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文法なんて無視してもいいの?


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記事:工藤洋子(ライティング実践教室)
 
 
近ごろ、よくこういう英語学習の広告を見る気がします。
 
「文法なんて覚えなくていい」
「いくつかのパターンを覚えれば文法は不要」
 
私は本業が英語の同時通訳者、副業で英語コーチをやっています。その私から言わせてもらえば、そんなことはあり得ません。まさにナンセンス!
 
英語でやりたいことが海外旅行で買い物ができるようになることだけでよい、とか、働いているお店に来る外国人のお客さんの応対をするため、など特定のケースだけに限定されている、というのなら、それでよいかもしれません。しかし、たいていの人は英語ができるようになりたい、という場合、「自由に英語でコミュニケーションが取れるようになる」ことを目指しているのではないでしょうか? もし、それが目標だというのなら、文法を無視して上達することはあり得ません。
 
英語の文法とは、すなわち見知らぬ場所へ出かける時の地図のようなものです。英語、という見知らぬ世界へ旅するときに頼りになるコンパスであるとも言えます。時にはガイドブックにもなります。下準備をしっかりしておけば、実際に現地で地図やコンパス、ガイドブックほど頼りになるものはないでしょう。
 
ではその大切な英語の文法は、どうやって学んだらよいのでしょうか?
 
日本語と英語は言語間の距離が最も遠いグループに位置しています。言語の組み立てがまったく異なる体系に基づいているため、「さあ、重要だから学ぶがよい」と言われても、やれ、be動詞だ、一般動詞だ、とか、現在分詞に前置詞、比較級、と文法用語を並べられたら、目が回る思いをする人だって多いはずです。
 
英語や数学は基本的に積み重ねの学問です。基礎を固めずには先に進むことはできません。中学校の英語の先生と気が合わなくて勉強しなかったら、結局英語が苦手になっちゃった、ということが実際に起こります。私の友人にもそのせいで英語に苦手意識を持っている子がいて、もったいないと思っていたものでした。
 
そういう英語や数学には、教科書や講義で理解できる知識を学ぶものではなく、体で覚える技術(テクネー)という要素が入っています。テクネーとはまさに実践実習を繰り返して体に覚え込ませるものです。言葉にして覚えることのできる陳述記憶とは違い、テクネーは非陳述記憶であり、そのエッセンスは言語化ができないと言われています。(『読書の技法』佐藤優著、東洋経済新報社刊参照)
 
繰り返し覚えることが必要だけど、無味乾燥な形ではやる気が起きない。そういう方には、こちらの本はどうでしょう?
 
『シートン動物記で学ぶ英文法』(越前敏弥、倉林秀男著、アスク出版)
 
本書は名作の文章を読むことで文法を身につけよう、というコンセプトで出版されているシリーズで、今回のシートン動物記の他に、ヘミングウェイ、シャーロックホームズ、オー・ヘンリーやオスカー・ワイルドなど、名だたる文豪や著名な名作が取り上げられています。
 
本書の構成は、最初に日本語で翻訳文、そして原文が続く、というスタイルです。英語が翻訳文の日本語が先なので、長文を読むのに慣れていない人でも気負わずに内容を楽しむことができます。さらに続く原文には下線や番号が記してあり、その後に文法や作者の意図までもが詳細に解説されています。
 
とにかくこの文法解説が秀逸です。一見、ただの文法用語の説明にも見えますが、あくまでストーリーを読み解くカギとなる文法が説明されています。難解な単語の説明も英文と同じ場所に書いてあるので、辞書を引きながら読んでいたら嫌になってしまった、ということも起きにくいでしょう。
 
おまけに翻訳は、映画化もされた大ヒット作『ダ・ヴィンチ・コード』の翻訳をてがけた越前敏弥氏の文章です。名翻訳で物語世界を味わいながら、英文法を身につけることができます。それに加えて、文法解説がここまでしっかりされていると、英文読解の解像度が果てしなく上がります。ピントがぴったり合う感じで、極めて明瞭な像を頭の中に結ぶことができます。
 
私が自分で英語を理解しようとするときも、よく解像度という表現を使います。解像度が高いと文章の輪郭がハッキリします。文章を読むときだけでなく、聞くときも同じです。
 
英文を読む時にはざっくり意味をつかむのも大切です。その点は日本語の文章を読む場合でも同じ事でしょう。ですがそのざっくり、が可能になるのも、とどのつまりは文法や細かい表現を把握し、ミクロの理解を積み重ねたところに総合的なマクロの理解が成り立っているからだ、と言えるでしょう。
 
では逆に、文法をおろそかにして解像度が甘いとどうなるのでしょうか?
その場合、下手すると「伝言ゲーム」状態になってしまうのです。少しずつ違うことが積み重なってしまい、最後にはまったく違う話になるかもしれない、というヤツです。
 
私はプロとしてお仕事をいただいているので、通訳している現場でもし、伝言ゲームほどに話が狂ってしまったら、次の仕事はもう来ません。みなさんの場合でもビジネスの現場でそうなれば、信頼を著しく損ねることになるでしょう。TOEICなどの資格試験では点が伸びるはずもありません。たかが文法、されど文法、なのです。
 
ディテールの積み重ねが全体の解像度を上げることになる、そのためには日本語とは違う理(ことわり)で動く英語の基本原則である英文法を学ぶこと、それがたとえ遠回りに見えても最終的には近道になります。まっすぐ行った方が近く見える道には、振り出しに戻るような落とし穴がよくあるものですからね。
 
 
 
 
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2022-12-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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