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不登校を受け入れるヒントは、インド人が持っている?!


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記事:関谷陽子(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
私には2人の息子がいます。そして、2人とも不登校経験者です。長男は中学2、3年生の時に不登校。そして次男は、小学2年生から中学2年生の現在も、現役で不登校をしています。
不登校になった当初は、なんとかして学校に戻そうと色々迷走をしました。その中で私がたどり着いた結論は、「学校は必ず行かなければならないものではない」ということ。今では不登校でも元気ならいいや、そのうち自分の道を歩くだろうと心から思えています。そんな心持ちになれた理由の中のひとつは、なんと今から20年ほど前のインド旅行での経験でした。
 
今から20年ほど前、始めてツアーじゃない海外旅行に訪れたのが、インドでした。職場の先輩と女ふたり旅。周りには、個人旅行もインドも初めてだなんて、無謀すぎると言われましたが、滑り出しは順調でした。親日家のインド人は「ジャパニーズ?」と言いながらニコニコ寄ってくるし、景色は雄大。毎食のカレーも気にならず、「次はいつインドに来ようかなあ」なんて考える余裕もありました。
 
 
ところが、やはりここはインド。一番恐れていた、「電車が時間通りにこない」トラブルに出会ったのは、旅行4日目くらいのことでした。
 
 
その日はデカン高原の北にある小さな町から、夜22時発の寝台列車に乗る予定でした。駅のホームで列車を待つ間、ここでもたくさんのインド人に囲まれて、片言の英語とジェスチャーでコミュニケーションを楽しんでいました。
 
 
最初に少し電車が遅れていることに気がついた時は、「まあ、インドだしな」くらいにしか思っていませんでした。が、その遅れが30分、40分となり、23時を超えたあたりには、さすがに不安が押し寄せてきました。
 
考えてみてください。周りにはあかりもない、田舎の真っ暗な町にぽつんとある、小さな駅。もしこのまま電車が来なければ、一体どこで夜を越せばいいのか……。しかも一応、こちらは若い女性の二人連れです。ああやっぱり、初めての個人旅行で初めてのインドなんて、無謀だったんだ……。
 
 
 
そんな風に不安が膨らんだ私は、やはり電車を待っているインド人の家族に向かって、「列車はいつくるの? 何があって遅れているの? 誰かわかる?」と、気持ちだけまくし立てるように、たどたどしい英語で聞きました。今とは違い、スマホもない時代です。日本から持ってきた携帯電話なんて、すでに時計以上の役割を果たしません。とにかく今周りにいる人たちから、安心材料を引き出さないと、不安で不安で仕方がなかったのです。
 
 
そんな私を見て、恰幅の良い、秘書のような男性がのんびりと言いました。
 
 
「あのね、ここは駅なの。駅だから、待っていたらいつか電車は来るんだよ」
 
 
人によっては、何を言っているんだと思う言葉かもしれませんが、当時の私には脳天から電撃が突き抜けました。
 
 
目からウロコが落ちる、というコトワザはもちろん知っていましたが、そのウロコがおちる経験をしたのは初めてでした。しかもその言葉を聞いた瞬間、私の目から落ちたウロコは、1枚ではなく、100枚くらいだったと思います。
 
 
そっか、確かにここは駅だ。駅だから、必ず電車は来る。来なかったら、来るまで待っていたらいいんだ。
1人で待っているわけじゃないし、乗客も他にたくさんいる。「酷暑期」と言われる5月のインドは、夜はある程度気温も下がるし、湿度も低くて過ごしやすい。
 
 
 
ほんのささいな出来事だったかもしれませんが、それまで真面目にストイックに生きていた私の心を緩ませてくれる、大きなきっかけとなりました。
この旅行以降、「しなければならない」という気持ちが薄れ、いろんな物事にOKを出せることが増えたように思います。そうしていたら、少しずつ気持ちに余裕ができたようにも感じます。
 
 
「ここは駅だから、待っていたらいつか電車はくるよ」という言葉は、それまで「電車が来なかったらどうしよう」と思い悩む私を、なんてくだらないことを心配しているんだ、と笑い飛ばしてくれたような気がしました。それまで狭かった世界が、一気に広がって気がしたのです。
だから、息子たちが不登校になってしばらくしてからも、「学校に行かなくっても、生きていたらなんとかなるよな」という気持ちに切り替えることができたように思います。
 
 
ちなみに、列車はそれから30分ほど待ったあと、きちんと到着しました。予約したシートに行くと、なんどたくさんのインド人が、すでに私たちのチケットの寝台に座っていました。チケットを見せると、「No Problem!! ここに座ったらいいよ。荷物はこっちのシートに乗せてあげるね」とにこやかに言って、私たちの予約した寝台に並んで座り、さらに、別の誰かが予約しているに違いない寝台に荷物を乗せてくれました。中でも一番ニコニコしていた大柄な男性が警察官と知って、もう落ちきった目の鱗が、またもや100枚くらい剥がれていく、という経験までできました。この経験もきっと、「なんとかなるさ」という気持ちに拍車をかけてくれている気がします。
 
 
 
 
***
 
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2024-03-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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