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ワイングラスに憧れて


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:タイガーたいぞー(ライティング・ゼミ8月コース)
 
 
中学生の息子がワインを味わっていた。
 
ワイングラスを片手に香りを楽しもうとしているのか、鼻先がグラスに触れた状態で、グラスをくるくると回している。
 
お仕事中の麻薬探知犬に思えてしまい、思わず吹き出しそうになったが、ばれないようにそっと右手で口を塞いだ。
 
呼吸を整えてから「何、飲んでるの?」と聞いてみた。
 
「コーラ」と息子。
 
まだ変声期前なのに、いつもより低めのトーンだ。
 
遠くから見ると、赤ワインに見えたが、近くでよく見てみると、確かに「コカ・コーラ」だ。それとも「ペプシ」か? 「メッコール」か?
 
息子が使っていたワイングラスは、今年のハロウィン用に私が購入した「ワイングラス」であった。
 
オンラインのハロウィンイベントで、ローランド様に扮装する必要があったのだ。
 
ローランド様といえばホスト。ホストといえばお酒。お酒といえばワイン。
ひとり「連想ゲーム」をして、我が家には無かったワイングラスを購入したのだが、その後、ローランド様は、お酒を飲まないということを彼の自伝を読んで気づくことになる。「お酒を飲んで売上を上げているホストの前で、ノンアルコールで勝つ」ことを信条にしていたようだ。
 
ワイングラスが無駄になったか?
いや待てよ、ワイングラスでノンアルをお召しになっていた可能性もある。
おっと! 細かいことが気になってしまうのが私の悪い癖(©杉下右京)。
 
金髪のかつら、サングラス、そしてワイングラス。
この三種の神器で、私はローランド様になりきった。
 
 
そのイベント以降、普段ワインは飲まない私のワイングラスが、息子の所有物になってしまったわけだ。
 
そういえば、「コーヒーってどんな味?」、「ビールって苦いの?」などと聞かれる機会が増えてきたように思う。
 
大人への憧れが少しずつ芽生えてきている。今の充実した時間を楽しみたいという思いに加えて、大人がすることへの興味。とても健康的な関心ごとだ。
 
子どもだった過去の自分を振り返ってみても、「憧れ」だけで生きていたようなものだった。
 
読売巨人軍の4番打者だった「原辰徳」に憧れて、野球部に入った。
プログラミングへの興味は、ファミコンにのめり込んだのがきっかけだった。ゲーム・クリエーターへの憧れがそこにはあった。
さらに趣味のギターは、オジー・オズボーンの初代ギタリストの「ランディー・ローズ」のようになりたくて始めた。クリーム色のレス・ポール(モデル)を鳴らせば、気分だけでもランディーになれた。
 
「憧れ」が、新しいことをはじめる「きっかけ」だったように思う。
 
あの人がステキだから、私もそれを始めてみよう。
あの人のように、もっと上手になりたい。
 
「憧れ」を抱いているうちは、その人を超えることは難しいかもしれないが、レベルがどんどん上がっていけば、自分自身のスタイルが身に付いて、オリジナルを確立していくことになるのだろう。
 
大人になった今でも、「憧れ」の存在は欠かせない。
ただし今は、その人になりたいという憧れではなく、「相談役」としての役割を果たしてくれる。
 
自分が抱えている今の課題について、「土方歳三」や「坂本龍馬」ならどんな決断を下すだろうか?
「松井秀喜」や「イチロー」なら、この試練にどう挑むのだろう?
 
勝手に脳内会議室にお招きして、「問い」を共有してみるのだ。
そうすることで超一流のメンターの方々から意見をもらえる。さらに勇気付けにもなり、行動の選択肢が増えていく。結果、大胆な行動をとれる場合も多い。
 
 
ふと我に返った。
 
息子が憧れている「大人」の中に、私自身は含まれているのだろうかと。
 
息子たちの良い見本になれているのだろうか?
 
子どもたちには、「主体的に考動でき、仲間と共に成長し続ける大人になってほしい」と思っている。今は、彼らの周囲にいる大人の中で一番身近にいるのは、親になるわけだ。
 
「子どもたちから、憧れるような存在になる!」
 
これが当面の目標になった。
 
では憧れるためには、どんな行動が必要か?
 
答えは簡単だ。
 
人生をとことん楽しむ。これに尽きる。
 
しかし、実際はどうであろう?
 
「今日も仕事が疲れたなぁ~」、「職場でこんな嫌なことがあってさぁ~」などと妻とする会話は、すべて彼らの耳にも届いている。
先日、息子たちと言い争いがあったとき、それを指摘されてしまったのだ。
 
目先の仕事、やるべきことに追われてしまい、今まさにこの瞬間を楽しめていないことが、課題であることに気がついてしまった。
 
まずは、物事のいい面に目を向けて、我々大人が楽しんでいこう。
そうすれば、不平、不満からなる「地獄言葉」を言うこともなくなり、代わりに「嬉しい」「ありがとう」「幸せ」などのポジティブな言葉が増えるようになる。
仕事も遊びも、笑顔で、全力で取り組んでいる大人であれば、きっと、彼らに伝わると信じたい。
 
 
親「今、何にチャレンジしているの?」
子「○○に挑戦しているんだよ!」
親「いいねぇ~。心から応援しているよ!」
子「ありがとう!」
 
10年後、ワイングラスで乾杯するのも悪くはない。
 
 
 
 
***
 
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2022-11-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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