風俗嬢になって人生大逆転した話
＊この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか？賞を取れるのか？プロも通うのか？〜
記事：夕焼けダンス（ライティング・ゼミ４月コース）
あなたは「風俗嬢」に対してどのようなイメージを持っているだろうか。
一般的に「借金まみれ」「性的なことが好き」「ホストにハマっている」等、偏見やあまり良くないイメージを持っている人が多いように思う。かく言う私も、そのイメージを持つ一人だった。
しかし、働いてみて分かったことだが、実際にはそういった風俗嬢は意外と少ない。
もちろんイメージ通りの風俗嬢もいるが、将来の夢のためや子どもの学費を稼ぐため等の理由で働いている風俗嬢も多い。
最近は、お小遣い稼ぎ感覚で本業＋風俗のダブルワークを始める女性も増えている。
以前、私は別の仕事をしていたのが、要領が悪く人をイラつかせる天才だった。同時に物事を進めるのが苦手で、一つ一つの仕事に人の倍の時間がかかってしまう。周りを見る余裕もなく、自分の仕事だけで毎日あっぷあっぷ。
そんな自分に腹が立ち、悔しくて泣きながら帰宅することもしばしば。どんどん自分を嫌いになっていった。そして精神的にも肉体的にも限界を迎えた私は、退職を決意した。
思えば、物心ついた時から人と感覚や考え方が違うと感じることが多く、漠然とした生きづらさを抱えていた。
第一子だということもあってか、両親はしっかりと躾をするタイプであったため、ぱっと見普通の常識ある人間に育った。そのため、人間関係で困ったり集団の中で孤独になったりすることはなかったが、仲の良い友達や家族と一緒にいる時でさえも、どこか一人でいるような、なんとなく寂しい気持ちが常にあった。
また、社会に溶け込もうとする度に、本当の自分を否定しているような気持ちでいっぱいになっていた。
どちらかというと恵まれた家庭で育ったはずなのに、人とのズレを繰り返し実感しながら大人になった私の自己肯定感は、いつの間にかズタボロになっていた。
そんな私が、自分を受け入れ個性を武器にすることができる天職に辿り着いた。
それが「風俗嬢」だったのだ。
ここから私の人生大逆転劇が始まる。
退職後は複数のアルバイトで食い繋ぐも、ストレスから体に不調が出てしまいどれも長くは続かなかった。貯金も底をつき、毎日豆腐とモヤシをちまちま食べるその日暮らしの生活。
心身の調子が良い時に一気に稼げる仕事はないか探していたところ、魅力的な日給の求人が目に入る。
日給8万円以上……。
そんなわけなかろうと思いつつ、頭の中にはもう風俗嬢になる選択肢しかなくなり、色々な風俗店の求人を探し漁った。
しかし、次第に冷静になって来た私は改めて考えた。
顔が整っているわけでもなく、スタイルが良いわけでもない。
今まで容姿に関して色々なことを言われてきたが、初対面の人から唐突に「塩豆大福みたいだね」と、謎のコメントをいただいたこともある。そんな私を雇ってくれる風俗店はあるのか？
更にネックになったのが「体型」だった。私はいわゆる「わがままボディ」であるが、ぽっちゃり専門店に在籍するには軽量、という絶妙なラインにいた。
痩せれば解決する話なのだが、すぐに働き始めなければ生活できない状況であったため、ぽっちゃり専門店ではないが、ぽっちゃりでもウケが良さそうなコンセプトの風俗店を探した。
奇跡的に良さそうな店を見つけ、いざ、面接へ。
面接担当は業界歴20年のベテラン店長。
面接を終え、彼は「あなたは絶対売れると思います」と断言した。
世の中に絶対なんてものはないし、私のことをよく知りもしないのに何を言っているんだ、と心の中で思いながら採用されたことに一安心。
数日後、私は業界未経験であったため一通り講習を受け、いよいよデビュー。
初日から接客したお客様の満足度が非常に高く、入店３ヶ月目以降はその月のリピーターの延べ人数で順位が決まるランキングにも入り続けた。
「あなたは絶対売れると思います」
……20年の勘は侮れない。
自分がしたことに対して、こんなに評価してもらえたことは人生で初めてで、頑張った分だけ結果がついてくることに喜びを感じた。今まで取り組んできたことや、ネガティブにすら思っていた自分の性格まで全て仕事に活かされ、どんな仕事をしても上手くいかなかった私が、自分らしく働ける幸せを感じられたのだ。
風俗店は、ある種のテーマパークで、風俗嬢はテーマパークのキャストであると私は考えている。
店にはいくつか種類があり、サービス内容がそれぞれ違う。また、学園もの・ナース・CA・ぽっちゃり専門店・モデル並の容姿の女性のみを集めた店舗等、コンセプトが細かく枝分かれしている。
男性なら誰でも一度は妄想するような王道のものから少々マニアックなものまで、ニーズに合わせて幅広く展開している大人のテーマパークなのだ。
キャストである風俗嬢は、テーマパークの世界観を演出しながら「性」「癒し」「ロマン」を売り、自分らしさをベースに残しつつ、お客様の好みに合わせて理想の女性を演じる。
清楚系から痴女系まで、お望みの通りに変幻自在。お客様に、疑似恋愛や非日常的な体験を楽しんでもらう。
メンタルをすり減らしながら働き続け、精神的に病んでしまうキャストもいるが、私の場合は完全に仕事だと割り切っているため、メンタルは全く病むことがない。普通なら嫌な気持ちになるような接客中の体験も、面白おかしく心の中でネタにして愉快に過ごしている。
あれだけコンプレックスに感じていた容姿は、愛嬌とコミュニケーション能力でカバーされているのか、お客様から褒めていただけることが多い。
「わがままボディ」も狙い通り大ウケである。
更に、負けず嫌いな性格と性的に奔放な気質も良い方向に発揮されている。
より良いサービスを提供してお客様に喜んでもらおうと、大人のビデオを鑑賞したりテクニックを磨くための外部講習を自ら受けに行ったり等、性のプロフェッショナルとして、とことん追求しキャストになりきる。
この仕事と真摯に向き合い、イヤイヤではなく活き活きと、楽しんでいるのだ。
たくさんの褒め言葉と、売り上げや指名本数という目に見える結果で自信がつき、もう変えられないと思っていたズタボロの自己肯定感も改善されつつある。
また、時間と金銭面に余裕ができ、人生の選択肢が大幅に増えた。職場と家の行き来をするだけのモノクロな生活から、好奇心のままに色々なことにチャレンジできるカラフルな日々へと変わったのである。その中で、将来の夢も見つかり、今は明確な目標を持って働いている。
ちなみにこのライティング・ゼミは、遊びに来てくださったお客様に勧められて参加を決めた。
この記事は、風俗の仕事を斡旋しているわけでも、賞賛されたいと思っているわけでもなく、天職を見つけ人生が大きく変わった一つの体験談として綴った。
生きづらさを抱え、自分を嫌いになっていく私はもういない。
自分らしく活き活きと働ける「風俗嬢」という仕事に辿り着き、人生大逆転したのである。
＊＊＊
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