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50代の派遣社員、コールセンターの仕事をする


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記事:ちえみちえ(ライティング実践教室)
 
 
昨年から数か月ごとに違う職場で派遣社員として働いているが、なかなか自分にマッチした仕事に巡り合えないものだ。
 
「事務の仕事に就けるだけでも有り難く思いなさい」
そう言う人も周りにはいるが、年を取るにつれて順応することが難しくなっているようだ。
 
事務の職務経験はあるものの、50代前半になると、直接雇用では狭き門となる。
だからこそ、派遣会社から事務の仕事の依頼が来れば有り難く思い、できるだけ引き受けている。
 
でも、今年5月1日からスタートした自治体から業務委託された新型コロナワクチン接種の電話予約受付の仕事は、想像していたより過酷で、大変な仕事であることがわかった……。
 
5月から8月までは、令和5年度春接種と呼ばれ、接種対象者は高齢者など限定されているので、今回、仕事の紹介をいただいた時は、「大変な仕事ではない」と思い引き受けた。
ところが、実際、コールセンターに着台してみて、とても難しく、私には不向きだった。
 
「どんな仕事も最初は慣れるまで大変だよ」
人はそう言い、ほぼ同じアドバイスをする。
 
何が大変か……?
何が私には合わないのか……?
主に取り上げれば、三つある。
 
まず一つは、ヘッドセットを付けて、さらにマスクも付けて電話応対することである。
マスク着用が現在は義務化されてはいないが、直接、声を出す仕事ゆえに、一人一人、席がブースで仕切られているとはいえ、職場ではマスク着用を義務付けられている。
個人差はあるだろうが、元々、衣類以外のものを付けることが苦手な私には、マスクに加えて、他のものを身体に付けることに違和感がある。
普段からヘッドフォンをつけて音楽を聴いている人や帽子を着用することが好きな人には、不快感なく、仕事ができるかもしれない。
でも、マスクも着用しての電話応対は、息苦しさを感じ、酸欠になりそうなほど辛くなる人も少なくないだろう。
 
二つ目は、新人の電話応対をリーダーがモニタリングすることだ。
お客様との電話の応対内容を、自席の横でリーダーもヘッドセットを付けて間違っていないかフォローする。
応対に困った時に助けてくれることは有り難いのだが、ただでさえ、研修を終えたばかりで不慣れであり、主に高齢者が電話口のため、聴き取りづらいこともある。それなのに、電話を受けている時に、歯に衣着せずダメ出しをしてくるのだ。
 
「お電話ありがとうございました」と電話を終了する。
「リーダー、フォローありがとうございました」とお礼の言葉を述べる。
この繰り返しは、精神的にかなりのストレスになっているようだ。
 
三つ目は、周知事項が日々変わることだ。
例えば、前日まで接種できる医療機関が満員のため予約出来なかったが、当日の業務の日には予約枠が増えていることもある。
また、システム上は予約できてしまうが、予約を取ってはいけない医療機関もある。
パソコン上の掲示板を常に確認するよう指示はされるが、仕事内容に慣れていない状況では、頭に入れておくのは50代の私にはなかなか難しい。
 
4月に3日間研修はあり、5月から数日、仕事に就いてみたが、ストレスからか、翌日に仕事がある日は、熟睡できず、夜中に何度か起きてしまう……。
 
たった数日しか働いていないが、辞めたくなり、派遣会社に現状を伝えて、相談をした。
予約の電話件数が落ち着けば、派遣の契約を終了できるかもしれない……。
 
今回、コールセンターの仕事を甘く見ていたようだ。
座り仕事でノルマがあるわけではないから、楽な仕事であるという勘違いがあった。
でも、実際、着台してみたら、ノルマではないが、電話受信件数の成績のようなものが毎日データとして残される。
電話内容も全て録音されていて、何かあったら大きな問題になる責任がある大変な仕事だったのだ。
実際に、業務に就いてみたからこそ、大変さがわかった。
 
どんなことも経験してみないとわからないことが多い。
経験したことで、同じ悩みを持つ人に、人生の先輩として、少しだけ役に立つかもしれない。
 
人生100年時代と言われている。
50代は、車に例えれば、車検のようなものだ。
ここで、人生を振り返り、もっと、自分をメンテナンスしたほうが良いかもしれない。
 
派遣会社から仕事の紹介があったらすぐ引き受けるのではない。
直接雇用でも、採用してくれる職場ならどこでもがむしゃらに頑張ろうと思わない方が良い。
 
我慢し続けることで、どれだけ寿命が縮むだろうか……?
もっと、自分を大切にして、明るく楽しく生きていくことで、老後のシニア生活はきっと変わり、長生きできる。
 
そう信じて、少し、前向きに考えられたら、やっと熟睡できた。
夜11時半就寝、翌日7時起床。
今日の目覚めはスッキリだ。
今日もまた、コールセンターの仕事をする。
でも、もう少しの辛抱だ!
人生の中での修行の一つであり、良い経験になっている。
 
 
 
 
***
 
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2023-05-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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