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凡人が左利きに矯正したところで、天才にはなれない


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記事:大谷達也(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
左利きには天才肌が多い。誰しも一度は聞いたことのある話だろう。
 
アリストテレスやアインシュタイン、エジソン、ダーウィンなど、歴史上で天才と呼ばれる偉人たちは左利きが多かったと聞く。現代でも実業家であるビル・ゲイツやオバマ大統領は左利きだ。
 
右脳が人より発達しているとか、右脳と左脳のつながりがよくなるだとか、その理由は未だ解明されていないらしいが、たしかに左利きの人には天才が多いし、左利き=天才、一芸に秀でているというイメージを持つ方も少なくないだろう。
 
 
「それなら、無理やり左利きになってしまえば天才になるのでは……?」
 
 
今この文章を読んでくれている人の中に、そんな考えをもった人が万が一にもいるかもしれない。警告しておく、やめておいたほうがいい。それはとても危険な思想だ。
 
なぜなら、私は両親の好奇心で右利きから左利きに矯正された人の一人だからだ。左利きから右利きに矯正したという方は多いだろうが、その逆は聞いたことがない。そんな人は、これまで生きてきた中で見たこともない。不思議なものだ。
 
今回は右利きから左利きに矯正することの弊害を、世界でも数少ない経験者である私からお伝えしようと思う。
 
以下、「それはお前の性格の問題だろう」という意見は受け付けない。まるで自分ができない人間であることを、左利きに矯正されたことのせいにしているようではないか! そんなことは決してない。念のためもう一度言っておく。そんなことは決してない。
 
 
 
正直、自分が右利きだったときの記憶はない。物心がついたときにはすでに左利きになっていた。
 
でも、身体は確かに覚えていた。ボールを蹴るときや、地域で流行っていたフリスビーを投げるとき、はさみや包丁を使うとき……ところどころで右手、右足を使ったほうが楽なときがあった。
 
両親に何気なくこのことを訪ねてみると、「そりゃあんた、右利きだもん」とさらっと返って来たのは今でも覚えている。たまらず追求すると、以下の回答が返ってきた。
 
・芸術や音楽関係の才能が伸びる(らしい)
・数字に強くなる(らしい)
・スポーツで有利(になるかもしれない)
 
自分の子どもを左利きすれば、全知全能の神にでもなると思ったのだろうか。しかし、現実はそんなに甘くない。そのような信ぴょう性もない迷信は、私の25年の人生をかけてまったくの嘘であると証明したので、今回はその結果を皆さんにご紹介する。
 
 
その① 強制的に左利きにしたところで、脳の構造は変わらない
 
天才たちは生まれながらにして左利きだから、天才なのだろうと思った。小学校のときは、年間ピアノを習ったが、何一つ上達しなかった。絵もうまいとも下手とも言えず、一番リアクションに困る程度のレベル。創作活動には一切目もくれず、怠惰な毎日を過ごし、たまーに外に出て満足する生産性という言葉からはかけ離れた人間だ。生まれたときからそのような星の元だったのかもしれない。そんなやつが利き手を変えたところでどうにかなる問題ではない。
 
特にひどかったのは数学の成績だ。それはもう、アインシュタインも呆れるほど。大学の模試で200満点中4点という圧巻のスコアを叩き出し、「数学はあきらめよっか」と当時の担任に面と向かって言われたことは、同級生の中で語り草となっている。そもそもペンを持つ手で数式が見えないから、やる気が微塵も湧いてこないのだ。
 
 
その② スポーツでは有利なこともあるが、その利点すら潰れる
 
スポーツでは左利きは重宝される。特に球技では、右利きと左利きでかかる回転が違ったり、見慣れない角度で相手を惑わせたりできる。私のやっていた野球も、サウスポーは希少で角度のあるボールを投げられることからピッチャーとして活躍する人が多い。しかし、マイノリティであるがゆえの制限も多い。左利きのグローブはスポーツショップにあまり売っていないし、なにより右利きより守れるポジションが少ない。スポーツは、本来右利き向けにルールがつくられていることが多いからだ。憧れの選手と同じサードを守るには、左利きでは難しかった。
 
さらに、私の利き手はつくられたものであって、本来の利き手ではない。そのためプレーはどこかぎこちなく、満足にパワーを出すことができない。左利きの利点すら消し飛ばしてしまうのだ。かといって、右手も普段使っている左手ほど使えるわけではない。
 
 
その③ 単純に生きづらい
 
これに尽きる。前述したように、世の中の大抵のものや仕組みはたいてい右利き用につくられている。この世界は、左利きにはやや不便なのだ。左利きの平均寿命が短いのも、そんなことが理由だと言われている。そこでわざわざ利き手を左手に変えるのは、自分から火の海に突っ込んでいっているようなもの。人生の難易度がよりハードになるだけなのだ。
 
 
結果、左手の操作性が平均以下で、右手がまあまあ使えるだけの中途半端な人間が爆誕してしまう。これが右利きを左利きにした者の末路だ。実際、私の妹二人はナチュラルな右利きで、両親も矯正しようとはしなかった。両親は早いうちに気づいていたらしい。失敗から学ぶとはこのことなのか。
 
 
結論;凡人が左利きに矯正したところで天才にはなれないどころか、凡人になるのも難しい
 
 
この文を読んで、私のような人が一人でも減ることを祈る。
 
 
 
 
***
 
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2023-08-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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