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今更名作鑑賞会を開催した話

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:米田有里
 
 
読んで字の如く、今更ながら名作と呼ばれる映画をさまざまな友人と同時視聴する会をオンラインでやっている。なんとなく始めたこの視聴方法は私に合っていて、月に1~2回のペースで1年以上続いている。はじめたきっかけは、友人と映画について話したことだった。
 
私も友人も、映画館や配信サービスで最近の映画はよく観るけれど、過去の作品はあまり観ていなかった。そして、名作映画を観たい気持ちはあるが、今更観るのは面倒だな、と言う気持ちがお互いにあったので、それなら2人で一緒に観よう!ということになった。
まず、いつか観ようと思っていた作品をそれぞれリストアップした。リストの中で同じ作品があった時、または片方のリストの中で気になる作品があったら一緒に鑑賞会をすることにした。
 
そのやり方でこれまで
ヒッチコックの 『鳥』 、『見知らぬ乗客』、ジョンウーの 『男たちの挽歌』 、ジョンランディスの 『ブルースブラザーズ』、スティーブンスピルバーグの 『ジョーズ』 、ウィリアムフリードキンの 『エクソシスト』 、クエンティンタランティーノの 『パルプフィクション』 などの映画を 今更ながら観てきた。
 
そもそも私がなんで名作を観るのが億劫になったかと言うと、名作と呼ばれるものは見ているのが当たり前で、有名すぎるがために今更観るのはなんだか恥ずかしかったからだ。それに、有名作品はタイトルと大体のあらすじは知っているけれど中身はよくわからない。まるでお盆と正月に会うだけの遠い親戚のように部分的には知っているけど全体像や詳しいことは一切わからない。それでもおおまかには知っているから、その断片の情報で十分わかった気がして満足してしまい、今更ちゃんと鑑賞しようという気になれなかった。
 
しかし、実際見てみると、自分が有名作品についてとんでもない知ったかぶりをしていたことに気付いた。有名なシーンだけは知っていてもその前後にあるストーリーを知らないので、何度も断片的に見たことがあるシーンでも全体を通して鑑賞すると、印象が変わって新鮮に観ることができた。
特に 『エクソシスト』 は観る前と後で印象が大きく変わった。悪魔に取り憑かれた女の子が顔を180度回転させたり宙に浮いたり暴れる悪魔祓いシーンが有名だが、その悪魔祓いをするのは130分の映画のうち最後の20分しかない。
盤から危険な空気は漂っているが、最初は静かな人間ドラマがじっくり描かれていて驚いた。そして画面に悪魔が出てきていないのに緊張感漂うシーンの連続に目が離せなくなっていった。あまりにも面白くて、この映画を倍速やまとめ動画を見ただけで、観たことにしなくて良かったと感じた。
 
また、名作映画と言われているけれど、私と友人には全く楽しめる要素がなく、これは一体なんだろうと首を傾げる作品もあった。そんな時は、なぜこの映画は名作と呼ばれたのか? と一緒に考えると楽しい。考える過程で、当時は新しかった表現方法や撮影技術を知ることになった。ヒッチコックの 『鳥』 で当時最新鋭の合成技術で鳥が人を襲うシーンを撮影した話や、『ジョーズ』の人食いサメを表現するために作られたサメロボットの話を知ることで、どこかで見たことがあるシーンが何倍も面白く感じられた。
 
オンラインで映画の同時視聴会をやってみて良かったと思う点は次の二つだ。
1つに同時視聴することで馴染みのない作品も気軽に楽しめる。たとえ作品が自分の好みと合わなくても、つまらないね、と言う相手がいればそれだけで楽しい。中弛みしているシーンがあっても、キャラクターのセリフや服装にいちいちツッコミながら見ると面白い。また、人によって印象に残るシーンが違うのがよくわかって、友人の好みも見えてくるのが興味深かった。1人でじっくり観る作品はもちろん面白いが、同時視聴してくれる伴走者がいると1人では見えなかった部分も見えてきて面白さが多面的になる。
2つに、名作と呼ばれる映画を見ることで、見た後に映画の評論本や最近公開の作品をより楽しめるようになったこと。オマージュ元を観ていることで、この監督はあの作品をリスペクトしているのか! とわかって、さらに作品への興味が深まった。また、雑誌で昔の名作映画が出てきたり、たとえ話に使われたときにすっと頭に入ってくるようになったので、映画にまつわる本を読んだとき、なるほどそういうことか、と納得して読み進められることが増えた。
 
逆に、同時視聴の良くない部分もあった。それは、相手とワイワイ話しながら視聴することで、1人で物語の内容をじっくり受け止める時間が作れないことだ。それでも、1人で見ていたらよく分からないまま終わっていた映画を、一緒に見る人が話の流れを教えてくれたり、シーンの意味を2人で考えたりするのもかけがえのない鑑賞体験だと感じる。
 
映画にとどまらず、 「だいたいこんなものだろう」 と時間をケチって簡潔な情報だけ得ようとしてしまう時がある。そうして一見時間の節約をしたつもりでも、浅い理解だけでは、その上に知識を積み重ねることが難しく、情報を自分の頭の中で組み立てることが出来なくなる。 組み立てられたとしても、欠陥住宅のように頼りなく、少しの衝撃でバラバラになってしまうだろう。
時間は有限なので全ての物事を完全に知ることは出来ないが、好きなものくらいは時間をケチらずに、正面から向き合いたい。
そのためにも、これからも新旧問わずに映画を時間をかけて見続けたい。
 
 
 
 
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2023-07-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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