読めない自分と、認知症からの脱却
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:吉村奈緒子(ライティング・ゼミ4月コース)
あんなに好きだったはずの本が読めない。
その状態が数年間続き、私はモヤモヤしていた。
子供の頃から読書が好きだった。
図書館に通い詰め、新しい国語の教科書は配布されてすぐに読破、本に没頭しすぎて生返事をし、母に怒られるような子供だった。
それは大人になっても変わらず、いわゆる「活字中毒」だったと思う。特に小説が好きで、1日に数冊読むことも珍しくなかった。
なのに、いつの間にか本を読まなくなった。
いや、読めなくなったのだ。
読書欲がなくなり、読もうとしても集中できない。
本の上を目が滑り、ページをめくるものの内容が頭に入ってこない。
以前は読書を途中で止められず苦労したのに、集中して最後まで読むことの方が難しくなった。ついスマホを触ったり、TVを見始めたりで中断してしまう。
気になる本はあるのに、手が伸びない。
漫画は読めるのに、活字の本が読めない。
以前の自分では考えられない事態に戸惑ったが、いつしか読書から遠ざかっていた。
なぜそうなってしまったのか、理由がずっと分からなかったのだが、突如気づいた。
読めなくなった原因、それはかなりの数の日本人が持っているアイツだった。
それに気づいたきっかけは、資格取得への挑戦だった。
「キャリアコンサルタント」国家資格を取るため、養成講座への参加と自己学習で試験勉強を始めた私は、「テキストの内容をじっくり読むのがつらい」という、勉強をする上で致命的なことに気づいた。問題文を読んで回答することすら苦痛に感じる。
「え、私こんなにアホだったっけ?」と愕然とした。
文章が全然頭に入ってこない。
読書できないどころじゃない、短い文章だって読めないじゃないか。
アホな上に、生来の怠け者であることも手伝い、試験1ヶ月前に受けた模試は惨憺たる結果であった。
合格判定「C」という結果を叩き出し、さすがに焦った私はそこから猛勉強を始めた。
小難しい言い回しの文章を読むのは苦痛だが、そうも言っていられない。
平日の夜も休日も試験勉強をした。お尻に火がついているので、こちとら本気である。
がむしゃらに勉強を進めるうちに、文章を読むことを苦痛に感じなくなっていった。テキストを読み直し、問題を繰り返し解くごとに、集中力が増した。
その結果、実技・学科ともに無事合格。1ヶ月前の学科模試でC判定だった私が、本番で100点満点中80点取れたのだから上出来である。
そして、気づけば本が読めるようになっていた。
思えば私はスマホ依存症だった。
少し時間があけばスマホをいじり、あとで必要な情報は写真に残したりブックマークしておく。疑問があればすぐスマホで検索。記憶する必要はない。
SNSやネットニュースなど文字を読む機会は多かったが、どんどんスクロールして斜め読みをし、内容を理解したつもりになっていた。
その繰り返しで、いつしか深く読み込むことや考えることを放棄し、脳を休めることもせずに浅い情報で頭をいっぱいにしていた。そのせいで文章を注意深く読むことや集中することができなくなったのだろう。
スマホ依存は「脳疲労」を引き起こし、集中力や記憶力に悪影響を及ぼすことが分かっている。
人間は受け取る情報を脳の「前頭前野」で処理しており、そこには大きく分けて下記3つの機能があるらしい。
① 浅く考える機能
② 深く考える機能
③ ぼんやりと考える機能
スマホで情報のインプットばかりしていると、①の「浅く考える機能」ばかりを使って疲弊してしまい、②③の機能は使われずにフリーズしてしまう。
その結果、物忘れやうっかりミスの増加、思考力や集中力、感情コントロール力の低下などが起こり、自律神経も乱れやすくなって身体的な不調やうつ病の発症もしやすくなるそうだ。
恐ろしいことだが、心当たりがあった。
「若年性アルツハイマー」なのではと自分を疑ったくらい、記憶力や思考力に自信が持てないタイミングがあったのだ。
実際に「スマホ認知症」とも言い、若者にも広がっているらしい。
私の場合は試験勉強を通して、注意深く文章を読んで知識を詰め込み、それを思い出す作業を繰り返したこと、だらだらスマホを見続けるような暇がなくなったことで、強制リセットされたのだろう。意図せず脳のリハビリになったのは幸運だった。
とはいえ、現在もついスマホを触ってしまう癖は抜けていない。
なので意識的に勉強をしたり、読書する時間を設けるようにしている。
読書ができなくなっていたら要注意。
私にとって、読書は「脳疲労」のリトマス試験紙だ。
そして、スマホはアルコールのようなもの。
少しなら楽しく健康にもよいが、頼りすぎ、摂取し過ぎに注意である。
たまにはスマホから離れ、じっくりと本を読もう。
ぼんやりと景色を眺めながら考え事をしたり、ライティング課題に取り組むのも良さそうだ。集中して何かをアウトプットすることは脳にとっては良い刺激になる。
自分の頭で記憶したり、深く考えることが人間には必要だ。
認知症になるにはまだ早い。
***
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