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血中ジョイフル濃度を上げていけ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:kana(ライティングゼミ・6月コース)
 
 
ミーンミンミンミーン……
「あぁ……ジョイフルメドレー飲みたい……」
なんてことだ。
夏に、あの飲み物を思い出すなんて……。
 
わたしの心を異様に踊らせるその飲み物との出会いは、ある寒い冬の日だった。
スターバックスで何気なく頼んだ、「ジョイフルメドレーティーラテ」。
ひとくち口に含んだ瞬間、衝撃を受けた。
「ただの飲み物じゃない、これは表現だ」と思った。
 
子どもの頃から大好きな、もうすぐクリスマスが来るな、というワクワク感。
そんな「ホリデーシーズンの高揚感」をそのまま液体にしたような飲み物だ。
「もうすぐクリスマス」が飲める状態で目の前に提供されるなんて、子どもの頃は思いもしなかった。
 
「ジョイフルメドレーティーラテ」は、スターバックスで冬限定で売られる紅茶の一種。
とにかく「華やかな」風味がするのである。
 
この「華やかさ」は、ブラックティーに烏龍茶とジャスミンティーをブレンドすることで生み出されている。
ブラックティーに、烏龍茶の爽やかさと鼻に抜けるジャスミンのフローラルな香りが追加されているのだ。
 
私は、ブラックティーはすっかり飲み飽きていた。
紅茶党の母に育てられ、朝起きると、何も言わずとも一杯の紅茶が出される生活を送ってきたからだ。
そんな中で出会った、あまりにファビュラスなそのお茶に、私は完全に魅了されてしまった。
 
もう子どもじゃないから、師走は忙しい。
年末調整、仕事納め、大掃除、納会……
そんな中でも(だからこそ)、隙あらばスタバに足を運んで飲んでいた。
血液のジョイフルメドレー濃度が下がると飲みたくなるのか、
まるでアル中患者のように、ジョイフルメドレーを求めて街を彷徨い歩いた。
 
クリスマスを過ぎてしばらくすると見かけなくなってしまうから、たんと飲んで満足する。
そうして年を越してから目が回るような1年を過ごして、「今年もジョイフルメドレーの季節か」と思う。
この繰り返し……のはずだった。
 
 
「どうして、夏に思い出しちゃったんだろう」
たまらなくジョイフルメドレーを求めていた。
まるで、冬に彦星様に会いたくなっちゃった織姫の気持ちだ。
こういう時、彼女はどう対処するんだろう。
 
「そもそも、暑いから外出たくないと思ってぐうたらしているから、こんなことになるんだ。外出てカフェにでも行けば、ジョイフルメドレーのことは思い出さなかったのになぁ 」
ベッドで仰向けになってぐるぐる考えていても、ジョイフルメドレーへの熱は冷めない。
 
そして、気づいてしまった。
烏龍茶、ジャスミンティー、ブラックティーは手元にある、という事実に。
 
「作るか? いや、無理でしょ……」
それぞれの茶葉の配合なんてネットに載ってない。
調べてもわからない。
「そりゃあ、企業秘密だもんな」
 
じゃあやめるか。
いや、ジョイフルメドレー飲みたい。
どうせ、今はシーズンオフで手に入らないのだ。
成功したらラッキーぐらいで、やってみようと思った。
 
「ジャスミンティー:ひとパック、
烏龍茶:茶葉小さじ2杯、
ブラックティー:ティーバッグ1つ」
手始めに、この配合で行くことにした。
 
熱々のお湯を注いで、しっかり蒸らす。
 
「にがっ」
全然違うものができた。
ジョイフルメドレーは、こんな現実の厳しさを伝えてくる味じゃないんだってば!!
 
諦めない。
これでも、理系研究員の端くれだ。
条件検討は慣れている。
 
さっきの苦さを分析してみると、ジャスミンの香りは足りず、烏龍茶は強かった。
それを克服するために、以下の配合に変更してみた。
「ジャスミンティー:2パックに増やす。
烏龍茶:茶葉小さじ1杯に減らす
ブラックティー:ティーバッグ1つ」
 
出来た!!!
「鼻に抜けるフローラル」が実現したのだ。
クリスマスは全然近くないけど、その華やかな味は、私をワクワクさせた。
 
「夏に自力で」ジョイフルメドレーを作ることができたという事実は、暑くてダラダラしていた変わり映えしない週末を、少し華やかに彩った。
出来上がったお茶を飲んでいると、「出かけずにぐうたらしている自分」に対する罪悪感も、ふわっと軽くなったのを感じた。
 
ジョイフルメドレーに限らない。
日常のささやかな喜び、やりたいと思っていたことを達成すると、血中ジョイフル濃度は高まって、少しだけ前向きな気持ちになれる気がする。
 
コロナ禍となってから、自分へのご褒美として何か購入する「ご自愛消費」が盛んになった。
私も、流行りに乗って何度か買い物をした。
しかし、何かをただ買うだけでは、満たされない時も多かった。
例えば、一着の服を買っただけではおしゃれな自分にはなれないし、ただただ手持ちの服の数が増えただけ。
買った時のトキメキはしばらくすると埃を被り始める。
 
しかし、そこに「何かしらの工夫」や、「初めての挑戦」が加わると、エピソードに昇華して急に満足感が上がる。
例えば、服を買うにしても「苦手かと思っていた系統に挑戦する」とか「それを着て、今まで足を運んだことない場所へ行く」といったプラスアルファを達成すると、とても心が満たされる。
今回も、普通にスタバでジョイフルメドレーを購入しただけでは、こんなにワクワクしなかっただろう。
「夏に自力で」ジョイフルメドレーを作るというささやかな挑戦が、私のつまらない休日にワクワクをもたらした。
 
もう大人になってしまった私たちは、クリスマスを心待ちにするようなワクワク感を大事に抱えるだけでは、繰り返す日々を生きてはいけない。
でも、ちょっとしたワクワク感なら、自分で日々の中に作り出せるという事実は、少し心を照らしてくれる。
 
これからも日々、ささやかな挑戦したいことをリストアップして達成してみようと思う。
血中ジョイフル濃度を高めて、今日も繰り返す日々を生きていく。
 
 
 
 
***
 
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2023-08-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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