メディアグランプリ

他人を頼れない長女気質の私にちょっと変化が起こった出来事


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記事:溝口弘子(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「ひとから頼られやすく断れない」
「自分がしっかりしていないと、と思っており、責任感が強い」
「なんでも1人でやろうとする」
「自分の弱みを見せることができない」
上記は「長女の性格」で検索して出てきた主な内容である。
そうです、私は長女です。心当たりあるある!
 
若い頃は「面白味のない真面目な性格だもんなあ」と少し気にはしていたが、人生半分を過ぎるとそんなことは気にしなくなった、つもりだった。
 
これまでの50年以上の人生の中で、もりだくさんの紆余曲折を経験し、生真面目な自分を変えようと会話やコミュニケーションスキルを学び、とある勉強会で出会った大阪の人たちからは「大阪人に十分対抗できるおもろいトーク」と言われるほどに成長した。
というか、おもろいトークの努力をする時点で既に生真面目さがでているが。
 
そんな軽快トークを飛ばしながらもずっと頭の片隅でひっかかっていた自分の根っこの性格があった。私は、人前で恥をかきたくないようだ。
別の言い方をすれば「人に弱い部分を見せられない」のかもしれない。(ちなみにこれも長女あるあるのようだ)
 
そんなかっこつけしぃの私に、1つの気づきを与えてくれる出来事が最近起こった。
それは、「抱え地蔵」である。
 
時々、各地のお寺にある「願い事を思いながらお地蔵さまを持ち上げてみて、軽かったらその願いは叶い、持ち上げられなかったら願いにむけてもっと努力を」というあの「抱え地蔵」である。
 
平日は会社員、週末はカメラマンをしている私が、地方紙の仕事の撮影で女性の編集長と近所のお寺に取材に行った時の話である。
住職の案内で入った本堂の片隅に、石でできたお地蔵さまが安置されていた。
 
住職のお話を聞きながら、私はお堂やお地蔵さまを何枚か撮り、休憩中に住職と編集長がちょっと離れた間に、そのお地蔵さまを持ち上げたい気持ちにかられた。
願い事を心の中で言って、お地蔵さまのお尻のところに指先を入れる。
いや、重すぎて爪先しか入らない。
なので、力が入らない。
お地蔵さまはびくともしない。
 
だよねー、そうそう持ち上げられるものでもないよね。
やはり持ち上げられないか、と1人で納得して乾いた笑いをした。
 
そこに編集長と住職が戻ってきて、編集長が、お地蔵さまを持ち上げてみる、と言った。
彼女は、お願い事がありすぎて何にしよっかなーとニコニコしながら考えて、しばらくして「よし決めた」とお地蔵さまのお尻部分に手をかけた。
「思ったより重いー」と言いながらも手は離さない。
続けて「よーし!」と気合を入れて腰を低くして再度手に力を入れた。
 
と、その瞬間。
持ち上がった。
あの重かったお地蔵さまが。
 
編集長はそのままお地蔵さまを赤ちゃんをあやすように「よしよし」と言いながら自分の胸にお地蔵さんを寄せている。
本当に赤ちゃんのように編集長の腕の中でリラックスしている(ような)お地蔵さま。
その編集長の隣で「普通は持ち上げるだけなのに、抱っこまでした人、初めてです」と笑いながら目が点になっている住職。
 
これまで約20年間神社仏閣を巡ってきた私も、「抱え地蔵」をここまでがっつり抱き上げた人は初めて見た。
いや、かなり重かったぞ、お地蔵さま。
さすが編集長、と感服。
 
と、同時に「再チャレンジ」という言葉が、負けず嫌いの私の頭をよぎった。
「負けず嫌い」が長女気質かどうかなんてもうどうでもいい。
見事なまでの編集長の抱えっぷりを見ていると、悔しいと言うよりこちらも力が湧いてきた気がする。
 
編集長が見守る中、さっきの願い事と違う願い事を心の中で唱えて、笑顔でお地蔵さまのお尻と座布団の間に指をいれる。
 
確かに重いが、さっきと何か感触が違う。
いける。
「むん!」と体全体に力を入れると、お地蔵さまが持ち上がった。
一旦持ち上がると、さっきまでの重さは感じない。
その勢いでお地蔵さまを「よしよし」と赤ちゃん抱っこをする。
 
驚きと嬉しさと気づき。
持ち上がらなかった時の私は、指先だけに力を入れていた。そして心のどこかで「こんなに重いのだから持ち上げることなんて無理だ」と思っていた。
今回は何よりも「編集長のように私も抱っこする!」というしっかりとした目標があった。
そうなると自然と体全体でお地蔵さまを持ち上げようとしていた。気持ちと体はやはりリンクしているのか。
 
自分の弱いところは見せられない、というこの長女気質は無くならないと思うが、考え方を変えることはできる。
せっかく仲間といるのだ。失敗してもみんなで笑って軽く吹き飛ばす勢いがあるし、1人でやるよりも仲間がいると目標達成の近道となってくれるのだ。
仲間を信じる、ということが身に沁みて分かった出来事だった。
 
ちなみに、私が何を願ったかというと、お地蔵さまが持ち上がらなかった時の願いは個人的な目標で、持ち上がった時の願いは「職場のメンバーと楽しく仕事して目標達成に向けて全員で進んでいけますように」と、やはりどこか長女気質なものであった。
 
 
 
 
***
 
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2023-05-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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