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地獄のコロナホテル療養


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記事:福田聖也(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
「辛いから早く解放されたい」
ホテルでの療養は監禁状態と言っていいほどの地獄だった。
 
私は新型コロナウイルスに感染したことがある。
旅行から帰ってきた後に、38度の熱が出てしまった。
 
ひとり旅だったし、マスクもしてアルコール消毒など感染対策も徹底したから大丈夫だろうと思ったが、コロナもほうが一枚上手だったのである。
 
私は21歳なのでコロナにかかっても正直大きなリスクは無い。
問題は周りの人たちだ。
 
私はシェアハウスに住んでいたため、コロナを感染させてしまうリスクのある人たちがたくさんいたのだ。
 
良かったのは、旅行から帰ってきたというタイミングもあって奇跡的にだれとも濃厚接触にならずに済んだのである。
 
基本的に濃厚接触になる場合は、マスクを外して長い時間会話をした時になるので、濃厚接触者を出さずに済んだのだ。
 
ここで実家などにすぐ避難できればいいのだが、私の場合実家が離れているため移動ができなかった。
そうなると自宅療養になるのだが、シェアハウスのリビングや共用のキッチンなどは使えないので、私は部屋にこもるしかなくなる。
 
そうするとお風呂もトイレも食事もうまくできない生活になっていった。
 
さすがにきついので保健所にホテル療養の申請をだした。
地域の保健所に電話をかけるのだが、これがまたつながらない。
 
つながったとしてもその場でホテル療養が決まるわけではなく、審査や説明などをしてひたすら待つという作業の繰り返しになる。
 
この電話を待っている時間がまた辛い。
シェアハウスだから、自分がこの場に存在してはいけない気分になってくる。
 
外に行くこともできないから、太陽の光を浴びられなくてメンタルが病んで来るのだ。
 
その後必死の思いでホテル療養を勝ち取っても待機時間がある。
 
体調は悪くて辛いし、メンタルもやられていて散々だった。
 
この時に完全にメンタルが崩れなかったのは、シェアハウスのみんながいてくれたからだと思う。
 
ウーバーで頼んだコンビニ中心の食事を気にして、時々ごはんをおすそ分けしてくれたのだ。
もらったピーマンの肉詰めや空芯菜の炒めものは、涙が出るくらい美味しかった。
 
2日ほど耐えて、やっとホテルへ移動できるようになったのだ。
ハイエースみたいな車で、他のコロナ患者と一緒に移動をする。
 
車の中はすごく暗い。
ホテルに行くのにこんなに暗い気分になったことは生まれて初めてだった。
 
ホテルに着くと、体温計とパルスオキシメーター、連絡用の携帯を渡される。
療養についての説明を一通りされてホテル療養がスタートしたのだが、
これが地獄の始まりだったのである。
 
 
一番は食事だ。
ホテルから一歩も出られないから、毎食お弁当がでる。
アナウンスが流れたら指定の場所にお弁当を取りに行く。
 
お弁当は立派で豪華な幕の内弁当と言っても過言ではない。
飲み物も支給されるから生活としては問題がなかった。
 
ただ毎食幕の内弁当はきついのだ。
お弁当だから揚げ物多め、野菜少なめの構成になる。
 
1日目や2日目は豪華なお弁当が嬉しかったが、3日目から飽きてくるのだ。
4日目からは単純に不健康になる。
 
揚げ物がお腹にくるのだ。
運動ができるような環境じゃないから、代謝がない。
さらにコロナで体調が悪いから、脂っこいものが美味しくないと感じる。
 
このお弁当生活が約1週間続いた。
 
他にも洗濯ができなかったり、シーツがそのままというのがある。
ホテル療養なので、シーツを毎日交換してくれるということはない。
 
洗濯は部屋に置いてある洗濯用石鹸で、手洗いしてねという感じだったのである。
これがまたきつかった。
21世紀において服を手洗いするなんて思っていなかったし、何より乾かないのだ。
 
部屋はほぼ密閉で、窓はちょっとしか開かない。
生乾きになる覚悟でいつも部屋に干していた。
 
「1週間もホテルで仕事もしないでのんびりできていいな」
と思う人もいるかもしれないが、大間違いである。
 
コロナは風邪と違ってひどい倦怠感があるのだ。
だからほぼ無気力で何もできない。
 
生産的な行動や目的をもってコンテンツ消費をすることなんてできなかった。
ボーっとアマプラを見たり、ただYou Tubeを眺めるだけという感じだった。
 
最悪だったのは同僚がキャンプに行っていたことだ。
私はコロナでだるい倦怠感に襲われているときに、LINEで楽しそうなキャンプの動画が送られてきたのだ。
 
療養しながらも、メンタルと健康はむしろ悪化していたのではないかと思うくらいだ。
 
療養を通じて、少ない休みだったとしても元気な体で思いっきり遊ぶほうが、何倍も楽しい!
そう思えるようになった。
 
ホテル療養最終日は体の健康を必死に常駐のお医者さんに訴えて、
とうとう解放されることになったのである。
 
ホテルからでれば、約1週間ぶりの外の空気と太陽の光。
 
「地獄から解放された」
そう思った。
 
犯罪者が刑務所から出たときは、こんな気持ちになるんだろうなと感じたりもした。
 
国民のお金でホテル療養をさせてもらっているのだから、文句など言わないほうがいいのかもしれない。
1週間もホテルで療養させてもらえることは、本当にありがたいことだと思う。
 
それでも、コロナのホテル療養は地獄だと思う。
 
他の病気で療養をするとなってもそうだろう。
 
病気にかかってしまうときはしょうがないかもしれない。
ただ、地獄を乗り越えるだけの準備をしておいた方がいいかもしれないと思った。
 
相変わらず災害時など何かあったときの準備はできていないが。
 
 
 
 
***
 
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2023-09-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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