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寝過ごし大ピンチからはじまる屋久島旅行


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:青梅博子(ライティングライブ東京会場)
 
 
時計を見て目を疑った。
5時だ。
4時45分に家を出ないと、鹿児島行のフライトに間に合わないというのに5時だ。
人はあまりにもショックをうけると、頭が真っ白になるというが、今がまさにそうだった。
 
明日から屋久島にワーケーションに行く予定だった私は、その前にこなさなければいけない、大量のあれやこれやに追われ、結局出発当日の明け方3時まで、作業が終了していなかった。しかし、それまでつめつめで作業していたため、本当に眠かったのだ。
PC作業は、全部向こうに行ってからでいいやと、投げで、あとは荷物をトランクにつめるだけであった。
その作業があと半分というところで、3時。
ちょっとだけ、一時間横になるだけでも、そこからの作業効率は格段にアップするのは、今までも経験済みだった。確実性を狙うなら、出発まであと2時間を切っている場合は、完徹が正解である。100人に聞いても99人はそう回答するだろう。
しかし、私は残念な最後の一人だった。
やわらかくて、ふかふかでいい匂いのする羽根布団に包まれたい。
私は、欲望に負けて、一時間の目覚ましをかけて、布団に飛び込んだのだった。
 
目覚ましで一度は起きたはずなのだが、おそらくそこで、一度目を閉じたのだろう。
現実は、荷物のパッケージングが終わってない状態で5時だ。
 
私はパジャマの上に上着をはおり、目についたジーパンをはいて、猛然とトランクに向かった。とりあえず、目についた必要っぽいものをぐいぐい詰め込み、リュックにPCとipadと電源ケーブルを放り込み、机回りの資料も適当に投げ入れ、コンセントは冷蔵庫以外全抜きし、玄関まで走った。
一週間の不在で、今日は燃えるごみの日なので、あわててゴミをひとまとめにして、集積所に持っていき、そのままカギをしめて、家を飛び出た。
ここで既に5時20分である。
フライトは6時25分、羽田空港まで電車を使っていたら、所要時間は1時間。
着いた頃には、飛行機は飛び立ってしまう。
タクシー、タクシーならいけるかもと、iPhoneのナビタイムというアプリで、所要時間検索をすると、車なら20分とでた。
これなら目があるかもしれない。最後まであきらめるもんかと、私は佐川急便の飛脚のマークのように、ガラガラと引きずる仕様のでかいキャリーケースを肩に担ぎあげて、大きな道路まで全力疾走した。
普通歩くと10分の距離を5分で駆け抜け、道路に着いたが、朝の5時台の道路は閑散としていて、タクシーがみあたらない。
しかし、普段タクシーなどという、高級な移動手段を使わないため、タクシー配送アプリなどは、携帯にインストールされていなかった。
「入れとけばよかったぁぁぁぁぁ」
後悔、ぜんぜん先に立たずである。
5分すぎても、タクシーの影も形もみあたらないが、ここ一番で肝が据わるタイプなのが、ただのヤケクソだったのかはわからないが、私は四車線の十字路のどこからタクシーが飛び出てきてもいいように、全集中して道路をにらみ続けた。
そこに、奇跡のように一台の空車タクシーが現れたのだ。
私は、キャリーケースをもちあげて、ぶんぶん振り回しながら、お客さんココニイマスヨアピールをしまくったので、車線の向こうにいたタクシーは、すぐに方向転換して止まってくれたのだ。
神はいる。天は私を見放さなかったのだ。
「羽田空港第一ターミナルまで」
乗りながら叫ぶ私に「お客さん凄いアピールだったんで、すぐわかりました、ありがとうございます」と、運転手さんは、さっと車を出しながら答えてくれた。
「あの、フライトに遅れそうなので、できるだけ早い手段でお願いします」
「じやあ、高速を使っていいですか」
「早ければ、いくらかかってもかまいません、6時25分なんです」
と、焦りすぎてまわらない口で必死で伝えると
「ああ、大丈夫、6時10分には着きますよ」と言ってくれるではないですが、神・降・臨!
その瞬間、運転手さんが金色の光を放つ菩薩にみえたのだった。
さらに運の良いことに、運転手さんは羽田の事情に詳しく、行先によって受付ターミナルに近いタクシーの止める場所があるので、行き先を教えてくれますかと言ってきてくれたのだ。鹿児島と北海道だと、適切な場所で入場しないとだいぶ歩かねばならないとのことだった。
きっと豪運先生が、私に微笑みかけてくれたのだろう。
こうして、大寝坊をしたにもかかわらず、無事に空港に着き、しかして20前に搭乗手続きをしなかったため、職員さんを走り回らせてしまったりと、その後まだまだハプニングは続いたのだが、無事に屋久島に着くことができ、今、無事に「サウスビレッジ屋久島」の超快適な個室でこれを打てている。
良かった。
 
 
 
 
***
 
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2022-11-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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