脱いで空を飛ぶ
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:前田三佳(ライティング実践教室)
「うわぁ綺麗…」
「素敵~!!」
「可愛い!!」
「いいねえ、うんいいよ。いい表情だ」
10名ほどの女性たちの歓声とカメラマンの声とシャッター音が響く店内。
ここはどこあろう見慣れた私の職場。湘南天狼院である。
本棚の前で裸の女性がポーズをとる度に歓声が上がる。
書店とカフェが併設された湘南天狼院はごく普通のブックカフェで微塵の怪しさもない。
だがこの日ばかりはガラス張りの入り口をすべて暗幕で覆い、貸し切りの札を下げた店内は解放された女たちの楽園となった。
「秘めフォト」
それは天狼院書店の最大の売りとも言える「自分史上最高にSEXYな一枚を撮るフォト・サービス」である。すでに3,000名以上の女性が体験しリピート率も高い。
スタッフである私も仕事上、幾度となくお客様にお勧めしてきた。
けれど本音を言えば人前で服を脱ぐ気持ちを心から理解できずにいた。
お客様には大変申し訳ない。
「秘すれば花」とか「女の子がそんな肌を見せるもんじゃありません」とか今は誰も口にしない言葉で親に育てられ従順に守ってきた私だ。
「自己肯定感が爆上がりするらしいですよ」という決まり文句も、勧めていながら確固たる自信も無く、自身の肯定感は駄々下がりする始末。
だからこそ一度その撮影風景を見てみたいとその機会を待っていた。
まだ暑さが残るある土曜日にその機会はやってきた。湘南天狼院での秘めフォト開催である。
聞けば、全員がリピーターのお客様だという。
はなから、お客様のテンションは高かった。ビールをオーダーする方もいた。
年齢は20代から40代だったろうか。どなたもいい意味でごく普通。きわめて常識的で知性的な女性ばかりである。
そんな方たちがカメラマンである三浦さんの前でするすると服を脱ぐ。
どこかで「番台のおじさんみたいな感じ」と言う声がしたが、銭湯では決してお目にかかれないセクシーで華奢なランジェリー姿があちこちに出現して驚く。
やがて撮影が始まると、ポーズを変えるたびに響くシャッター音と取り囲む女性たちの歓声で店内は異様な盛り上がりとなった。
厨房から私はその様子を見学させていただいた。
最後のショットは本棚の前で行われた。
ここぞとばかりに大胆にきめる女性たちにもう戸惑いは無い。
本屋の、本の前で、肌をさらす。そして撮影される。
こんなエキセントリックで刺激的なことが他にあるだろうか。
その開放感はまるでハングライダーで空を飛ぶように爽快だろう。
そして自信に満ちた女たちはなんて美しいのだろう!!
そこにあるのは男性に向けたSEXYではなく、自分のためのSEXY。
少しまるいお腹も陽に焼けた肌もすべてまるごと愛おしい自分のカラダなのだ。
仕事で太くなってしまった脚だって愛おしい。
自分が愛してあげなくて誰が愛するだろう。
そんなSEXYがシャッター音が鳴る度に解放されて、女性たちはどんどん美しいいきものになっていく。
時には太陽のように明るく、時には妖婦のように大胆に。
そこにはなんの後悔もためらいも無く、ただ女であることの喜びを身体中で表現している。
彼女たちをみていて、熱く感動している自分がいた。
私が若い頃は女の価値がクリスマスケーキに例えられた時代。
25過ぎたら遅いなんて言葉を真に受けて、焦って結婚した。結婚に後悔は無いが今考えると阿呆らしい。
男たちの身勝手な基準にどこまで従順な世の中だったのだろう。
でも今「綺麗」は自ら生み出すもので、努力次第でいつまでも続くものだと思う。
歳を重ね若い頃の弾けるような美しさを失っても、なお凜として気高く輝くひとがいる。
それは美容の力だけではなく、心に栄養を与え続け真摯に生きてきた証である。
本を読み音楽に触れ芸術をたしなみ、信念をもって徳を積む。
私もそのようなひとになりたいと思う。
秘めフォト体験をされたお客様からは、結婚や妊娠のご報告、仕事で企画が通った、採用が決まった、彼ができたなど嬉しい後日談が舞い込むというのも頷ける。
たとえすぐには何かの結果が現れなくても
ありのままの自分を受け入れ慈しみ、あんな自信に満ちた表情ができるなら、その方の人生が変わらないわけがない。
ほんの少しの勇気をもって秘めフォトに参加してくださった女性たちに私は最大の賛辞を贈りたい。
あなたたちの未来はきっと輝く。
そしてそんな女性がひとりでも増えてくれることを願っている。
営業でもなんでもなく心からそう思う。
***
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