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精神科病棟で看護師として働くことは、一人旅で新たな自分を発見すること!


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記事:馬場さゆり(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
精神科を希望して働いていると言うと、「たいへんでしょう?怖くない?」や「どうして精神科?」などとよく聞かれることがある。これは一般の人だけではなく、看護師の仲間たちからも聞かれることが多い。
 
精神科のイメージは、もしかしたら一般の人よりも、精神科以外で働く看護師の方が、偏見を持っているのではないかと思うほどである。看護師は学生時代に、精神科を実習で経験しているにも関わらず、ネガティブなイメージを持っていることをすごく残念に思う。きっと学生実習の短い期間では、精神障がいをもつ患者さんとの関係が構築できず、苦手意識だけが残ってしまうのかもしれない。
また最近では、精神障がい者がかかわる事件や、精神病院での虐待などがニュースで大きく取り上げられたりすることで、ネガティブなイメージが更に強くなっているように思う。
 
もちろん精神科病棟では、入院時、幻覚や妄想に左右され、自分を見失い暴れて大声をあげたりする患者も多くみられる。ただそれは一時期であり、長い治療生活の中の大半は安定した精神状態で過ごされることが多いのが現実である。
 
精神障がい者といっても、目に見えて違いがあるわけではなく、私達と変わりはない。
そもそも精神の障がいって、なんだろう?
精神の正常と異常って、どこで線が引かれるのかと考えてみれば不思議な話である。
身体的な病気であれば、血液検査やレントゲンなどの検査で異常が発見されるが、目に見えない精神を病気と判断するのは、本当に難しいと思う。
 
私は自分のことを一応正常だと思って生活しているが、それって正しいのか?
精神障がいをもつ多くの方だって、内心は自分のことを正常だと思っているだろう。誰も痛くも痒くもないのに自分のことを病気だなんて認めたくないと思う。
 
精神障がいをもつ人の経歴を見ると、様々なストレスを経て発症していることがわかる。受験、就職、結婚、出産、家庭問題、人間関係、いじめなど、誰にでもあるストレスが引き金となっている。
そもそも世の中にはたくさんのストレスがあるが、それを簡単に乗り越えられる人はたくさんいるのだろうか。私達はストレスを乗り越えられない時、受け流したり、見ないふりをしたり、別のことで発散をしている。そんなことを当たり前にして、いつも通り笑顔で生活している自分って正常なのかと思う時がある。ストレスに対して、真正面から立ち向かって心が弱くなったり壊れてしまうことは、異常なことなのか。それとも病気なのか。
精神科病棟で出会う患者さん達は、正直で不器用で優しくて、子どもみたいに無邪気な方が多いように思う。世間のずるさやストレスに耐えられない方たちのような気がする。
 
看護師として長く一般病院で働いてきた私には、患者さんや家族から感謝を伝えられる場面は多くあった。どちらかというと、感謝されることに慣れてしまっている自分がいたように思う。ただ精神科病棟ではそうはいかない。患者さんは長く病院で過ごしていても、看護師の名前すら覚えないことも多く、感謝の言葉を言われることは少ない。でも、正直で不器用な方たちからの感謝の言葉や行動は、一般病院で働いていた時の言葉よりも心に響く時がある。
そういう方達と看護師と患者という立場で関わっていると、私が支援して看護しているはずなのに、少しの笑顔や行動で癒される時がある。また、幻覚や妄想でつらいはずなのに、布団を頭から被って耐えている姿を見ると、迷惑をかけたくないと思っていることがヒシヒシと伝わってきて、こちらまで辛くなってくる。もっとこういう姿を知ってもらえたらと思うことがある。
 
精神科病棟で看護師として働くことは一人旅をして新たな自分を見つけることに似ている気がする。それは、精神障がいを持つ方との関りの中で、嫌でも自分自身の正直な姿を見せつけられることが大きい。
精神障がいを持つ患者さんは、人との関わるとき、真正面から全身で正直にぶつかってこられる。そこには嘘も誤魔化しもない。だから看護師も真正面から受け止める。
お互いに魂同士として、ぶつかる感覚。これが、一人旅で新たな自分に出会うことに似ている気がする。人に良く思われようとか、人からどう見られるとか、そんなことがちっぽけで、どうでもいいように思えてくる。自分自身をさらけ出す、怖さや恥ずかしさを忘れられる。そこから本当の自分に気づき、少しだけ昨日とは違う新たな自分になれるような気がする。
一人旅で日本一周や海外へ行かなくても、世界よりももっと広くて深い心の旅ができるような気がする。
 
そういう意味では、精神科病棟の患者さんは、身体的に自由を制限されているかもしれないが、心はどこまでも自由なのかもしれない。もしかしたら、私達の方がずっと窮屈で不自由な毎日を送っているのかもしれない。
 
私はこれからも、精神科病棟で心の一人旅を続けていきたいと思う。昨日や今日とは違う新たな自分と出会えるのが楽しみである。
 
 
 
 
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2024-02-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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