書くことはサービスである
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:紫月 涼帆(ライティング・ゼミ8月コース)
9月から挑戦してきたこの天狼院ライティング・ゼミも、今回の課題提出で最後を迎える。フィクションを書きたいという動機に対し、内容は当初の期待とは異なったが、なかなかに学びが多く、この機会に巡り会えて本当に良かったと思っている。そして、いろいろと教わったものの、最後まで腑に落ちず、今後も、私の中に棘みたいに刺さり続けるであろうノウハウが今回のタイトルになっている。
この最後の課題のテーマを何にするか、受講生の皆さん全員がかなり悩まれたことだろう。読者利益を最優先に考えるのか、それともやっぱり書きたいものでないと筆が乗らないのか。天狼院のサイトにアクセスしてくる方々なら、ライティングに対する関心は人並み以上に高いのだろうと、今回、初めて「書くこと」をテーマに選んだ。
さて、ゼミに参加してみて最初にぶつかった壁が、メディアグランプリに参加できるかどうかの「合格ライン」だった。選者は3人いた。天狼院公式のお二人と私自身(言い換えるなら、あなた自身)だ。当然、自分の記事は対象にならないし、私たち受講生の評価は一票にもならない。それでも、投稿される課題の全てに目を通し、好き、イマイチなどと、自分なりに評価をつけていく。意外だったのは、公式のお二人の評価と真っ向から異なるものが目立ったことだ。私にとっては「編集部セレクト」級でも、グランプリ掲載に至らなかった記事もあった。
自分の記事はまだしも、「推し」記事が日の目を見ないのはやっぱり釈然としなかった。ある程度、書くことに自信があり、文章の良し悪しを見極める目も持っているつもりだったのに、自分の判断基準がおかしいのだろうか。いや、そうではないのだろう。好きな絵が違うように、当然、文章の好き嫌いもある。似たような感性やスタイルには好感が持てたし、どんなコンテルツが響くのかも、読み手の背景によって異なるのは当然なのだ。
初回から洗礼を浴びたが、以降、課題の毎回提出を自分に義務付けた。天狼院は「忙しくて時間の取れない時もあると思います」と言ってくれたが、私の場合、本業はあっても一人暮らしで時間は余るほどあった。要は、書くモチベーションを4ヶ月間保てるかどうか、自分自身との戦いだろう。コロナで臥せっていた時に出した課題も、不合格ではあったが私の中では勲章モノだ。
そして、この全回提出という経験を経て、得ることの出来た最大の収穫は、何でもない日常から文章を書き起こせるようになったことだろう。これまでも過去の経験や、日頃から抱いている問題意識などを1000字前後で発信してきた。しかし、何気ない一シーンから2000字を書けるようになってみて初めて、自分が過去に書いてきた文章がいかに薄っぺらく、かつ説明不足だったかに気付かされた。
また、日常から書き起こすためには、常日頃から撮る姿勢を身につけることも必要だと気づいた。これまでは自分のSNSアカウントに投稿するために、「いいね」を貰えるような美しい風景や満面の笑顔などを撮りだめてきたが、日常から書き起こすとなると、「いいね」に繋がらない写真素材も必要となるからだ。「しまった、あの時のランチ、撮っておくんだった」 「あの壁の絵も」などと幾度後悔したことだろう。
提出した課題の中には、相当な思いと時間を費やして書いた記事と、やっつけ仕事で書いたものの両方があったが、どちらも選ばれたり、選ばれなかったりした。「書くことはサービスである」は、書きたいものと読者利益をうまく擦り合わせていくことだと頭では理解している。しかし、それが本当に何なのか、腑に落ちていない証拠に違いなかった。藁をも掴む思いで、メディアグランプリに掲載される「合格記事」を読みあさり、何とか共通解を見出そうとしてみたが、まったくと言っていいほど何も見出だせなかった。だから、未だにわからないままだ。
「文章はリズムです」 いきなりだが、これは、20年以上も前に参加したライター講座で、講師が開口一番に言い放った言葉だ。一瞬、「音楽はリズム」の間違いでは? と思ったが、彼女曰く、「リズムのいい文章はすぐに頭に入ってきます。逆に、何度も読み返さないといけないのは、リズムの悪い文章です。極端に言えば、リズムのいい文章は句読点がなくてもすらすら読めるんです」 そんなものなのかな。
その時も腑に落ちなかったが、以来、ものを書く時は「リズム」を必ず意識するようになり、今のライティングスタイルにつながっている。選者お二人からも「読みやすい文章でしたが」を枕詞に使われることが多かったが、いつの間にか「文章はリズム」を体得出来てきた証拠だろう。 最後の課題提出にあたり、これからも「書くことはサービスである」を羅針盤に書き続けていこうと自身に誓う。いつかそれがストンと腑に落ちて、新たな扉が開くことに大いに期待を込めながら。
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