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メディアグランプリ

細胞からのSOS

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:赤羽かなえ(ライティング実践教室)
 
 
『はたらく細胞』というマンガがありますが、皆さんは、自分の身体で細胞が動いているのを見たことがありますか?
 
人間って細胞でできているけれど、実際に細胞なんて見えないからイメージつきにくいよなあ。学生の頃、試験勉強のために必死になって人体のことを勉強したけれど、結局、自分の身体がどんな仕組みで動いているのは良く分かっていない。
 
だから、友人のサロンで『毛細血管観察会』をするという案内をもらった時に、めっちゃ興味津々で申し込んでしまった。
 
机の上にはパソコンと金融機関にあるような指紋認証のような指を置く小さな機械があった。
 
「それでは薬指をここに置いてもらって観察していきますね」
 
私は自分の薬指をマジマジと見つめた。爪があってそこから5mmくらい下にうっすらと青い血管が見える。普段はこんなに見つめることもないけど、じっと観察していると、指が自分の思ったように動くのすら不思議な気持ちになってしまう。
 
そんなことを考えながら、指をスタンドに置く。パソコンに映った画面が急に薄だいだい色になる。私の肌をカメラがとらえた。解説してくれる男性の方がカメラのピントをあわせていく。
 
「薬指の爪の生え際が映っています」
 
爪の真下あたりは何もなくて、その下に薄ピンク色をした細い毛糸が何本も並んでいるようだった。
 
「これが血管ですよ。血液がながれているのが見えますか?」
 
じっと見てみると、確かにその細かい糸のような部分に液体のようなものが流れているのがわかった。
 
わわわ、血液が流れている! 急にテンションが上がると、それにこたえるかのように、血液の流れも一気に早くなるのが分かった。自分のテンションの高さが、普段見ていない血液の流れと連動しているのがとても不思議だった。自分の感情の動きでこんなに血液の流れが変わるんだ……。
 
「血液の流れが見えたら、今度はその中に白いつぶつぶが見えるでしょう?」
 
確かに流れている中に白い玉状のものが通っている。
 
「それが白血球です」
 
「うわ、白血球って本当に白いんだー!」
 
自分が生きて動いているのは当たり前なのに、自分の指先を血が通っていて、教科書で習った通りに白血球が流れているのが不思議で不思議でたまらなかった。
 
なんて、楽しいんだ、毛細血管観察!
 
「やっぱり血流が悪かったりすると、毛細血管のコンディションは悪くなるんですか?」
 
聞きたいことが次々と出てきて口が追いつかない。
 
「そうですね、血管が水分不足だったりするとねじれることもありますし、脂肪がついていたりすると血管の形が変わっていたり、血流が悪いと、血管が見えづらくなったりします。試しに、強く息を吐いてみてください」
 
言われた通りに息を強く吐いてから血管を見る。
 
「うわ、流れが早くなっている!」
 
「それに、白血球が沢山通るでしょう? 呼吸がしっかりできていると、毛細血管の先まできちんと白血球が通ってくれるので、悪いものが侵入してくれてもちゃんと戦ってくれます」
 
呼吸が元に戻ると血の流れも元に戻る。当たり前のことなんだけれど、自分の動きと血管の流れが連動しているのを確認することができた。
 
「だからね、最近コロナ対策でマスクをするでしょう? もちろん、感染症対策だから仕方がないことなんですけど、呼吸が浅くなるって言われています。呼吸が浅くなると毛細血管も色が薄くなって見えなくなったりするんですよ」
 
「そうか、呼吸が浅くなるから、文字通り血の流れづらくなるっていうことなんですね」
 
「そうなんです。あと、ちょっとここの部分を見て下さい。ここのところ、赤く横に繋がっているでしょう?」
 
毛細血管の状態を勉強中だという友人がその部分を見てフフッと笑った。自分一人だけ置いて行かれた気分になって不安になる。
 
「もしかすると、几帳面でストレスが溜まりやすかったりしますか?」
 
「ストレスは溜まりやすい方かもしれません」
 
「沢山の方の毛細血管を観察していて、そういう傾向が多いっていうだけなので、参考程度に聞いてほしいんですが、もしかすると人に言えずに我慢していたりしてストレスが溜まっていることがあるのかもしれません。ここは細胞がSOSを出しているのかもしれない」
 
なるほど……確かにここのところ忙しかったもんなあ。人知れず、頑張ってたんだ、私。血管さん、負担かけちゃってごめんよ。
 
「いつもがんばっているもんね」
 
友人にも優しく声をかけられてホロっとしてしまう。
 
「もしもストレスが溜まっても人に言えない時の対処法、知りたいですか?」
 
「ぜひ」
 
私は身を乗り出す。
 
「それはね、自分の中に溜まっていることを書き出すことです。直接本人に言うのも難しいでしょうし、かといって他の人に言ってしまったら悪口になってしまいますからね、そういう時には、思いっきり紙に書きつけたり、文章にしたりして、差し支えるなら破って捨ててしまえばいいんですよ」
 
思わず笑ってしまった。そのストレス解消法、私、ライティングで毎週やってるじゃん。そっかぁ……私は、ライティングの締め切りに追われながら、書くことでストレスも発散できるのか。
 
もちろん、ライティングは人に読んでもらうことを目的にしているので、自分が溜まったストレスを闇雲に書きつけることはできない。それでも、自分の中にある嬉しいことや悲しいことを整理して文章にして書き出すと宙ぶらりんになっていた感情を昇華させることができる。
 
天狼院のライティングゼミは、“人生が変わる”とうたっている。やり始めた3年前には、大げさなキャッチフレーズだなあと思っていたけれど、現に私も人生が変わったなという実感があるし、ライティング仲間の人達でもそういう感想を残している人が多い。その上に、ストレスになっていたものを書き出すという行為で、毛細血管まで元気になっちゃうなら、もうとんでもなく素敵な講座じゃないか。
 
そうは思ったけれど、冷静に考えるとこうやって締切に追われながら書いているのって、逆にストレスたまっちゃう気もするんだけどどうなんだろう?
 
家でそっと薬指に話しかけてみたけれど、返事はなかった。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2022-12-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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