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「演劇化」は最強の武器かもしれない <<心の処方箋>>

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:あき (ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「実は、わたくし会社の代表をやっておりまして……」
 
「社長という役割をもっと上手く演じるために今日は参加しました」
 
えっ、演じるの!!
ユーモア交じりの自己紹介に驚きと和やかな笑いがスタジオを包んだ。
この場所では福岡天狼院書店が開催した演劇ワークショップが開かれていた。
 
「確かに……そういった側面もあるよな」
 
仕事って会社や社会のなかでの役割を必要に応じて求められる姿でこなすこと。
ある意味それは仕事という舞台に上がる演者に変化することでもある。
 
そこに参加していた私は一人の男性が話した言葉に大きな共感と未来を感じていた。
もちろんこの方にとっては小さな冗談も含んでいただろう。
だけどその言葉を今の自分に当てはめてみると胸の内が高まっていくのを感じたのだ。
 
「演じる」ことは「なりたい自分」を実現する魔法の秘薬ではないだろうか?
 
想像してみてほしい。
あなたにとって「なりたい自分」とはどんな姿だろう?
 
バリバリ仕事をこなすエネルギッシュな社会人。
明るい笑顔が絶えない家庭。
やりたいことが多すぎて自然と朝には目が覚める毎日。
 
……そうです。
すみません、私のことです。
 
まず必要なことはなりたい自分の姿を解像度高く具体的に思い描くこと。
そしてそれを演じてみることができるのなら一体どうなるのだろうか。
 
例えば皆さんも自己投資をすることがあると思う。
本を読むこともそうだ。時間やお金を費やして学んだ知識や情報。
だけどそれは行動して初めて成果に繋がるもの。
 
だから最初は演じることがスタートだとしても良い。
何より変わろうとすること、姿や行動を「なりたい自分になろうとすること」が大事なのだ。
その思考と行動の積み重なりが結局わたしを形成していくのだから。
 
それは「現在の自分」と「なりたい自分」にGAPという大きい溝があればあるほど効く良薬。
つまり解像度高く鮮明に演じることが成功への近道となるわけだ。
 
それではどうやったらいいのか?
この日のワークショップで学んだ演技における基本の2つが「想像力」と「発信と受信」だった。
舞台や人物の背景や場面を具体的に想像し、演者同士のコミュニケーションは言葉や表情、仕草など全身を使って双方向でお互いのリアクションが行われるからだ。
 
わたしは未来のなりたい自分を鮮明に想像するうえではエッセンスを一つずつ紙に書いてみるのもいいと思う。
 
例えば、表情が固く、声に抑揚がないため冷たく思われやすい私。
そうするとなりたい姿がわかっていく。
次にどうやって演じていくのかを考える作業。
そして実行、修正を繰り返していく。
ひたすら追求して自分を変化=演じさせていくのだ。
 
そう思えたのは私自身の体験があったから。
当時は演じてる意識はなかったのだけども……。
演劇の世界に出会って点と点が線になるようだった。
 
元々私は業務で自社製品のサポートやトラブル対応を行なっている。
その中で強みと弱みがはっきりしていた。必要な知識と日々アップデートして正確に対応することが得意でも、人間的なコミュニケーションが極端に苦手だったのだ。
 
コロナ禍の生活が始まるもう少し前、私は5年前から在宅でのリモートワークを経験していた。
会社員でありながら在宅勤務という形態は同僚とも直接顔を合わせることがない日々の始まりでもだった。
 
そうした生活で間違いなく人とのコミュニケーションがより苦手になった。
うまく笑えない。声の抑揚の作り方がわからない。
固まる表情を残したまま、小さな声で話すわたしを自分自身で意識して余計に人と接することが怖くなっていった。
 
サポート業務の中ではどれだけ正しい知識を持っていても相手は結局人間なのだ。
冷たく感じる私の対応は決して評価が良いものではなかった。
所属していたチームを移動することになったとき直接言われなくとも成績の伸びが低迷していたことが間違いなく原因だった。
 
わたしは変わりたかった。
どんな手段でもいい。仕事で結果を出したかった。
私にとってその答えが今思うと「求められる姿」を「演じる」ことだったのだ。
 
「演じる姿なんてそんなの私じゃない!」
そう考える人もいると思う。もちろん私の思いを押し付けるつもりなんてない。
 
誰しも一度は聞いたことがあるのではないだろうか?
人生は短い。だから「自分らしく」生きた方が良いんだよと。
演じることってその真逆の行為。
自分ではない何かを嘘で固めた姿だと以前のわたしは思っていた。
 
そもそも、自分らしさって何だろう?
小さい頃から何度も問いかけたことがある。
自分の内面を表現することが子供の頃からすごく苦手だったからだ。
 
感情をうまく出せない思春期をずっと過ごした。
学生のとき所属していたサッカー部の仲間から、あるときロボットみたいとまで言われた記憶。
それを覚えてるのは何かしらの傷だったのだろう。
 
求めている姿とは違うわたしだからこそ「周りから見られるイメージ」を自分自身で「らしい」とは認めたくはなかった。そんなものドブに捨ててしまいたかったのだ。
 
そうするとやるべきことは一つだけ。
なりたい自分を「演じる」ことだった。
その先の未来に映るもの、それが自分らしくあってほしいから。
 
最初は心の中まで嘘で固めてるくらいの毎日だったと思う。
毎日鏡に向かって笑顔を作る練習をした。
声に抑揚を出せるように対応が上手い同僚を真似てみた。
使う言葉もまるでセリフを修正していくように「こんなときこう伝えたらどう思われるかな?」と何度も想像して前もって準備した。つまり私以外の誰かをずっと練習で繰り返し演じていたのだ。
 
私にとっての演技課題は人によっては簡単なものだろう。
ただ「普通」に人間らしく接すること。
相手の声や表情、会話の間に対してきちんとリアクションすること。
私は思い返すと仕事という舞台の上では役者になっていた。
 
そして仕事を演劇化した私の成績はびっくりするくらい上手くいった。
2022年上半期には数百人の中で上位3%に入る優秀者として表彰されたのだ。
もちろん運もあったと思うが、それは仕事を人間らしい感情のコミュニケーションを大事にしながらどうこなしていくのか、まさに顧客に対する状況や背景を考える「想像力」とトラブルが起きたときの相手のリアクションを感じ取った「発信と受信」であったのだ。まさに「演劇」で学べることばかりだった。
 
コロナ禍において広くリモートワークが普及し、非接触が加速した社会では似たような生活を過ごした人もこの3年間で多かったのではないでしょうか?
 
そんな現代の私たちにとっても日常を劇場のように過ごすことは社会生活を再構築する上でも大事な要素を盛り込んでいるのかもしれない。
 
現在の自分に満足できない何かを感じていたら、
演技を実践して今とは違う自分に出会ってみませんか?
 
確かに行動するのは小さなことでも、簡単ではありません。
慣れた姿はとても快適な環境でもあるからです。
 
「演じる」とは「変化する」ことだと思います。
あなたのなりたい未来に向かって変化するための行動として一度「演じる」ことから始めてみても面白いかもしれません。
 
いきなりそんなこと難しいと思いますか?
そういう方はぜひ演劇をまずは観て感じて触れてみてください。
天狼院書店でも出会える舞台がこの3月用意されてるみたいです。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2023-03-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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