メディアグランプリ

引きこもり実況者を天才的なアイドル様にするのは「推しの力」だ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:Natsu(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
2023年8月19日、表参道のとあるライブ会場で引きこもり女性ゲーム実況者がマイクを持って舞台に上がった。
 
「みんなやっほ~~~やっと会えたね、たまみーと!会いに来てくれてありがとう~~!!!」
「…….っ!!!たまちゃ~~ん可愛い~~~~!!!」
 
舞台の上で魅せる彼女の輝かしい笑顔と、画面の向こう側でいつも応援してくれているファン(以下、視聴者様と呼ぶ)の歓声でわっと場が盛り上がるその様子は、某アニメの「天才的なアイドル様」を彷彿とさせた。
 
「この光景を見るのを、ずっと心待ちにしていた……」
 
3年以上マネージャー兼メンタルヘルスケア役として、Youtubeでゲーム実況活動を続ける妹を細く長く支えてきた。妹を応援してくれる誰もがこの光景を心待ちにしていたと思うが、姉からみえていた世界はきっとファンのそれとも、所属事務所のスタッフのものとも違うものがある。
 
Youtubeの動画上で見せている表情豊かなハツラツとした実況、舞台の上で輝く彼女の姿を見ている視聴者様にとっては信じられないと思うが、妹のデフォルトは「超ネガティブ・人間不信・引きこもり」である。表には絶対見せないが。
 
Forbes Japanクリエイター100に選出されても、とあるゲーム業界紙の見開きに大きく掲載されても「私なんて、別にいつオワコンになるかわからないし。ブスだし……」と、息を吸うようにネガティブな言葉を淡々ともらす。日本ネガティブ選手権が開催されたら間違いなく上位入賞である。
 
そんな妹がまさか、視聴者様約100人を前にして、ステージ上でマイクを握っている日が来るなんて思っても見なかった。そもそも外に出ることすら珍しいのに……。
 
では、なぜ妹は舞台上に上がれたのか?
 
第一に、自力で一から積み重ねてきた妹の絶え間ぬ努力があったから。動画へのこだわりは人一倍、否、人十倍も強く、1本の動画を作るのに企画〜編集まで12時間以上かけることはザラである。先日あげた歌ってみた動画は丸々3日以上かかったそうだ。
 
次に、事務所の日々の渾身的なサポート、イベント運営のスタッフの支えがあったから。では、妹をステージの上に連れてきてくれた一番の原動力は何か。
 
妹を”推し続けてくれた視聴者様”の存在だ。
 
視聴者様の日々の“推し活”は、妹が発信するコンテンツをこよなく愛し、動画にいいねを押し、メインのYoutubeだけでなく、Twitter、Tiktok、instagramどこでも駆けつけて愛のこもったエールを送ること。周りに布教もしてくださる。誕生日やチャンネル開設記念日などには、お手製のファングッズを制作し、妹を想ってファン動画を制作してくれる。私が推されている訳ではないが、その様子を日々見守ってこちらが泣きそうになる。
 
 
私自身は、誰かを猛烈に”推す”という経験もないし、もちろん熱狂的なファンの気持ちも正直よくわからない。そんな私が、”推しの力”によって生まれた奇跡を目の当たりにしてしまった。(この感動を私1人の胸の中に納めるなんてことは、到底できない……)
 
 
「超ネガティブ・人間不信・引きこもり」を打破して妹をステージ上に連れ出すほど強力な“推しの力”には、一体どんな魔力が秘められているのだろうか。
 
 
「一動画入魂」という言葉がふさわしいほど、こだわりを詰め込んで作った動画を妹は日々チャンネルに投稿しているわけだが、もちろんそこには様々な人が動画を覗きにきて、好きなように動画を消費していく。
 
コメント欄に心無い言葉が投げつけられることもあれば、思ったように動画の再生回数が回らず落ち込むこともある。実際、何度も妹が「私はもうオワコンなんだ……。次のクリエイターに抜かされていくんだ。もう誰も私のことなんて、見てくれなくなるんだ」と、弱音を吐く姿を見てきた。もちろん、姉として話を聞いたり、言葉をかけたりする。夜中の3:00まで話を聞いたこともある。
 
でも、最終的に妹を立ち上がらせてくれるのは視聴者様の”推しの力”だった。
 
1消費者ではなく、1推しとして応援してくれる。
「学校で嫌なことがあったけど、たまちゃんの動画を見たから元気になったよ!」
「今日の動画、少し元気がなかったかな?無理しないで自分のペースでいいからね、いつでも待ってるよ」
「いつも娘と楽しく動画を見ています。イベントで会えることが楽しみで、全然寝られないみたいで心配です笑」
 
こんな心が温まる言葉が「視聴者様の喜ぶ顔が見たい」と視聴者様の目線で考え続ける妹の姿勢につながり、それがまた彼女のクリエイターとしての強みになる。視聴者様からしてみれば「たまちゃんありがとう!」であるが、こちら側としても「視聴者様大感謝!!!」である。姉から見るこの妹と視聴者様が共に歩む姿は、なんとも微笑ましく頼もしい。
 
 
推しの力は、視聴者様に心の底から”会いたい”と思わせてくれる。なぜなら直接感謝の気持ちを、愛を伝えたいから。だから、妹は怖くても、自分に到底自信がなくても、なけなしの勇気を振り絞って舞台の上に立つことができた。
 
推しの力が奇跡を起こす一連の様子を見ることができた。私自身が何かを成し遂げたわけではないが、これからもほぼボランティアではあるが1マネージャーとして、1推しとして妹の活動を見守っていきたい所存である。
 
願わくば、私も誰かを猛烈に推す経験をしてみたいし、推される経験をしてみたいものである。
 
 
 
 
***
 
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2023-08-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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