今の自分から脱皮したいなら、恥も汗もかいていこう!
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:パナ子(ライティング実践教室)
明るい陽射しが差すある日曜日、とある動画を視聴したところ外の陽気とは真反対の焦燥感に襲われ、変な緊張感で脇からツーと汗が流れるのを感じた。
ま、まずいぞ、これは。
とんでもない場所に足を踏み入れてしまったようだ。
年明けてすぐに開講された「小説家養成ゼミ」の動画だった。
今まで生きてきて、ただの一度も小説を書いた事がない私がなぜ受講することになったのか。ちょっとずつ色々なきっかけが重なって今に至る。
本屋主催の、人に読んでもらえる文章を目指す「ライティングゼミ」に、ここ数年通いエッセイを書き続けていたのだが、昨年の8月にちょっとした転機が訪れた。
本屋の社長が自ら教壇に立つという珍しい特別講義に参加したところ、そこで忘れられない一言をかけてもらったのだ。
提出した課題のエッセイを読んだ社長がごくごく軽い調子でこう言った。
「よく書けてます。これだったら小説とかもいけるんじゃないですか」
顔出しの通信受講のため、ワイプのような小さい画面で自分の顔が晒されていた私はあくまで冷静を装った。
(なるほど、ありがとうございます。参考にします)
しかし心の中では、くす玉が割れたように歓喜の嵐が舞っていた。
(エーッ! エーッ! エーッ! 小説もいけるだと!? それは社長にある程度認めてもらったということでいいのだろうか!? おそらくきっといいのでしょう! そういうことでしょう!)
内心の喜びようったら、まるで恋する乙女だった。
片思いのカレに「その髪型かわいいじゃん」と言われ、家に帰ってもバイトしていてもニヤニヤずっと一人でその言葉を反芻してしまうような。この先もずっとこの髪型を死守するぞと誓ったりして。
言った側はそんな事もうっとくに忘れたりしているというのに。
これだから誉められ慣れてないやつは怖い。学生の時は中の下あたりの成績をウロウロ、部活でも大した記録を残せぬまま引退、社会人になってからも何も成し遂げぬまま時は過ぎた。
だからこそ、何の気なしに言われたものでもすごく嬉しくてずっと覚えていたのだろう。
また、SNSで見た投稿が妙に刺さったということも背中を押した。
大学在学中に会社を設立し、世界8拠点に事業を拡大した経験がある起業家で発明家の佐藤航陽(さとうかつあき)さんが呟く言葉の数々が好きでX(エックス)をフォローしている。
そのなかでも「失敗しなくなったのは成長したからではなく、自分の知っていること以外やらなくなっただけって場合もある。失敗しまくって恥かいてるときは成長している最中だったりする」という呟きにはドキッとした。
正直なところ、毎週提出している2,000字レベルのエッセイの合格率が9割に上昇したことにより、心に余裕が生まれつつあった。一個ずつ確実に積み上げてきた自分への信頼を高めたことに間違いはなかったが、合否に一喜一憂していた過去に比べるとヒリヒリするような感覚は失いつつあった。
完全に、慣れてしまったのだと思った。
新しいことに挑戦していないから、伸びしろもない。
そんな時「小説家養成ゼミ」の募集を見て、心が動いた。
「新人賞受賞」という明確なゴールを見据えてプロの編集者に文章を見てもらえるこの講座は人気らしく、募集と同時に定員18名の枠がみるみるうちに埋まっていった。
「残席1です!」と赤字で表示されたのを見た時、もともと「今だけの限定商品」という謳い文句に弱い私はついに申込みをしてしまった。
申込み直前には、日頃お世話になっているゼミの担当者に「大変厳しいコースです。結果が出るまで最低2年ほどかかります。もし、小説に本気で取り組むというお気持ちでしたらおすすめします」と念を押された。
まだ何者でもない自分から脱皮したくてついポチったのかもしれない。
それでも未知の分野に今から挑戦するのだと思うとワクワクした。
申し込みから約2カ月が経過した年明け早々、第一回の講義が始まった。
厳しいと噂には聞いていたものの、プロの編集者が既に籍を置いているゼミの先輩方に次々とダメだしを行っているのを見て恐くて震えた。
小説は書くうちに矛盾が生じやすいそうなのだが、読んだ時に読者が少しでも違和感が残るようなエピソードや登場人物のセリフや言い回し、場面設定などに関して全部チェックが入る。しかも場合によっては原稿用紙20枚分ほどが書き直しの対象になることもあった。
私が書いている原稿用紙5枚分をはるかに上回る量だ。改めて自分がいかに場違いな場所に来てしまったかがわかった。まだ自分には早かったとも思った。
でも、自分を変えたくて、経験値を上げたくて、成長したくて飛び込んだ道だ。
もう後戻りはできない。したくない。
担当者は言った。
「先生でも私でも、わからないことは何でも聞いていただいて構いませんので!」
そうだ。超がつくほどの初心者だけど、私には助けてくれる人たちがいる。
なんてありがたいことなんだろう。
これからきっと、嫌というほど恥をかいて汗をかく。それで自信を喪失して自分を嫌いになる瞬間もあるかもしれない。
でもそれって生きてる証拠だ!
目の前にチャレンジしたい何かが転がってきたとき、まずはその波に乗ってみる。細かい調整はきっとそれからでも遅くない。
自分が脱皮していくさまを面白がって私は挑戦を続けていこうと思う。
***
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