いている派遣スタッフに限られていた。
しかし、コロナ禍によってリモートでの取材が主体となり、首都圏のみならず全国で活躍しているスタッフも選択肢として入れてもらえるようになったのである。
それが冒頭の「インタビューイを募集します!」の告知文だったのだ。
これって、チャンスじゃん!
私にはどうしても応募したい理由があった。
当時、WEB天狼院書店のホームページ内で人生初の連載を持っていており、本業の傍ら記事を書いていた。主にZoomでインタビューをして、それをもとに原稿を書いていたのだが、テンポよく書ける時とそうでない時の波がかなりあり、正直悩んでいた。
私は、そもそも新聞記者でもなければ、出版業界にいたこともない。
ましてや、取材されるような大物でもなければ、有名人でもない。
取材のテクニックを学ぶという単発の講座を数回受講したことがあるとはいえ、経験値は一般的な記者の足元にも及ばないほど低いのである。
要は浮上するきっかけが欲しかったのだ。どちらも経験することができれば、自分の経験値が少しは上がるのではないかと目論んだのである。
 
応募の際に事前アンケートに、仕事以外でやっていることはありますか? という質問があった。
私は迷わず「今まさにライティングの勉強中で、それが実際仕事にもすごく活きています!」と熱量多めで書いた。
今考えれば、ライターさん相手に「私、ライティングの勉強をしているから、取材してみてくださいよ!」と猛アピールするなんて、かなりのチャレンジャーだったと思う。
それでも、現役のライターさんが普段どういうインタビューをしているのか、どういった切り口で攻めてくるのか体感してみたいという好奇心のほうが俄然強かったのである。
だから、自分が的になってみて、いろんな角度から飛んでくるであろう質問の矢をバシッ! バシッ! と受け止めてみたかったのだ。
 
意気込んで応募してみたものの、それから一向に連絡は来なかった。
「あれ? もしかして、ライティングのことを書いたのがマズかったのかな……? 普段は秘書兼事務をして、アフターファイブは飼い猫と楽しく暮らしています! というような、もっと典型的な感じのほうが、通りやすかったのかな」
と少し後悔した。
 
やがて年を越し、本業が年度末に近づいて慌ただしくなってきた頃、見覚えのないアドレスから一通のメールが来た。
「この度はご応募いただき、ありがとうございました。ぜひ、田盛様にインタビューへご協力いただきたくご連絡いたしました。編集担当とライターのスケジュール確保のため、ご希望をお伺いしさせていただきたいと思います」
おおっ! 来た来た! ついに来た! 実は忘れてたけど、やっと来たー!!
念願のインタビューイの枠に入れてもらうことができたのである。
そのメールだけで、まだインタビューすらされていないのに、毎週の課題提出にさらに力が入った。あれだけ落ち込んでいた私はどこへやら。まったく、呆れるほどに単純な性格である。
 
そして、いよいよインタビュー当日。
いつもより丁寧にメイクをしてスタンバイした。普段どおりの私でと思いつつも、なぜかじわりと手汗が出てくる。落ち着け、私!
とりあえず、お茶をゴクリと一口飲んで、入室ボタンを押した。
ピコンという音と共にZoomがつながった瞬間、ドキッとした。画面に現れたのは、私も含め5人全員女性だった。女性ばかりで、ちゃんと話せるだろうか……。
「REC」の赤い表示を見ると「撮られている!」という緊張が増しそうで、ドクンドクンという心音まで録音されているような気がした。
できるだけ赤い表示を見ないようにして、自然体を心がけた。
実際話してみると、年代が近いこともあり、初めてとは思えないほどスムーズに取材が進んでいった。編集者も含めて、画面の向こうでうんうんと相槌を打ってくれたり、ちょっとしたことにも笑ってくれている。いつの間にか、こちらも手で押えないと目立つほど大きな口を開けて心から笑っている自分がいた。
引き出すのが上手いなぁ、さすがプロ! と冷静に見ながら話していると、あっという間に取材時間は終わった。緊張はしたけど、楽しいと思える時間だった。
きっと一発OKな原稿が上がってくるだろう。私はワクワクしながら待っていた。
 
ところがである。上がってきた最初の原稿を見て、私は驚いた。
「うそ、ちゃんと伝わっていない……」
自分なりに丁寧に説明したはずの仕事内容と思いが、あらぬ方向に行っていたのである。
読む人によっては、「自分はこんなに仕事を頑張っているのに、評価されていないのは、ある人のせいだ」とも取れる内容だった。
マズイ、マズイ! このまま掲載されたら、今の職場でやっていけないじゃないかと慌てた。画面を通して楽しくざっくばらんに話をしたのに、こうも伝わらないものなのか。正直、残念な気持ちになった。私の説明が下手くそだったのだろうか……。
 
しかし、その時にふと思った。
ということは、私が今までにインタビューした方も部分的な情報をもとに、勝手にストーリーを作り上げてしまっていたのかもしれない。些細なことを誇大化して、「ほ~ら、この人こんなにすごいでしょう?」とアピールするように書いてしまっていたのではないか。
たしかに思い当たることがあった。私が過去に記事を事前に本人に確認してもらったところ、「うーん、書きたい内容はわかるんですけど、ここまで大袈裟に書かれると困ります」
と指摘されたことがあったからである。
それを思い出して、私は猛反省した。
 
インタビューされる立場になってみて、初めてわかったのだ。
誇張されることのつらさ、気恥ずかしさ、もっと自然体な私を書いてほしいという気持ちが。
先方から送られてきた原稿を読み込んでいると、ついつい熱が入ってしまい、初稿のあらゆる箇所に赤字で修正を入れまくった。
極端な話、今後の仕事に少しでも支障が出そうだと思われる箇所は、全削除してしまったくらいである。
そして、ちょっと申し訳ない気持ちで先方へと送り返した。
そこから、またしばらく編集者からもライターさんからも返信がなかった。一ヶ月経っても、何の音沙汰もない。修正原稿が上がってくる気配すらないのだ。
あーあ、ちょっと出しゃばりすぎちゃったかな。
ライティングを学んでちょっと調子に乗って修正を入れたことで、15年以上のベテランライターさんを怒らせてしまったのではないか。だから掲載に至らなかったのではないか。
でも、どうしても納得いかないものが活字として世の中に出てほしくないことも事実だった。自分に嘘をついてまで、記事にされたくはなかった。
仕方ないか……。
 
そう思いながら2ヶ月ほどしたある日、例のアドレスからメールが来た。
「大変お待たせしました! 8月より記事を掲載します。修正した最終原稿とお写真をお送りしますので、念のためご確認ください」
ええっ!? 本当ですか? 思わず聞き返した。
聞けば、他にも取材が立て込んでいたために、当初の掲載時期が調整されたとのことだった。
ついに、あの日の記事が掲載されることになったのだ!
ライターさんは怒っていなかったのだと思うと、安心したのと同時に、スミマセンという気持ちにもなった。
 
実際に画像も組み合わせて出来上がった記事をスクロールしてみると、なかなかのボリュームだった。
わぁ、本当に記事になってる。これをいろんな人が見てくれるのかと思うと、なんだか自分が書いた記事よりも感慨深かった。私が修正したところも、うまい具合に繋げてくださっていたのも嬉しかった。
その記事を早速、SNSを通じて友人たちに拡散した。
特に内容に深くかかわってくれた大学時代の仲間には、写真と共に掲載されたことを伝えた。
すると、いろんな反応が返って来るではないか。
「え? 仕事しながら、講義も受けてたの!?」
「2,000字って原稿用紙5枚ってことよね?」
「毎週、夏休みの宿題に追われているみたいじゃない!」
「チカコの軌跡がよくわかる記事だね。私もがんばろうって思ったよ」
「すごく頑張ったのがわかった。やっぱ、行動力があるね」
学生時代から長く付き合ってきて、お互いよく知っているはずの仲間や身内ですら、
「そこまで気合い入れてやっているとは思っていなかった」というのが大方の感想だった。
でもこの記事を通して、より深く「わたし」というものを知ってもらえたことで、友人たちとも新しいネタが広がりそうな気がしている。仲間にもライターさんにも本当に感謝である。
 
初めは「人生が変わるライティング・ゼミ」なんて、大袈裟なネーミングだなぁと思いながら、半信半疑で受講し始めたゼミだった。
でもその後、短期の講座を含めるとインタビューをすでに5件ほどさせていただき、現在進行形のものもある。
それまで約20年、土日をオーケストラの練習だけに費やしていた私には、想像もつかないことだった。
音楽でお客さんと一体となる楽しみはもちろんあったし、最大1,800人収容できるホールの舞台で大きな拍手を浴びるという喜びは半端なく、忘れることはできない。
今はこうして、たった一人ではあるけれども、同じライター仲間と切磋琢磨し、お互いが提出した課題を読むことで
「うわ、こういう表現ってなかなかできないよね」
「こういう映像が浮かぶような描写ができるってすごい!」
「めちゃくちゃ面白い経験している人がいるー!」
と毎週笑ったり、ほろりとしたり、痛いほどに気持ちがわかったり感情的にも忙しい。
 
日本中に新たなつながりができたことで、私の人生は確かに大きく変わった。
淡々と一つの分野だけに目を向ける人生から、ゼミ生の生き方をつぶさに見ることができることにより、とても奥行きのある人生になっているのは間違いない。
そして、あの日インタビューイとして「的になった経験」は、きっとこれからも私の原点となるだろう。
いつか担当のライターさんと編集者の方にお会いすることができたら、まず謝りたい!
「ひよっこライターのくせに、偉そうに赤字ばっかり入れてごめんなさい!!」
そして、心からのお礼を言いたい。
「あの日、ただ質問するだけでなく、相手のことをどれだけ思って人柄を引き出して、それをまとめ上げるかを、身をもって教えてくださりありがとう!」と。
ベテランにはたどり着けないかもしれないが、目の前に追っていく姿がある人生は面白い。
そのベテランを決して抜けなくてもいい。
私らしいやり方で、インタビューした人がきらりと輝く術を磨いていくのが、50代へ向かっている私の目下の課題である。
この記事を読んでいただいて「じゃあ、今度は私が的になってやるわ!」と思った方、ぜひぜひお問い合わせください。きっとアナタの良さを引き出して見せます!

 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2022-09-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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