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失恋した私がレズビアンに走った理由


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記事:新谷 幸菜(ライティング・ゼミ8月コース)
 
 
「はい。LGBTサポート協会の松本です」
その女性は、少し早口なハスキーボイスでそう言った。
 
私は恐らくバイセクシャルだ。なぜ「恐らく」なのかというと、今までに女性と関係を持った経験がないからだ。
しかし、小さい頃から漠然と恋愛対象は異性に限っていなかったように思う。というか、多方面に好奇心旺盛な子どもだったので、血縁関係あるなしに関わらず性の好奇心の対象にしていた。身近な性の対象としては実の兄や一つ上の従姉と裸で抱き合ったり、保育園では先導を取ってエロままごとをしていた。エロままごことはおままごとのエロバージョンである。登場人物にひたすらセックスをさせる。とんでもない保育園児である。
 
そんなエロ100%の私だったが、年を取るにつれて自ら恋愛対象を狭めていったように思う。それは「いいな」と思っても「彼女がいるから……」「結婚しているから……」「年上だから……」などという理由からだった。
しかし先日、半年間付き合った彼氏と別れた。それをきっかけに、今一度自分のセクシュアリティを振り返る機会が訪れたのだ。別れた理由は「私が彼に恋愛感情を持てなかった」という理由からだった。付き合った当初は恋愛感情はなかったが、付き合ううちに好きになると思った。でもならなかった。数あるカップルの中でもそう珍しい話でもないだろう。
しかし、ここではたと気が付いたのである。
「そもそも、私は男性に恋愛感情を持つのか?」
 
確かに「初恋」としているのは男の子だ。だがそれは周りから言われて後から「初恋」の感情を当てはめたようにも思う。社会とか関係なく自分の好みを言うと、女性の方がいい匂いがするし、柔らかくて抱き合っても気持ちがいいと思う。僅かな経験だが、従姉と抱き合った時の感覚は、すべすべしていて男性より安心感があったように覚えている。
何より私が女性と男性で最も違うのは「所有欲」だ。男性には所有欲はほぼ出ない。
しかし昔から女性には所有欲が出てしまう。小学校、中学校、高校、大学と親友と呼ぶような特別仲の良い女友達はいたが、メールのチェック、交友関係の把握、私の決めたルールに従わせるなど全員行動を制限している。大学時代の親友に至っては、勝手にピアスを開けたと言う理由で一度絶交している。女性は離れて行ってしまいそうで怖くなるのだ。歪んだ友情なのだろうか……。DVの心境が分かってしまうような、複雑な心境である。
 
話を戻そう。
「自分には女性を好きになるという選択肢もあるかもしれない」
そう思って見ると、普通に関わっていた女性も、見方が変わってくるのである。
先日も、今まで普通に話していた後輩の女の子が、とても可愛く見えてきてドギマギしてしまった。
「え、めっちゃ肌綺麗じゃない? 好み」
「ちょっと伏し目がちな感じがめっちゃ可愛い」
「私が気になるって言ったら、彼女はなんて言うだろう? 困るだろうか?」
「気持ち悪く感じるだろうか?」
「今までの関係性が変わってしまうだろうか?」
相手が話していることもそっちのけで、そんなことを考えていたのだった。
 
個人的な感覚かもしれないが、女性に「気になってる」と言うのは男性に言うより勇気が要る。まず社会的に見てOKか? と考えてしまう。これも世間体を気にする私の性格なのだろうが、恋愛を考えると社会概念にぶつかり自由な恋愛を止めてしまう。
「彼女がいるから……」「結婚しているから……」「同性だから…‥」「肉親だから……」「年上だから……」「こどもだから……」
まとわりつく言葉たちにがんじがらめになり、どうしようもなく窮屈な気分になる。
私はいつも飛び出したいと思っている。社会からではない。自分が決めた枠から飛び出したい。いい子でいる自分から脱したい。自分を制限している自分から解放されたい。
私は私から自由になりたい。いつも止めるのは自分なのだ。
 
飛び出したい、飛び出したい、飛び出したい。
と、思ってばかりでも始まらないので、私はまずレズビアンの団体に繋がってみることにした。それが冒頭の「松本さん」だ。
「まだ自分のセクシュアリティが決まっていなくて」
としどろもどろに相談した私に、
「大丈夫ですよ。まずお互いに話してみたらいいんじゃないでしょうか」
と優しく受け止めてくれた松本さん。「理解してもらえた」とそのことに安心した。
さらに松本さんは、
「12月にレズビアンのオンライン交流会を企画しているので、参加してみませんか?」
と、その団体が企画する交流会に招待をしてくれた。
そうしたわけで、まずは論より証拠。習うより慣れよでレズビアンの世界に入ってみることにしたのである。12月、どんな出会いがあるだろう? 恋愛のパートナーになろうと、そうでなかろうと、良き理解者としてお互いに支え合える仲間ができたらいいと思っている。
 
この感情の揺れ動きが彼氏と別れて寂しいからと、一時的な揺れかもしれない。
しかしこう思うことは本当だ。社会の枠にはまって男性だけ見るのはもったいないと思う。もっと色々な恋がしたい。もっと色々な人の世界と触れ合ってみたい。知らない自分の一面を見つけてみたい。それでこそ、100%私の人生を生きるということではないかと思う。
30歳の私の人生迷走記は、まだまだ続く。
 
 
一旦《終わり》
 
 
***
 
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2022-11-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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