風邪を悪化させるお家カラオケ
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記事:福田聖也 ライティング・ゼミ6月コース)
「ごめん、頭痛いから歌うの止めてもらっていい?」
これは、当時住んでいたマンションの隣人に言われた。
僕が何をしていたかというと、お家カラオケである。
コロナでカラオケに行けないことを理由にして、家でガンガンにカラオケをしていた。
今思えば当然だが、となりの部屋に僕の歌がだだ漏れだったのである。
コロナのときはお家〇〇が流行っていた。
僕もYou Tubeなどでお家カフェなど家でも楽しく過ごす方法を試していた。
そこで出会ったのがお家カラオケである。
ここからは僕が、隣の人の風邪をどのように悪化させたのかを話していこうと思う。
くれぐれも真似しないように。
カラオケをするときはカラオケボックスやスナックなどに行くのが普通だと思うが、
今は家庭用のテレビゲームにカラオケが入っていたり、なんとスマホでできるのである。
カラオケが大好きな僕は、1ヶ月も行けないことに耐えられなかった。
さっそくスマホアプリをダウンロードしてカラオケをした。
たしかにカラオケができる! と思ったが何か違う。
「マイクが足りないんだ!」
僕はアマゾンでマイクを注文した。
マイクの持ち手の部分にスピーカー、声を大きくする機械が入っているマイクだ。
最近のテクノロジーはすごくて、エコーのように声を反響させたりできるらしい。
歌ってみるとめちゃくちゃ気持ちいい。
ほぼカラオケだ。
歌声が反響して心地よく耳に響く。
僕の抑揚のない声が機械のパワーでいい声に変わって、部屋全体に響いている
2週間はスマホの画面を見ながら、マイクで歌うという日々でストレスを発散させていた。
しかし僕はまだ何か足りないと思っていた。
スマホから流れる音にパワーが無かった。
カラオケボックスなら音楽がガンガンに流れてきてうるさいくらいの音がでている。
そこで僕はギターのアンプをスピーカー代わりにして音楽を流すことにした。
これがもう最高だった。
部屋中に響く重低音。
音楽にもパワーが出て、声もカラオケのようになった。
僕は最後の仕上げをすることにした。
スマホとテレビをつなぎ、スマホの画面をテレビに移すようにしたのである。
するとどうだろう、歌詞に合わせて文字の色がかわり音程バーまでついている。
マイクで声は響き、音楽はこれでもかというくらいパワフルだ。
もう気持ちいいなんてもんじゃない。
快感だった。
ただ僕は当時、18歳のビビリな若者である。
近所迷惑になっていないか気にならないわけがない。
徹底的に音のチェックをした。
スピーカーの音量を最大まであげて、外に漏れていないかチェックした。
さすが新築マンション、少しも音漏れしていなかったのだ。
ちゃんとドアさえ閉めていれば音漏れすることはなかった。
縛りや理性で行動をコントロールしなくていいと知った人間がどうなるのか。
そう、本能に従うだけになるのである。
音漏れしないことがわかった僕は、
ひたすら、何曲も何曲も歌った。
コロナのストレスを発散するように、
初めてのひとり暮らしの不安に気づかないために。
このまま誰とも会えないんじゃないか、という恐怖からお家カラオケは遠ざけてくれた。
だけど僕は、自分の声量という最大の問題に気づいていなかったのである。
スピーカーの音よりも、僕の声の方が大きかったのだ。
考えてみれば当然だが自分の歌声を聞きながら歌うためには、スピーカーの音よりも大きな声で歌わなければならない。
そして声量というのは、自分がいないとチェックできないので外に漏れているかも確認できなかった。
ただの言い訳だが「自分の声がスピーカーの音より大きい」と誰が想像するだろうか。
そんなこと考えたこともなかった。
万全なお家カラオケを始めてから1週間、隣の人にすれ違ったときにとうとう言われた。
「ごめん、頭痛いから歌うの止めてもらっていい?」
体調が悪くなったらしい。
僕はめちゃくちゃ謝った。
隣の人がなんとなく体調が悪そうとは思っていたが、僕の歌が原因とは思わなかった。
だけど体調というよりは、家で熱唱しているという状況を知られたのが恥ずかしくて逃げ出したかった。
それからはお家カラオケは辞めて、きちんとカラオケボックスに行って歌うようにしている。
やっぱりカラオケボックスで歌う方が気持ちいい。
アマゾンで買ったマイクはアウトドアで使ったり、近所迷惑にならないような戸建ての家で使うものだと思った。
みなさんも、近所迷惑にならないように気をつけて。
家で熱唱したくなったら、お風呂カラオケにしよう。
***
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