メディアグランプリ

息子に課金をお願いされて


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記事:鈴木結美子(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
「僕は課金してもらうと伸びる」
と、息子がまっすぐこちらを見る。
通いたい塾があるのだと言う。
元々、贅沢を言わないし、我が家がひとり親家庭なのもよく理解している子だ。
大手進学塾の見積もりを前にして、もはや依存の域だったゲームのアプリを目の前で消した。本気らしい。
2022年夏、高校3年生の息子に最大課金することを決めた。
 
受験は婚活と似ている。
 
と、婚活の仕事に従事していると思う。
 
そもそも、大学へ行くも行かないも、結婚するもしないも自由だが、ここでは大学に行く、結婚したいと決めた場合について、書きます。
今は推薦で半数近くの学生を確保する大学も多いから、年内に進学先が決まっている高校3年生も増えた。
 
推薦ではなく一般入試で受験をすると決めたら、自宅で問題集を使う、動画で学ぶ、通信講座を利用する、図書館へ通う、塾へ行くなど、目標達成に向けて受験勉強の方法を決める。
 
自分で管理をして、足りないところを分析できるタイプなら、塾は必要ないが、苦手科目の短期の講座だけを上手に利用したり、高校3年生だけは塾に通った、という人も多いのではないか。進路指導の手厚い学校なら、学校が面倒をみてくれたかもしれない。
塾に通う場合、個別か集団授業のどちらが合っているか、通える距離か、自習室の開放時間など、どの塾を選ぶかはむずかしい。
 
塾の無料体験や短期講習には参加していたけれど、やる気スイッチが入らない。
「この子は勉強しないなぁ、親が一生懸命になったところで仕方ないしなぁ」と諦めかけたころ、冒頭の通り、息子が自分でこの塾なら入りたいと言う。
メディアでよく見る、有名な大手進学塾。費用がかなりかかるのは知っていたが、思っていた倍ぐらい、高かった。
だけど、既に高3の夏で、先日の模試の結果が「このままだと志望校どころの話ではないですよ〜」と語りかけてくる。
 
何より、本人が行きたくて、課金せよと申し出てきた。結果はどうあれ、生きたお金になるだろうと入塾を決めた。
(秋にさらに追課金が来て倒れそうになるのだが)
 
毎日勉強をするために過ごす場所ができた。図書館の個別ブースみたいな感じで、PCと電源の整った机が各自に確保されている。音読のできる個室もあるそうだ。
 
夏休みは毎日9時から22時までお弁当とおやつを持って塾に通った。夏休みが終わっても、授業の後、そのまま塾に行って22時まで勉強して帰ってくる日が続いている。
 
主に在宅で仕事をしているから、勉強せずスマホと転がっている受験生が目に入らないのは、母子2人暮らしの我が家、お互いの平和のためにも良かった。
 
時々、三者懇談があって塾に足を運ぶ。制服姿の子どもたちが、集中して机に向かっている。すごく静かだ。がんばれがんばれ、と心から思う。
 
一方、婚活はというと。
 
学生時代の彼・彼女、職場や趣味での出会いなどから、婚活をしないで結婚する。いわゆる「自然な出会い」が昔より減りつつも、今も主流だ。
婚活という言葉が浸透して、2020年以降、コロナ禍で集うことが減り、アプリでの出会いは一気に市民権を得た。友だちに紹介を頼んだり、婚活パーティや、街コンという手もある。自治体が婚活に力を入れているところも多い。
どれも費用面ではそこまでかからないから、微課金といえる。
(時々、婚活パーティに100回出ました、という猛者にも出会うから、廃課金組は存在する)
 
そして結婚相談所はというと、相談所によって料金設定は自由なので、ピンキリながら、入会と成婚退会時に、本格課金が必要になる。大体、費用に応じたサポート設定になっている。
 
高いお金をかければ結果が出るものではないが、課金したことにより「婚活をするんだ」と本気度が上がるのは確かだ。
 
今までいくつも恋をしてきて、出会いの場がないだけ、というタイプは元々恋愛偏差値が高いので、アプリや婚活パーティを利用するのが良いと思う。
 
でも、うちの息子が自分では勉強する、という環境を作れなかったように、周りは同性や年上の既婚者ばかりで、自分からはなかなか出会いの場に足を運ばないタイプは、お金がかかっても、婚活をする、という環境に身を置いた方が良いかもしれない。
 
今は情報があふれ過ぎていて、何が自分に合っているか選ぶことがむずかしい。塾や結婚相談所は自分に合った情報を教えてくれるので、自分の走るべき道がわかるのがメリットだろう。
 
過ぎた時間は戻らないし、1年・2年なんてあっという間に経ってしまう。後から、この方法が自分には合っていなかったと気づいても、あの時の自分に戻ることはもうできない。
 
そして、受験も、婚活も、誰かがどうにかはしてくれない。結婚相談所ですらサポートはしてくれるけれど、あくまで走るのは自分で、誰かが代わりに走ってくれるわけではない。伴走してもらいつつ、自分の足で進まないといけない。
 
どんなに良いとされる先生に習っても、高いお金を払っても、結局は自分だ。
誰かのせい、何かのせい、と思わなくなり、自分ががんばらねばと決めた時、
初めて前に進み始める。
 
先日、息子が共通テスト本番を終えた。ここから3月まで私立・国公立と続く。
母が息子にできることといったら、信じること、好物のご飯を作ること。
そして「お金のことは心配しなくていいよ」と言い切ることなんだなぁとつくづく。
 
 
 
 
***
 
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2023-01-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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