テレワーク禁止の絶望は幸運を引き寄せるか?
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記事:あこ(ライティング・ゼミ12月コース)
忘れもしない先週の月曜日、事件が勃発した。
コロナ禍で導入されたテレワークが、突然全面禁止になったのだ。
それは前触れもなく、突然社内通達で告げられた。
しかも即日開始。
明日から毎日出社しなければならない。
いやいやいやいや。なぜ?今?
全く理解できなかった。
なぜ今かという問いには、簡単に答えが返ってきた。
コロナが落ち着いたから。
いやいやいやいや。だからって出社する必要あります?
業務によってはコロナ禍でも毎日出社して、汗を流して働いている人もいる。コロナも落ち着いてきたので皆で出社しましょう、ということらしい。
毎日出社している同僚がいることは知っている。
テレワークではもちろんサボったりはしないけれど、働く場所が家というだけでなんとなく気が楽になるので、確かに引け目は感じる。
しかし、だからといって「ですよねー」ともならなかった。
それとこれは別だ。
新型コロナウイルス感染症が流行し始めた頃は、同じビルの中で感染者が1人出るだけで大騒ぎだった。日本中、いや世界中がどうしていいかわからず、不安が広がっていた。そんな中、我が社は結構早いタイミングでテレワークを推し進めたと思う。それまでは毎日9時に出社するというスタイルだったので、テレワーク用のシステムを準備し、希望者には会社からパソコンを支給するなど、環境を整えるのは大変だったと思う。我が社ながら「やるじゃん」と、ちょっと誇らしかった。
テレワークが始まった時は慣れない環境で働きづらさを感じながらも、どうにか適応していった。必要な時は出社して、集中したい時や感染者が増えている時はテレワークにするなど、うまく働き方の変化に順応していったと思う。
かなり多くの人がこの変化を経験して、「あぁ、こんな働き方もあったんだ」「こういう働き方でもうまくいくね」と思ったのではないだろうか。出口の見えないコロナな毎日にうんざりしながらも、この新しい発見が希望の光というか、唯一の良い事みたいに思えたのではなかっただろうか。
少なくとも私はそう思った。
しかし、そのテレワークが突然禁止されてしまった。
納得のいかない理由で。
しかも、密を避けるための時差通勤で10時出社だったのが、それも認められず9時出社となった。
突然、自由の両翼がもがれたような気分になった。
そんな時代を逆行するような我が社にがっかりした。
テレワークが始まるきっかけは新型コロナの感染予防だったが、今となってはテレワークをする理由はコロナだけではないはずだ。「働き方改革」はどこへ行ってしまったんだろう。
しかしながら、こちらに断固としてテレワーク禁止に応じない理由があるわけではない。
ただ、今まで持っていた自由が奪われることが嫌なだけだ。
「なんか嫌だ」という理由では、会社は考え直すことすらしてくれないだろう。
通達が出てしまった今となっては従うしかない。
隣の席のキータッチ音や前の人の電話の話し声、後ろの人が鼻水をすする音が気になって仕事に集中できない私としては、毎日出社するのは生産性ガタ落ちだし、絶望でしかないが、仕方ない。
「コロナ前は普通に出社してましたよね?」と言われれば、何も言えない。
むしろ、「わがままを言いました。すみません」と謝らなければいけないレベルかもしれない。
ただのわがままだとわかっていながらも、納得できる何かが欲しい。
何かないだろうか。
出社するメリット。
あった!
この「絶望」に匹敵する「喜び」が!
私には好きなK-popのアイドルグループがいるのだが、“推し”は兵役に行っていたし、コロナ禍でコンサートも中止になるしで、約3年間会うことができていない。しかし先日“推し”が無事に兵役を終えて除隊した。それを機に日本でのコンサート開催が発表されたのだ。
真面目な私は、会社でまだ4人以上の会食や密になる場所へ行くことが禁止されていたので、コンサートチケット争奪戦に参加することを迷っていた。
会いたい。ものすごく会いたい。
会えない約3年間は本当に味気ない毎日だったから、早く生で推しを拝んで、生気を取り戻したい。
そう思う一方で、コロナに感染するリスクを冒すことへの罪悪感やコロナになったら仕事が止まること、同僚に迷惑をかけることが頭をよぎり、チケットの抽選へ応募できずにいた。
しかしだ。
一番感染リスクが高いんじゃないだろうかと思う会社へ毎日出社することになり、さらには感染リスク軽減のための時差通勤が認められなくなった今となっては……
コンサートに行ったっていいですよね?
これでチャラだ。
通達を見て憤慨したあの気持ちも、毎日ストレスフルな隣席のキータッチ音も、推しに会えるんだと思えばなんてことはない。
ただ、コロナ前に戻るだけだ。
そう思って、テレワーク全面禁止の通達が出た日の夜、チケットの抽選に応募した。
どうか当たりますように。
考えるのも怖いのだが、チケットが当たらなかったら私、どうなるんだろう。
***
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