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我が家はサンタクロースと5000円の契約です!


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記事:アズマヤミワ (ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「我が家はサンタクロースと5000円の契約です!」
 
長男が3年生だったか4年生だったか。
小学校から帰ってきて開口一番に私にこう言った。
「ママ、サンタクロースっていないんでしょ? パパとママがサンタさんなんでしょ?」
突然の告白に酷く動揺したのはママの私である。
「はぁ? なんで? なんでそう思うと?」
「友達がねYOUTUBEでそう言ってたって」
 
はい出ました、YOUTUBE。
そりゃ、お世話にもなってますよ、YOUTUBE。
 
近年の子供の情報源は間違いなくYOUTUBE。
有益情報も、不利益情報も簡単に刺激的に手に入ってしまう。
YOUTUBEを全否定するわけでは全くないことは先に言っておく。
 
私は幼少期の「ファンタジー要素」は大切に育んであげたいと思っている。
なぜなら、自分自身がサンタクロースのファンタジーを親に無残にも傷つけられてしまった
過去があるからである。
その状況は今でも鮮明に憶えている。
 
サンタさんへの手紙を玄関に貼ってクリスマスを楽しみにしていた。
ある日、その手紙がなくなっていたのでサンタさんが読んで持って帰ってくれた!
と歓喜に沸いたのも束の間。
勝手口のごみ箱にくしゃくしゃに丸められて捨てられているのを発見してしまったのだ。
あまりのショックにこの事実は親にも言わないまま、そっと胸に仕舞い込み、
「サンタクロースと私」というファンタジー物語は強制終了してしまった。
案の定、母親から「サンタクロースはいないよ」と小学生の高学年にカミングアウトされた。
 
そんなこともあり、サンタクロースの来るクリスマスというイベントを
無邪気に子供達には楽しんでほしかった。
それなのにだ、YOUTUBEときたら!
私と息子達のファンタジーの世界をぶち壊しにやってきた。
落ち着け、落ち着け!
突然の出来事にサンタクロース実在問題の解答をもっていなかった私は震度6ほどの
動揺をしてしまった。
 
そして咄嗟に出てしまった!
 
「うちはサンタクロースと生まれたときに契約してるんよ!」
 
「えっ!? どういうこと?」
そりゃそうだ。その返答は正解だよ。
「多分、友達がみたYOUTUBEの家はサンタクロースと契約しなかったんだろうね!
だからお母さんたちがサンタクロースをやってる家なんだと思うよ。サンタクロースとの契約は生まれた時にしかできないのよ。1回しかチャンスないからね」
「へぇー」
 
ここはチャンス到来! と思った私は
 
「我が家はサンタクロースと5000円の契約です!」
 
 
冒頭の一文を声高らかに長男に伝えたのだ。
 
「うちはサンタさんと5000円で契約してるから5000円までのプレゼントを選んだらそれを
プレゼントしてもらえるよ!」
息子も学年が上るにつれ欲しいプレゼントがゲームソフトなど高価なものになりつつあった。
プレゼント価格の設定をどうするか悩んでいたところにまさかの展開が転がり込んできた。
この機会を逃すわけにはいかない!
「現実味を帯びたファンタジー」という新たな分野を立ち上げ、プレゼント価格設定問題に
斬り込んだのだ。
 
クリスマスの1か月前。
サンタさんへの注文予約ができるので息子たちは「Amazon」で欲しいプレゼントを物色し、
お手紙を作成するのがプレゼントの発注方法である。
長男が次男の希望のプレゼントを検索し、これは高い、これは安いから違うものの方がいいよなどアドバイスしている姿は微笑ましい。
嘘も方便で導入した「契約は5000円」はなかなかよかったのではないだろうか?
 
「現実味を帯びたファンタジー」を守るために気を付けないといけないことも多々ある。
・スマホを使わせる際はAmazonの注文状況を見られないように注意
・隠し場所
・プレゼントを置くときに起こさないようにする
・注文用紙である手紙の保管場所
・筆跡でばれない様にサンタクロースからの手紙は英語でPCで作成(直筆不可)
私が守ってもらえなかった「サンタクロースは実在するというファンタジー」を徹底して
守ってあげたい!
 
長男小学生5年生の時。
「ママ、どうしても10円多くなるんだけど。サンタさんに10円自分で出すからこのプレゼントをお願いできるか聞いてほしい」
長男からまさかのサンタさんへの交渉依頼が届いた。
もちろんOKである。
彼はクリスマスイブにサンタさんにわかりやすいように10円玉を貼った手紙を壁に貼り付けて
就寝した。
 
私はイベントに全力投球する癖がある。
子供の好きなご飯をパーティー仕様に作り、飾りつけをしてサンタクロース業務をこなす。
兼業主婦であるため時間のやりくりが大変であり身体的にしんどい勤務状況が続いたときは
イベントを投げ出してしまおうかと思う。
手を抜いてもいいんじゃないかとも思う。
しかし、それができない。
これは昨年、「星読み」というものに出会い自分のホロスコープが関係していることがわかり納得した。
 
まだまだファンタジーの世界にいる息子二人を楽しませてあげたい!
記憶に残るクリスマスを過ごしてほしい!
 
12月25日 朝。
壁に貼られた10円玉はきちんと回収され、
彼らの枕元には希望のプレゼントと様々な種類の「ポテトチップス」で埋め尽くされていた。
長男はニヤリと言った。
 
「サンタさん、 やりおったな」
 
私は全力で彼らの「ファンタジー」を守りつつ「エンタメ要素」も加えて楽しませることを
ここに誓う。
打倒! YOUTUBE!
 
 
 
 
***
 
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2023-05-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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