新卒は見た！社長と女性上司の不倫現場〜刺激を求めて不倫する人たち〜
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか？賞を取れるのか？プロも通うのか？〜
記事：Kasumi（ライティング・ゼミ8月コース）
「俺、見ちゃったんすよね」
本社での会議の後、新卒の男性社員が身を乗り出して口火を切る。談笑していたその場の皆が、新卒男性へと目を向けた。
「社長と〇〇さんの、不倫現場」
後輩からの突然の暴露話にその場が沸いた。
社長と女上司との不倫は、何となく「そうではないか？」と話が出ることはあったが、憶測に過ぎなかった。なのに、ここへきて新卒社員が決定的な場面を目撃してしまうとは。
上司は隣で（フォローしろぉぉぉ！）と、目で訴えてくる。
いや無理。私は目を逸らした。
この場をどう収拾すればいいか分からず思考停止しかけた私をよそに、新卒社員は興味津々に目撃情報を深く掘り下げて聞き出そうとしていた。
「不倫とか、本当にあるんですね！」（ほんとにな）
「社内では有名なんですか？」（聞くなぁぁぁ！ 答えにくいわ！）
「僕まだ童貞なんで、不倫とか過激すぎて」（君、なんでそれ今カミングアウトした？）
井戸端会議にポンと落とされたスキャンダル情報に、その場のメンバーは興味津々だった。社長の事も女性上司の事も、あまり知らない新卒社員ばかりだったからかもしれないが。
ドラマでも漫画でも、世の中には不倫のストーリーが溢れている。みんな平凡な日常に刺激が欲しいのだ。でも、刺激的なストーリーはフィクションだからこそ心置きなく楽しめる。実際には身の破滅を招くことが多いのではないか。
ジャパン・サックスサーベイによると、2020年には男性の不倫経験者は約7割、女性も半数近くが不倫をしているという調査結果が出ている。意外と多い。
けれど現実には周りで不倫話も聞かないし、自分も経験はない……と、思っていたらすでに社内で不倫はあったようだ。
新卒社員は、朝、女性上司の部屋から社長が一緒に出てくるところを目撃した。
前日夜に社長が労いを兼ねて地方の女性上司の担当エリアまで「出張」してきたため、新卒社員も交えて一緒に飲んでいたのだ。翌日は朝イチで外回りの予定があり、新卒社員は女性上司のマンションまで車を走らせ駐車場で待っていた。もちろん、女性上司に連絡もしている。が、既読にはならなかったらしい。出てきたら声をかけようと車内で待っていたところ、「現場」を見てしまったのだ。
女性上司の社宅マンションの部屋から出てきたのは、女性上司……だけではなく、社長も一緒だった。時刻は朝の7時半。どう考えても「クロ」である。この状況を見られての言い訳は難しい。
幸い（？）にも、新卒社員はこうした事態の目撃にも眉をひそめる事もなく、むしろ面白がっていたのでそこは良かったとは思う。
けれど代わりに、光の速さで社内に不倫の噂が広がった。
個人的には、周りに迷惑をかけた責任さえきっちり取るなら、不倫する本人たちの好きにすれば良いと思っている。ただ、不倫している人たちは自分達の世界に酔っていて周りが見えていないのかもしれない。
不倫や浮気をするとき男女で感覚が違うという研究結果もあり、単に男女の「ニーズ」が合致しているとも捉えられる。ただ、不倫の最中ではそんな冷静な分析など全く響かないのだろうけども。
男の浮気は本能から、という。家庭がうまくいっている時ほど安心して、他へも種を残そうとする「雄の本能」が働くのだそうだ。女にとっては迷惑極まりない。
世界に目を向ければ一夫多妻制の国もあり、日本もかつてはそうだった。男性の本能として多方面に種をばら撒くよう遺伝的にプログラムされているのだから、男の浮気は生まれ持った本能だと言われれば「そういうものか」と思うしかないのかもしれない。
もちろん知識としてそれを解っていても感情までは納得させられないのが女なのだが。相手に愛情があればあるほど難しい。
個人的には同時に複数の女性と関係を持ちたいなら、それに見合うだけの器と経済力がなければ話にならないと思っている。子供ができたら逃げるつもりなのであれば、大人としても雄としても未熟で身勝手なだけだと思うのだ。
一方、女の浮気はパートナーと上手くいっていない時に起こりやすいと言う。寂しさを埋めるためや、マンネリ化の刺激を求めて浮気に走るそうなのだ。心の奥底には「本当はパートナーに一番愛されたい」という願望が見え隠れしているように思う。
男性が浮気に走る「本能の性質」を知っていれば、うかつに踏み込んではいけないとブレーキがかかりそうなものだが、刺激を求めている女性は聞く耳を持たない。
相手のいる男性へのイケナイ刺激に「酔える」のが不倫や浮気ができる女性なのだそうだ。
社長と不倫をしていた女性上司は、その後会社を辞めた。社長との不倫関係がやはり上手くいかなかったらしい。新卒から入社して30半ばまで勤めた会社を不倫の末の失恋で辞めていったというのは、何とも言えない。
社長はというと、グループ会社の社長にも不倫がバレてクビになった。社長の娘さんは今頃高校生くらいだが、父親のクビの原因を知ったらどう思うのだろう。
こうなることは周囲の社員は最初から予想していた。当人たちも予想しなかった訳ではないだろう。予想していても、甘い刺激にあらがえなかったのかもしれない。
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