メディアグランプリ

猫と暮らす日々の中で

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:国久旭子(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
私と猫が一緒に暮らし始めて、今年で14年目になる。不思議なもので、最初の1匹を迎えてから猫との縁ができたようだ。今では7匹の猫と私は生活を共にしている。
私の趣味は部屋のインテリアを自分好みに作りあげていくことだ。これは猫を家族に迎える以前からの趣味で、家具の配置を移動したり、カーテンやカーペットを変えたりするのはとても楽しいものだ。部屋の掃除は嫌いだが、その時々の気分でやる部屋の模様替えは無心になってやれるし、完成するとすっきりした気持ちになれる。自分好みの部屋に帰れるのが好きだった。
ところが、私好みの部屋は猫を迎えたことで崩壊していった。
猫という生き物は、愛らしい。幸せそうな寝顔は菩薩のような顔をすることがあり、ずっと眺めていたくなる。私の膝の上で溶けたように眠りこける猫はとにかく可愛い。猫の体温はあったかく、じんわりと肌に伝わってくるのが気持ち良い。だんだん重くのしかかってくる体重さえも愛くるしく、重いのに手放せない。猫を感じる生活はたまらなく幸せだなぁと思う。
しかし、猫は起きると破壊魔になる。
私のお気に入りだったカーテンには穴が開き、ところどころ光が漏れるようになった。同じくお気に入りのカーペットは猫の爪とぎになった。
猫のマイブームはカーテン上りで、とにかくカーテンにぶら下がり頂上まで登ることに夢中になっていた。この時、カーテン上りを得意気に披露する猫と、カーテン上りができずに悔しそうにカーペットで爪とぎしている猫の姿にきゅんきゅんきて、私は怒れなかった。
とりあえず、カーペットでの爪とぎを止めてもらおうと、段ボールの爪とぎを用意した。段ボールでも爪とぎしてくれるが、猫はカーペットでの爪とぎは止めなかった。カーペットは爪とぎする道具とインプットしてしまったのかもしれない。とどめとばかりにカーペットの上で猫が盛大に吐き散らかした時、私はそれまでの生活スタイルを維持することを諦めた。そういえば、私より長く猫と一緒に暮らしている友人が言っていた、「カーペットは消耗品よ」と。なるほど、友達の言う通りだ。
少し成長すると、爪とぎ場所にテーブルの脚が加わった。テーブルもいろんなテーブルを見て決めた一品だったのに、猫にはそんなの関係ない。遠慮容赦なく爪をとぐ道具にする。テーブルの脚は4本中の1本の脚だけ半分くらいの細さに変わっていった。周りには毎日木くずが散らかっていく。私は嫌いだった掃除を毎日するようになっていった。
私は賃貸物件に住んでいる。どういうわけか猫は壁で爪とぎはしない。その点は褒めたいところだが、猫は私の持ち物で爪をとぐ。ジーパンとかバッグなどもいつのまにか爪とぎの対象物にされてしまった。猫のおかげで、バッグは置きっぱなしにせず、片付ける習慣が身についてきた。
1日が終わり家に帰ると、玄関先で猫が毎日にゃああと出迎えにきてくれるようになった。部屋の中はテーブルの下に木くずが散らかっていたり、吐いた跡があったりと散々だ。私好みの部屋ではなくなったけど、猫がいるだけで不思議とあったかい気持ちになれた。私は好きだった部屋の模様替えをしなくなった。
いよいよテーブルの脚が3分の1の細さになりはじめたので、私は思いきって4本ともスチール製の脚に取り換えてみた。木製の脚がなくなったことで、木くずは散らからなくなり掃除も楽になった。猫にはポールの爪とぎを用意してあげた。今まで通りの立ち姿勢で爪をとげて満足しているようだ。
カーテン上りの流行が猫の中で終わった頃、私はボロボロになったカーテンを変えた。カーテンを変えてみたら、また家具の配置変えをやりたくなったが、この時初めて猫目線で、猫の好きそうな家具の配置をイメージしていた。
高低差のある家具を横一列に並べたら、喜ぶかもしれない。壁にピタリとつけるのではなく、部屋の真ん中に置いてみたら遊んでくれるかもしれない。
実際に設置してみると家具の裏側のべニア板が丸見えで、まったく私好みではない。家具の裏側には壁紙を張ったプラ板をつけてみた。これは今までの自分にはなかった発想だ。部屋の真ん中に置いたことで仕切りにもなる。入口から部屋が丸見えにならないので、スッキリとして見やすくなった。
肝心の猫はどう反応するだろう。気になって見守っていたら、今までは見向きもしなかった家具に設置場所を変えただけで、猫が飛び乗り始めた。階段状に設置したことで上りやすくなった事と、部屋の真ん中に置いたので、部屋中を高い場所で一望できるというのもお気に入りポイントのようだ。それからはぴょんぴょん飛び乗っては見張っている。飽きたら寝ているので、寝床の役割も担っているようだ。おかげで家具は傷だらけになっていくが、猫の気持ちに添えたのが快感だった。
それからは猫目線のインテリアをイメージするようになっていった。どうやったら猫がより気持ちよく過ごしてくれるか考えるのはとても楽しい。でも良かれと思って買った新品の猫用ベッドよりも、りんごの入ってた段ボール箱を寝床に好むこともある。猫のニーズに応えるのは難しい。猫と一緒に暮らす中で、自分好みの部屋を維持するのは難しいと諦めてしまったが、猫好みの部屋をイメージして作ってみる楽しさを知った。私の生活は猫中心だ。でも、それが面白い。
 
 
 
 
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2022-11-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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