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愚者未満


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記事:アヤノコウジ(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
鉄血宰相と呼ばれたドイツの名宰相ビスマルクが残したあまりにも有名な言葉である。
何かを判断する際、自分の経験のみを頼りにするのではなく、他者の経験に学ぶことでより良い判断ができる、という意味である。
 
なるほど。
他人の経験から学べる人間が賢者なのは分かる。
自分の経験からしか学べない人間が愚者なのも、まぁ分かる。
 
ここで疑問が生まれる。
では、自分の経験からでさえも学ぶことができない、愚者にすらなることができない自分は一体何者なのだろうか。
 
これまでの人生を振り返れば、四半世紀ほどしか生きていないにも拘わらず、多くの後悔をしてきたように思う。そして恥ずかしながら、それを糧に改善してこられたかというと、非常に怪しい。「人間だもの」そう言いたくもなる。
 
そこで今日は、不特定多数の人間に晒してしまっても問題のない話を少ししようと思う。
まず一つ目は、高校の部活を途中でやめたことだ。私は小学5年生のころからテニスをしており、中学でも高校でも部活ではテニスをしていた。テニス自体も強くはなかったが、好きであったし、一緒にテニスをする部活の仲間たちも好きであった。だが、私は高校2年生の1月、2年生としての最後の大会で部活を辞めてしまった。理由は単純明快で、受験勉強をするためだった。私が通っていた高校はいわゆる自称進学校の類で、受験勉強を理由に部活を辞める人も一定数存在していた。そんな環境だったから、自身の成績が思わしくないこともあり、部活を辞める選択はとても簡単に取れた。取れてしまった。
 
結果として、志望校に合格することができた。だが、当時の部活同期と会うたびに思う。最後まで部活を続ける方が、例え大学に落ちたとしても良かったのでないか、と。幸い、浪人が許されないような家庭環境ではなかった。であれば、現役で大学に合格することよりも、人生で1回しか経験できない高校3年生の時の総体を優先しても良かったのではと。
 
このことから、自分はその瞬間、瞬間でしか体験できないモノに価値をより感じる人間であるということを感じ取った。感じただけで学んではいない。
 
その後大学生となり、ひとり暮らしをはじめ、自由を得た。経済学部に進学したのだが、そこはパラダイス経済と呼ばれていることを入ってから知る。何がパラダイスなのだろうか? 答えは非常に簡単で、とても単位が取りやすく、卒業するだけならだれでも楽勝だということだ。
そして、過去の経験・感情などすっかり地元に置いてきた私が大学生活で没頭したことは、ゲームだった。よりにもよって、ゲームだった。SplatoonやAPEX Legendsといった、日本のゲーマーたちを虜にしたゲームに、私も魅了されてしまった。今までの累計プレイ時間は、恐らく少なく見積もっても5000時間は超えているだろう。その5000時間を勉強に当てていれば、公認会計士くらいは取れていたのではないだろうか。しかし、自分がゲームに熱中している間は、近視眼的になってしまい、感情が楽しいのみで埋め尽くされてしまうため、もう後の祭りだ。
 
そんな日々を過ごしていると、大学3年生になり就職活動が始まった。賢者ではなくとも、一般人であれば就職活動にはそれなりの熱量を持って取り組むはずだ。現に私の周りの人間はそうであった。しかし、愚者にもなることができない私は、全くと言っていいほどやる気が出なかった。むしろ4年で卒業するのはもったいないから1年くらい休学した方が、人生得なのでは? とか考えているうちに本当に休学届を出してしまった。
 
2回目の就職活動では、当社比でやる気を出して取り組んだが、それでも不十分だった。自分の行きたい会社、やりたい仕事に就くことはできなかった。曲がりなりにも目標があったのだから、そこまでの道筋もある程度は見えていたのだから、もっとがむしゃらになれよ、と過去の自分に言いたいところだ。
 
思い返せば、自分の人生における数多の選択に、本気で後悔したことはないのかもしれない。だから自分の経験からすらも学ぶことができないのだろう。「あの選択はあれで良かった」 そう強く思っているのだ。こう思えることは悪くないが、きっと最善ではない。あれはあれで良かった、と思いながらもその後に最善をつかみ取るための行動を私は行うべきなのだ。
幸い、自分の行きたいと思っていた会社は既卒でも採用を受け付けている。今の仕事に大きな不満があるというわけではない。だが、世界で一番面白そうだと、一度そう思ってしまった仕事を経験することなく死んでしまったら、それは嫌だ。死の間際に「あの選択はあれで良かった」 と過去を美化して自分を擁護していたくはない。賢者にはなれずとも、愚者なりに自分の魂に恥じない生き方をしていきたい。
そう思っていたときに天狼院書店のライティングゼミを知った。自分のやりたい仕事に就くためには、ここで学ぶことは大きく役に立つはずだ。
 
だから、愚者未満の私が、せめて愚者になるためにこのライティングゼミに申し込んだ。初回の課題を提出した。愚者未満らしく、締め切りギリギリに。
 
 
 
 
***
 
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2023-04-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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