マヨネーズとサヨナラして気付いた本当の気持ち
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記事:村人F(ライティング・ゼミ6月コース)
マヨネーズとはズッ友だと思っていた。
使うのは安い200円くらいの物じゃなく、600円くらいの高級品。
この親友を野菜に唐揚げ、コロッケなど色々な食べ物にかけて食べていた。
最も大胆な例は、大盛りのカップ焼きそばにドカドカとマヨネーズを追加し、更に追いオリーブオイルで香り付けして食べていたことだ。
身体の芯から脂肪を吸収する感覚が好きで、2週に1回はやっていたように思う。
だから、一生離さない存在なのだろうと思っていた。
そんなマヨネーズにサヨナラを告げる日が訪れた。
契約しているパーソナル・トレーナーに言われたからだ。
「ダイエットしたいのなら、まずマヨネーズをやめてください」
この方は食事についてかなり気を使っていた。
痩せるためにはトレーニングより先に、健康的な食生活が重要だと。
だから唐揚げやスイーツなど脂肪たっぷりのメニューはNG。
そうなると当然、マヨネーズも論外になる。
そのため彼と契約した瞬間、親友とも決別することになってしまった。
最初のうちは、すぐに禁断症状が出てくるかと思った。
どのような食べ物にもとりあえず使っていた調味料だったから。
しかし野菜とささみメインの食事をしていたにもかかわらず、それほどマヨに対する欠乏症は発生しなかった。
無くなっても案外なんとかなる。
そういう印象だった。
それは契約期間である4ヶ月が過ぎた後も変わらなかった。
体重は努力の甲斐あって8kgも減らした。
そのためご褒美にマヨ解禁という流れも作ることはできた。
しかしそんな気が全く起きない自分がいた。
なぜならマヨネーズを何のためにかけていたのか気付いてしまったからだ。
考えてみれば、僕はマヨネーズの味をちゃんと感じたことがなかった。
もちろん高級品は使ってみた。
セレブな見た目のイケてるやつも買ったことがある。
だが、それほどの金額を使ったのに具体的に味を描写できなかった。
色々な食材にかけていたのにもかかわらずだ。
そう考えると、本当の気持ちが見えてしまう。
僕は味が好きだったんじゃない。
マヨネーズをかける行為が好きだったのだと。
考えてみると過ごした時間は背徳感と隣り合わせだった。
バカでかい超大盛りのカップ焼きそばにドバドバとマヨネーズを流し込んだときは「よし、これで身体をいっぱい痛めつけられるぞ!」という快感に震えていた。
他にもコロッケにかけたとき、卵かけご飯に加えたとき、様々な場面を思い出してみる。
いずれも味を求めてはいなかった。
ただ使う行為、それだけに満足しているのが正直なマヨ観だった。
そして、その程度の思い入れだったから無くなってもそこまでロスがなかった。
かけなくても味は大して変わらないし、人生も虚しくなるわけではない。
だからダイエットをする中でマヨネーズとの関係はズッ友から、サラダなどに混ざっていると少し残念な気分になる調味料へと変化していった。
こうして考えてみるとやめられないという悪い習慣は、実際にやめてみるとそこまで苦ではない場合があることに気付く。
惰性でやっている状況も多いから、向き合うと案外カットできるのである。
僕にとっては、マヨネーズがそうだった。
これは様々な人にも当てはまることだろう。
毎日の習慣に組み込まれた、ちょっとした違和感のある動き。
なぜやっているのかすら思い出せなくなった作業まで。
考えてみると、そういう存在は結構ある。
しかし身体に悪い物を食べ続け、無駄な時間を過ごすことによるダメージを最も受けるのは僕自身だ。
そしてこのようなストレスの蓄積で病院生活になった方も多く知っている。
だからこそ己の自己分析が重要なのだ。
こうして考えると、絶ってから1年以上経過したマヨネーズは今でも親友なのかもしれない。
健康について深く考えるキッカケにもなった。
無くしても案外なんとかなるという明るい気付きも得られる。
このような調味料を僕は他に知らない。
ここまで考えを深められたのも、マヨネーズが好きだったからだ。
もう今の身体で君を受け入れることはできない。
ただ長い間付き添いあっただけあって、様々なことを教えてもらえた。
健康とは?
調味料をかける意味は?
使いながらこのような問いを思い浮かべることで、食生活全体のレベルも上がっていった。
これからもマヨネーズをやめることで培った身体の仕組みを意識しながら、健康的な生活を続けていきたい。
***
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