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人生を変えた言葉


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記事:Kaochan(ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
還暦過ぎまで生きて、人生を変えてしまうほどの言葉に出会ったことが2度ある。
 
🔳ひとつ目、「世間体」
 
人生初の離婚をしようと決意して、母に決意報告した時に母が発した言葉がコレ。
 
独りっ子の一人娘である私が苦しんでいるのに「お前の我儘だ」と一刀両断する。
離婚は双方に責任があると思うが、詳細な理由より世間体が悪いから離婚はNG。
そもそも養ってくれる相手に対しては我慢をしていれば、そのうち慣れるからやり過ごせ、と一方的だった。
 
「娘の幸せと世間体のどちらを取るのか?」 と、質問した時に即答で「世間体が悪い!」と断言した。
その言葉に、私に味方してくれるはずだと期待していた私が馬鹿だったんだと理解した。
 
そこから離婚までの4か月は食事が殆どとれず、63キロあった体重が43キロまで一気に落ちた。
離婚は良いダイエットだと証明できた。
骨と皮になった私をみた幼馴染が、声を殺して泣き崩れるほどの変貌ぶりにも、母は態度を変えなかった。
 
この会話の基は、彼女の気質が関係しているようだった。
彼女にとって社会のルールを守って、その集団の中で秀でた存在になり、尊敬をされる立場を得ること。祖父とそっくりな気質の彼女は、自分が正義であり周囲を正しい方向に導くのが使命だと疑わない。
齢92歳を迎える最近では「あんたは自由に生きる性格だったのに、間違った押し付けをしてしまったね」と謝ってきたことがある。
 
祖母が、私のことに口を出すな、自由にさせろと小さい時から忠告していたのだそうだ。
その言葉を聞いても、絶対自分が正しいと思っていたらしい。
何故絶対自分が正しいと判断したのか?という質問に、長考した彼女がこう返答した。
 
「だって親だから」
親は子供のことを100%理解し、行動を把握しているのだからそう思っても間違いではないと思っていたそうだ。
古い話で恐縮だが、鉄人28号のリモートコントローラーを持って私を操縦する母の姿が目に浮かんだほどだ。
笑い話にしてもお粗末な図だが、本当にそんな彼女の姿が浮かんでしまった。
 
その、リモートコントローラーを持っているのだと自負する彼女にこう伝えた。
別の人格であり、別の脳で考えているのだから、理解なんてできないのだよ。
そう伝えると、あの頃はそう信じていたと口にした。
 
だが、その「世間体が悪い!」と蔑まれたことが、今の自分を形成させたといっても過言ではない。
元来、楽観タイプの自分がマイナス20キロの離婚ダイエットに成功したのは、悔しかったからだ。
この人(母)には一生理解されないのだろうと思ったら、独りで生きていくしかないと腹をくくれた。
生命保険会社に拾ってもらって、営業の世界で生きるという選択ができた。
つまり、覚悟ができたのだ。
 
そこから27年、生命保険会社の中で七転び八起きして生き抜いてきた。
家賃払ってご飯食べて、再婚した夫は結局クズだったからそれを養うということもやってのけた。
 
あの時母が「世間体が悪い」と言わなかったら、ここまで踏ん張れたかな?
言葉は言刃とも書くそうだから、相手のことを深く傷つけることもあるが、エネルギーに変換されることもある。
つくづく人生って無駄がないのだと思うのだった。
 
 
 
🔳ふたつ目 野垂れ死ぬ
あ、最初に前置きをすると、コレは決して悪い意味での使い方ではありません。
 
私がメンターとして尊敬する年若き後輩が教えてくれたこと。
彼のモットーは
「最後の100円使い切ったら、野垂れ死ぬ」 だそうだ。
 
どんな金持ちでも、貧乏人でも、稼いだ金を棺桶に入れることはできない。
物理的には入れられるかもだが、現世の物品をあの世とやらでも使えるかどうかは経験していないので不明だ。
 
彼曰く、どんな死に方をしようとも「悔いなく死ねればいい」 だそうだ。
そのためになのか、彼は本当に自然体で生きている。
 
才能は豊かなのに、それを見せびらかすことはない。
請われれば人を助け、知りたいことがあればとことん調べ、納得するまでやめない。
たが、それを発表したり宣伝したりしない。
あくまでも自分のために調べ、楽しむ。
そんな彼の「最後の100円使い切ったら野垂れ死ぬ」 は大仰な言い分ではなく、キリスト教の教えにも近いもののようだ。
 
死ぬ時、何も持っていけない。
周りに人がいてもいなくても、死ぬときは一人。
それは,すべての生き物に与えられた平等の権利。
 
それまで、色々と自分の周りに「ねばならない」と条件を作っては追い立てられるようで息苦しかった。
彼の淡々とした解説を聞き、死に方が理解できたら、その時までは自由に生きていいんだなと、気持ちが楽になった。
 
いつも自由でいられるわけではないけど、追い立てられる気分になると、この言葉が上から降りてくるようになった。
 
楽に生きる言葉を与えてもらったと思う。
 
一つ目は覚悟して自分で生きること
二つ目は肩の力を抜いて生きること
最後の瞬間まで。
 
あなたは、人生を変えてしまうほどの言葉に出会う経験したことがありますか?
 
 
 
 
***
 
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2023-12-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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