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パワハラ社長だった私が生まれ変わったきっかけ


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記事:イシヤマ(ライティング・ゼミスピード通信コース)
 
 
「何度同じ間違いをしたら気が済むんか!」
「これ前に言いましたよね! 反省してるの? してないでしょ!」
「このままでいいと思ってるんかー!」
 
九州の片田舎で製造業の三代目社長をしています。
社長に就任した12年前、私は“厳しい社長”でした。
朝礼で前日のクレーム、事故、失敗の報告があると、ひとつ聞いてはミスした社員を怒鳴りつけていました。社員はうつむいて私の話を聞いているだけ。
当時の弊社には、仕事ができないだけでなくて他人の足を引っ張る者や同じ失敗を繰り返す社員が少なからずいたことが背景にありました。
 
先代の母は「赤字だ、赤字だ」と「人より1秒努力しろ」が口癖の人。しかし業績が良くても悪くても社員には「赤字だ」と言い続け、事務所で新聞を広げてのんびり事務員を相手におしゃべりをし、現場でも作業中の社員と身の上話をする人で、とても「努力」が伝わる雰囲気ではありませんでした。社員が功績あげても、ミスをしても基本的にはなあなあで済ませていました。事業環境の良いときはそれでも仕事が回っていくのですが、景気が悪くなると歯車が猛烈な勢いで逆転していきました。
 
そんな中の代替わりだったのです。先代のやり方では社員がたるんでいくばかりだと思いました。だから、自分は厳しく接して、しかし褒めるべきときは褒めようと考えていました。
ところが思いとは裏腹に出てくるのはクレーム、車両の物損事故、不注意でミスをしたという報告ばかり。そのすべてを叱りつけ、反省を促し、それでも改まらないときはきつい言葉を浴びせました。が、状況は悪くなる一方。それどころか会議を開くと幹部社員が先頭に立って「自分は従業員代表だ」「会社(=社長)が悪いから改善しない」などと言い出す始末。毎日が憂鬱でした。
会社の業績もどんどん落ち込んでいき、会社の資産をまとめても借入金が返せない状態になりました。倒産寸前だったのです。
 
転機がきたのは、社長就任翌年に息子が生まれたことでした。約1年は主に妻が産休をとって面倒を見ていましたが、産休が明けると勤め人の妻より時間に融通のききやすい私が育児の中心を担うことになりました。
 
「ああ、イクメンの話ですね」とまとめられそうになるのですが、私の知っているイクメンというのは、母親のサポートをする父親のことだと思います。それも十分立派なことなのですが、息子が保育園に通い始めてからの私の一日はこんな感じでした。
 
息子と一緒に起き、朝ごはんを食べさせ、おむつを替えて着替えさせてDVDのしまじろうを見せている間に自分も準備して家を出て保育園に着いたら泣きわめく息子を保育士さんが引っ剥がして逃げるように出勤。夕方はできるだけ早く仕事を切り上げて閉園時間までに迎えに行き、近くにある私の実家で親子ともども夕食を食べて風呂に入って帰宅したら息子に読み聞かせをしながら寝落ちして翌朝まで添い寝。
休日も、妻が出勤することがあるので基本的に私が近所を散歩したり、公園に連れて行ったりしていました。
 
よく言われたものです。
「イクメン通り越して、父子家庭だね」
と。友人からは、自分に飛び火するのを恐れて
「ウチの嫁には教えないで」
ともよく言われました。
「奥さん何してるの?」
もよく指摘されたのですが、彼女も何もしなかったわけではなく、食事や着替えの準備など、できることはやってくれていました。
 
誰もが経験すると思いますが、幼児期の子育ては忍耐の連続です。夜泣き、わがまま、予想外の行動、出勤間際のオムツ替え……思い通りにならないことばかりです。
 
でも気づいたのです。1~2歳の子どもが泣いたり駄々をこねたりするのを怒ったところで何も変わらないことに。怒ったところで、こちらが疲れたり自己嫌悪に陥ったりするだけです。自然と、思い通りにならないことに対して湧いてくる怒りのエネルギーを、前向きな解決に使うようになっていました。
具体的には、できるだけ育児について調べました。特に、「叱らない子育て」のような本はできる限り目を通して、子どもを従わせるのではなくて自発的に望んだ行動をとるよう仕向けることにしました。
少し大きくなったら、外出の際には「予告」をするようになりました。
「スマホのアラームが鳴ったら家を出ますよ」
「クルマが保育園に着いたらすぐに降りて教室に行きますよ」
というように、行動予定と次に取るべき行動を先に予告しておくと、息子もグズグズしないで次の行動に移りやすくなりました。
 
そんな日々が続くうちに、いつの間にか変化が起きていました。
社員を叱責するのをやめていたのです。
 
叱責するのではなくて、前向きな解決方法を考えるようにしました。
叱責するのではなくて、直すべき点を具体的に伝えるようにしました。
 
同じ時期に、幹部社員の一人が取り巻きを連れて退職しました。事あるごとに「会社が悪い、経営者が悪い」と会議で私を糾弾する人でした。顧客も一緒に持っていかれたのはキツかったのですが、今にして思えばイライラの対象が減ったのはむしろ好都合でした。
 
残った社員にはできるだけ前向きな解決方法を提案し、私の価値観を共有できるように話をしました。それでもイライラしたり叱責したりが無くなったわけではありませんが、以前のように怒鳴り散らすことはなくなりました。クレームや事故も徐々に減っていきました。
 
失った顧客についても、営業を勉強して新しい顧客を獲得できました。これも、新しい会社として出直すという社内への意思表示になったと思います。
 
現在ではこの地域・業界で最大規模となり、金融機関の診断書では全国でも上位数%との評価をいただくまでになりました。
 
当然、ここまで来るには社員の協力と努力なしには考えられなかったことです。
一方で、トップである自分がやり方を変えるだけで雰囲気が変わったり、風通しが良くなったと感じたことも多くありました。
 
ここに至るまでにもっとも大きな理由を挙げるならば、子育てで忍耐力がついたのだろうなあと思います。正直なところ、前向きな解決方法を考えたり改善点を提案するくらいなら怒鳴った方が楽でした。しかしそのやり方は、幼い子どもが泣きわめくことと変わらないことに気がついたのです。
子育てからリーダーシップを学んだことは、弊社の現在と無関係ではないと確信しているのです。
 
 
 
 
***
 
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2023-06-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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