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スイッチをオフに


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:吉村奈緒子(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「そうだ、有休を取ろう」
ふと思い立った。
 
私はいまの会社にそれなりに長く勤めており、有給休暇は20日が毎年付与される。毎年1ヶ月はまるまる休める計算だが、管理職である私がそんなに休めるはずもない。付与日数の半分以上が使い切れずに消えていく。
 
コロナ禍で在宅勤務となってから、ますます有休消化する機会がなくなった。
会社まで通勤していた頃は半日休みを取得し、会社帰りにショッピングや映画を楽しむなどもしていたのだが、いまや立派な引きこもりと化した私が、わざわざ休みを取ってまで「出かけたい」と思うほどの用事はそうそうない。
 
おまけに通勤時間がなくなったことで睡眠時間が長くとれるようになった私は、コロナ対策の手洗いうがいなどの効果もあり、体調を崩さなくなった。
多少の体調不良であれば、在宅勤務で乗り越えられてしまうのもあいまって、有休取得の必要がなくなり、ますます余っていく。
 
また管理職である私の予定には、毎日なんかしらのMTGが入っている。休むためには事前調整をしなくてはならず、少し面倒だ。あと普通にちょっと忙しい。
そんなこんなで、労働基準法で定められる年5日は取得するものの、付与される日数の半分も使いきれずに消えていく、というのが毎年の出来事なのだ。
 
「でも、もったいないよなあ……」
特に何か予定があるわけじゃないのだが、有休が消えていくのも癪である。しかも有休を取っても取らなくても、年収は変わらないのだ。
有休が足りない、と嘆く人に、私の有休を買い取ってもらいたいくらいだ。
 
そこまで考えて、なんでこんなに働いているんだっけ、という気持ちになってきたが、予定がないので休まない、というだけの話のような気がする。
だが、ただでさえ在宅勤務でプライベートと仕事の垣根がなくなってきているので、意識的にリフレッシュすることが必要な気がするし、予定がなくなって休んだらいいのだ。
 
そこで、えいやっと有休をとってみることにした。
 
平日に休みを取る、というだけで、気持ちがウキウキと弾み、世界が輝いて見える。
「みんなが働いている日に休みを取る」というのが少しの背徳感があって、より嬉しい。そして夫も仕事なので、完全なる私だけのための時間である。
 
メールやチャットに緊急の連絡が入っていないだろうか、なんて考えが頭をよぎるが、深刻な事態が起こったらLINEに連絡が来るであろう。心配は気持ちの奥に押し込めて、何をしようか、と考えをめぐらす。
 
ただ休みを取ってはみたものの、めんどくさがりなので遠くまで出かける気力はない。
そこで私がやったことは、下記である。
・ちょっとだけゆっくり起きる
・前から興味があった近所のパフェ屋さんに行く
・近所の公園で売店のビールとホットドックを食べる
・ひたすら公園でぼーっとしたり本を読む
・帰ってきてからソファでゴロゴロする
 
大したことはしていない。
だが、これだけでもう、すっごい満たされた。
 
基本的に1人でぼんやりしていただけだが、その時間が思いの外、良いものだったのだ。
 
思えば、在宅勤務になってからあまり1人の時間がなかったのだなあ、なんてことに気づいた。
平日は仕事が終わったらすぐ寝る生活。早く仕事を終えるのは約束がある時くらい。毎日の移動もなくなった。
夫も以前と比べて出社や出張、飲み会もなくなって家にいる時間が増えたのもあり、どうしても相手のペースで動くことが多くなる。夫といるのが嫌なわけじゃないのだが、1人でぼんやりする時間は少なくなった。
 
それとともに1人で好きなように過ごす、という機会に飢えていたのだと思う。
 
仕事に家事に、家族との時間。事情は違えど、みんな忙しい。
日々のタスクをこなすことに忙殺されたり、自分以外の人のことを優先してしまったりもする。
「自分ひとりだけのための時間」を持つというのは、意外と意識しないと難しく、贅沢なことなのかもしれない。
 
でも忙しい人ほどその時間が必要なんじゃないかな、と今回の有休を取ってみて思った。
仕事でも家事でも勉強でもない「自分のための時間」を持つことで、自分が自分に戻れたような気がしたのだ。
ずっとスイッチを入れたまま走り続けていたけど、たまにはスイッチをオフにする時間もあってもいいんじゃないかな、なんて思うようになった。
 
メンタルヘルスにおいても「セルフケア」は重要だ。
日常の中でリラックスしたり、十分な休息や睡眠を取ること、適度な運動を行うこと。
日々の生活にも取り入れると同時に、たまには自分のためだけに有休をとろう。
心身の健康を保つために、スイッチをオフにして、自分を労る時間を持とう。
 
またスイッチを入れて、一生懸命に取り組むときのために。
 
さて、次の有休はいつ取ろうか。
次はスーパー銭湯に行って、お風呂とビールと漫画三昧にしようかな。
 
 
 
 
***
 
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2023-07-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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