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わたしが婚活をしなくなった理由


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(記事:小林 遼香(ライティング・ゼミ4月コース)

現在、27歳。四捨五入したら結婚適齢期と笑って言えなくなってきた。
 
25歳の頃からかだろうか、正月に親族から必ず「結婚はいつするの」と聞かれるようになった。わたしは、密かに「結婚するのか」洗礼と呼んでいる。
洗礼を受け始めた初年度は「わ、ほんまにこのフレーズってあるんや」と、どこか他人事のように感動したものだ。でも、2年目になった頃には、そんな余裕も消えてなくなった。3年目の頃には、「結婚」という言葉に拒絶反応を示し、4年目になったいま、行事に参加しなくなった。
親族に会えるのは嬉しいが、土足でわたしの部屋に上がってきて「結婚」というワードを壁に落書きされたような気持ちにもなる。
 
わかっている、「結婚はいつするの」その言葉に悪気はない。世間からみれば結婚適齢期だもの。しかし、「20代後半=そろそろ結婚」という世の中の法則にどうも違和感を覚えて仕方がない。適齢期の結婚を目的にすることは自分にとって正しいのだろうか。
 
振り返れば、20歳前後の頃は、将来結婚している自分の姿を当たり前のように想像していた。当時のパートナーに対しては、「もし、このまま一緒にいれば結婚するんだろうな」くらいにしか思っていなかった。パートナーにも同じようなことを言われ、特に「具体的にいつにするのか」言及はせず、頬を赤く染め合った記憶がある。そのころは目先の授業の単位や就活に必死だった。当時のわたしにはTVドラマで「やばい、わたしそろそろ結婚しなきゃ」というセリフや「どうしたらいい人と結婚できるのか」という雑誌のタイトルなど、心に1ミリとも響かなかった。なぜなら、小学生が中学生になるように、適齢期になれば、誰しもに結婚は当然訪れるものだと思っていたからだ。
 
その感覚通り、25歳になったわたしにも「結婚」という言葉が現実味を帯びてくることがあった。大学時代から長年付き合っている彼氏と同棲を始めようということになったのだ。相手の親御さんとの会話の中では、結婚を飛び越えて孫の話までになっている。「あぁ結婚ってドラマのような展開もなく『こんなもんか』って感じで訪れるのだな」と、どこか俯瞰して状況をみていた。
 
しかし、事件は起きた。同棲を始める1ヶ月前、彼が浮気をしたのだ。しかも、ただの浮気ではなく「ガチ恋」だ。結婚の話や将来の家庭像まであんなに語り合ったのに、いとも簡単にその未来は崩れ落ちた。
 
傷心はなかなか癒えず、しばらく恋愛恐怖症になった。結婚など大そうな話の前に「そもそもわたしはこの先、誰かに恋焦がれることはあるのだろうか」と、自信をなくした。恋という言葉からは遠ざかり、仕事に没頭することにした。
 
そうこうしている内に27歳になり、地元の親友から結婚式の案内状が届いた。彼女は、高校生の頃から「わたしは27歳になったら結婚する」と宣言していた。そして、宣言どおり素敵な旦那さんと結婚した。一緒に出席していた友人が「ビジョンが明確な人ほど夢が叶うっていうけど、まさにそうだよね。わたしは、ビジョンはなかったけど結婚できたけどね」と何気なく発した言葉が胸に突き刺さった。
「え、結婚したの。知らんかった」という言葉を発したのと同時に華やかな結婚式の場で孤立を感じた。
 
どうしよう。わたしには結婚に対して明確なビジョンがない。そして、怖くなった。わたしは友人のように声高らかに笑えない。いま結婚に対して行動しなければ、結婚市場で余って生涯孤独かもしれない。
 
不安大魔王のわたしは、結婚に関する書籍を読みあさった。総じて書かれていた第一ステップの「周りに結婚願望を宣言すること」を即実行した。その結果、宣言をしたことによって、婚活戦士のように見えたらしく周りの異性に引かれてしまい効果がなかった。
 
書籍の方法は自分には合わないと悟ったわたしは、30代後半の結婚した先輩に「どうしたら結婚できるのか」をすがるように相談してみた。すると、「いま結婚ラッシュか。じゃあ、10年後は離婚ラッシュだね」と笑顔で言われた。先輩も適齢期に結婚し、最近離婚していたらしい。「そうか、結婚することよりも、誰かと生活を続けることの方が想像以上に難しいのだ」と気づいた。
 
「20代後半=そろそろ結婚」という法則の違和感の正体がわかった。結婚適齢期に結婚することが必ずしも誰にでも当てはまる幸せとはかぎらないということだ。正直、結婚適齢期に結婚できれば、相手はある程度の価値観が一致すれば誰でもいいと思っていた。年齢が問題なのではなく、結婚相手が重要。そんな当たり前なことに今さらながら気がついた。
 
今後、親族に「結婚はいつするの」と聞かれたら「人生の相棒となる人を見つけたら、そのときに結婚するかどうか考えるかな」と胸を張って言いたいと思う。
 
 
 
 
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2023-04-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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