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いつまでも若々しくい続ける秘訣とは


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記事:吉村奈緒子(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「いつまでも若々しくいる秘訣はなんですか?」
 
よく言われる言葉である。
残念ながら私に対してではない。うちの父に対してである。
 
うちの父は83才。
立派な後期高齢者だが、「若いですね!」と他人に言われることが自慢であり、「また60代に見られちゃったよ! 参ったな~」などと、嬉しそうである。
まあ、多少のリップサービスはあるとしても、娘である私が見ても父は若い。実年齢よりも10~15歳ほどは若く見える。
 
姿勢がいいとか、丸顔だとか、肌艶がいいなどの見た目上の理由はもちろんある。が、私が父を見ていて「若い」と感じるのは、その好奇心の強さと向学心、そして人の目を気にせず邁進する姿である。
そして父を見ていると、こういう人が成長し続けるのだろうな、と感心するのだ。
 
すでに退官しているが、父は英文学の教授であった。だからなのか、語学にすごく関心がある。
父が勉強した語学は、英語はもちろん、ラテン語、ドイツ語、韓国語、中国語、である。その言語にハマると、テレビや本、カルチャースクールなどで勉強する他、家のあらゆるところに単語の表を貼る。実家のトイレには、いつも何かしらの表が貼られていた。
そしてその語学をある程度学んだら、その国からの旅行者と思しき外国人に話しかけまくるというステージに入る。
若い頃は父と外出するのが嫌だった。見知らぬ人にすぐ話しかけるのが理由だ。特に外国人と見ると、「どこから来たの?」と質問し、勉強している言葉で張り切って話しかける。
昔は「お父さん、もうやめて……」と気恥ずかしく思っていたが、語学上達の一番の近道はその言葉を使ってみることだ。自ら実践の場を作り出していたんだろうな、と今は思う。
 
語学以外にも、父がハマっている(いた)ことはたくさんある。
健康オタクな父に「身体にいいんだから」と、美味しくない食べ物を強いられることは常々として、合気道にハマっていた時には腕をひねりあげられ、古武道や新陰流という剣術の時にはひたすら型を見させられ、油絵の時には絵の説明を延々と聞かされ、PCやスマホの時には質問攻めにあったり設定を手伝わされるなど、娘としては若干迷惑に感じることも多かった。
 
が、父が若々しくいられるのは、「あれもやりたい」「これもやりたい」という好奇心で目をキラキラさせているからなのかな、と思ったりもする。
これと言って、やりたいことも趣味もない娘としては、父のあのハマりっぷりが羨ましくもある。人にどう思われるのかなど意に介さずに突き進んでいく姿は、大人になってみると眩しささえ感じるのだ。
 
大人になると、意識しないと漫然と日々が過ぎていく。
新鮮な驚きを感じることは少なくなり、気づくと1日が終わっている。1日、1週間、1ヶ月、1年、と単位が大きくなるごとに短く感じ、あっという間に過ぎていく日々に戦慄している。
子供の頃の1年と、大人の1年の体感的な長さが違う理由については、それまで生きてきた年齢に反比例するという「ジャネーの法則」が有名だが、私としては、「新しい体験や刺激」が影響する説を重視したい。同じことを繰り返している時よりも、経験をしたことがないことをしている時は、脳にドーパミンが分泌されて脳が活性化し、時間が長く感じられるというものだ。最近、新鮮な驚きを感じたことがどれだけあっただろうか。
 
少なくとも父は私よりも長く濃い1年を過ごしている気がする。どうやら今は音楽にハマっているらしく、こんな機材を買ったと自慢げなLINEが届いた。
 
40歳も過ぎたが、私には未だにこれと言った趣味は見つからない。読書や旅行は好きだが、熱狂的にハマれそうなものが現れる気配はない。
そこで趣味の見つけ方を検索していたところ、「趣味がないなら勉強しろ」といった類のコメントを見つけ、それもそうだな、と勉強をしてみることにした。
このライティング講座の受講を決めたのもその一貫だ。また、勢い余って今週からのデータサイエンス講座を申し込んでしまったが、少し後悔している。積読も増える一方だし、仕事もあるし、果たしてやりきれるのだろうか。少々不安だが、このライティング講座もヒーヒー言いながらも毎回課題を出せているので、何とかなるに違いない。たぶん。
新しいことを学ぶことで仕事に活かせることはもちろん、新しい刺激により脳が活性化し、脳のシナプスが増えるんじゃないかと期待している。そしてその世界に没頭できたらシメたものだ。
 
傍若無人ではあるが、好奇心に溢れ、若々しい父。
父のように見ず知らずの人に話しかけまくることは真似できそうにないが、新しい刺激を自らに与え、せめて内面だけでも父のように若くありたいと思う。
 
年齢や人の目を気にせず、好奇心を持ってチャレンジをしてみること、それがいつまでも若々しくいる秘訣なのだと、父から学んだ。
面白いと感じられるかはやってみないと分からない。フットワーク軽く新しい体験をすることで、脳に刺激を与えたいものである。
83歳の父に負けてはいられない。
 
 
 
 
***
 
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2023-06-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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