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メディアグランプリ

美麗島で美しくないことばかりした話


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:矢野 和幸(スピード・ライティング)
 
 
「美麗島」、ポルトガル語で「フォルモサ」と呼ばれる島が沖縄の南にある。
台湾のことだ。
 
私の初の海外は、台湾。
高校1年生の春休みに父と2人ででかけた。旅行と父の出張を兼ねていた。
 
阿里山、台湾で1番標高が高い山と父が言っていた。本当は玉山が1番高い。
阿里山には台湾の最高学府があった。物理的な意味での最高学府。
標高が1番高いところにある教育機関という意味だ。
 
「笑死。お前のアソコは超ちっちゃい」
 
阿里山の男性用小便器に書かれていた。注意書き。
センスがあっていいなと思った。
 
「新年快樂(あけましておめでとうございます)」
 
毎年1月1日、家には台湾から電話がかかってくる。父の会社の取引先の社長の陽さんだ。
楊さんとも直接お会いすることができた。
小籠包のお店で家系図を見せながら楊貴妃の先祖だということを説明してくださった。
ほんまかいな?
 
大学1年生の春休みにも台湾へ行った。今度は短期留学。
輔仁大学という台湾の上智大学へ3週間の語学研修。
学んだ言語は、台湾の中国語である台湾華語。
 
台湾華語は、響きが優しい。
「中国語」は、北京語が標準語となっているため音が強い。
単語の最後で舌先を英語の“-r”のようにそらせる。これをアル化と呼ぶ。
日本語や一緒に学んでいたインドネシア語にもこの特徴は共通していると考えている。
これを「首都圏アル化の法則」と自分で呼んでいる。
日本語の首都は東京。江戸弁は「べらんめえ調」とも呼ばれ、発音するときに舌を巻いて喉の奥の方へ持っていく。
インドネシアの首都ジャカルタでも“-r”の音は舌を巻く。バリ島では“-r”の音で舌を巻かない。
どうも首都圏の言語は“-r”の音で舌を巻く特徴もあってか響きが強い。
首都から離れれば離れる程、アル化はなくなる。
台湾華語の音は聞いていて穏やかな気持ちになった。
 
音はきれいだが、意味は全くわからない。
私は中国語の必修を1年生の後期で落としていた。
留学先の学生でタイプの方がいた。
台湾に着く1週間前に日本で恋人と別れていた。
人恋しい時期。
 
「2人きりでデートしたい」
 
でも会話を続ける自信がなかった。
台湾華語の語彙数が全く足りない。
向こうも日本語の勉強を始めたばかりで話すことは難しい。
結局、2人きりでデートに誘うことはあきらめ、大人数で行くことにした。
もっと勉強しとけばよかったなあ。
 
なんとか台湾華語が話せるようになりたい。
授業は、1日に3コマ。
不十分だ。
部活にも参加しよう。
私は剣道部にも顔を出すことにした。
時間帯が遅かった。
夜の8時半から始まる。
宿に帰る頃には12時近くになっていた。
慣れない外国語を話し、運動もやり、くたくただった。
 
同級生達がマッサージへ行っているという話を聞いた。
いいなあ。マッサージ。疲れが吹っ飛びそうだ。
早速、宿の近くにあるマッサージ店へ行くことにした。
 
店に入ると客は私1人だった。
受付にいるのは、おばあちゃん1人。
2階へ行くように言われた。
 
2階へ上がると、薄暗い。
怪しげな雰囲気だ。
お姉さんが1人いた。
紙パンツ1枚になるように言われ、着替えた。
 
マッサージが始まる。
疲れが取れて、リラックスできた。
オイルマッサージもあり本格的。
マッサージが終わった後に、おねえさんが怪しい手の動きをする。
スペシャルマッサージいる?
いらない。いらない。
すぐに答えた。
 
「為什麼(どうして?)ワタシガンバル!」
 
「わたしがんばる」の部分だけ日本語だった。
「がんばる」とおねえさんに言われて断れる程、私の精神は強くなかった。
 
「お願いします。追加料金は、いくらですか?」
 
「400台湾ドル(約1,800円)」
 
「安くして」
 
「できないよ」
 
「わかりました。じゃあ、それでお願いします」
 
スペシャルマッサージが始まった。
すごく気持ちは良かったが、逆に疲れた。
 
「大きいのしかないです。おつりはありますか?」
 
「おつりないや。ごめんね」
 
「じゃあ、おつりなしでいいです……」
 
マッサージの後に値段交渉なんてできるわけがなかった。
私の台湾華語のスピーキング力が少し上がった気がした。
 
帰国後、アメリカ人の親友に誘われて中国人の方たちとボーリングをした。
せっかくだからと、中国語で自己紹介をした。
 
「えっ、あなたは台湾人ですか?」
 
中国人の方にそう言われた。
言語上達は、実践が1番。
その場面は必要性が高ければ高い方がいい。
 
3回目の台湾は、また父の出張の同行。
中国語を勉強してから初めて楊さんと再会した。
 
「長男は北京語の勉強をがんばっているか?」
 
私は、台湾華語の方が好きですね。
 
ボーリングに誘ってくれたアメリカ人の親友は台湾の大学院へ進学した。
いつの間にか私より台湾華語ができるようになっていた。悔しい。
親友は今年の6月から8月まで研究でまた台湾へ行くという。その間に台湾で会う約束をした。また、10月には院試がある。外国語の試験では、中国語を選択することができる。さあ、台湾華語の復習をしますかな。
 
 
 
 
***
 
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2023-03-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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