メディアグランプリ

炊飯器様には足を向けて寝られない


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:豊田紘子(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
私は料理が苦手だ。
食べることは大好きだ。ただ、作ることがどうしても好きになれず、苦手なのだ。
 
私は大学に入り一人暮らしを始めるまで、何ひとつ料理をしてこなかった。
母にも「もうすぐ一人暮らしするんだから、少しは家で料理の練習くらいしなさいよ」と何度も言われた。だが、せっかく作っても美味しくなかったら嫌だしな……と思い、料理を避けてきた。
とは言え、心の中では「友達を家に呼んで気軽にごちそうできるような、料理上手な女になりたい!」と妄想ばかりが膨らみ、料理初心者向けのレシピ本を何冊も買った。
 
レシピ本を片手に料理を作ってみた。
数日で断念した。
私には、レシピ本通りに料理を作ることができなかった。
「玉ねぎ1/3個」……こんな文字を見たら、もう気持ちが萎えてしまうのだ。
「なぜ、玉ねぎ1/3個とか中途半端なんだよ。少しの量しかできないし、そもそも残したら悪くなっちゃうじゃん。1個丸々入れてしまえ!」こんな調子である。
 
そもそも、毎日料理を作るつもりなど、はなっからない。
買った食材は、一度の料理で全て使い切りたいのだ。
そしたら、食材も悪くなることなく一度に消費できるし、それなりの量を作ることができるから、しばらく作らなくてもいい。
「なぜこんな、チマチマした分量で作らなきゃならないんだ……。やってられんわ」と、早々にやる気がなくなった。
 
そして、一番の壁は調味料だった。
調味料が何個も並ぶだけで、一気に料理が難しく感じた。
もちろん、目分量で計ることなんてできない。かといって、いちいち計量スプーンで計って入れるのもめんどくさい。
なによりも、毎回いちいち計っていたら、私はレシピ本がなければ料理が作れない人になってしまうのではないか? と思った。
レシピ本によって、調味料の分量も違う。そう思うと、レシピ本通りに料理を作ることって……本当に料理上手になれるのか? と、疑心暗鬼になってしまったのだ。
 
結局、大学4年間で自信を持って作れた料理は、もともと作れたスクランブルエッグと、当時流行った脂肪燃焼スープだけだった。味噌汁すらまともに作れるようにはなれなかった。
 
そんな私にも、とうとう真面目に料理に取り組まなければならないタイミングが来た。子どもができたことだ。
子どもには美味しくて健康的なごはんを食べさせたい。その一心で、また料理をがんばってみようと思った。
 
懲りずにまたレシピ本を探していたとき、「重ね煮」という調理法の本を見つけた。
食材を順番に重ねてコトコト煮るだけ、調味料も多くて3つほどというシンプルさ、味つけは一番最後だけでOK……という、レシピ本に挫折した私でもできそうな調理法だった。
この方法だったら、ゆくゆくはレシピ本を見なくても自分で料理が作れるようになれそう! と、初めて思えた。
この本のおかげで、私は、基本的な料理は作れるようになった。おかげで、上の子の離乳食は順調に進み、私の「料理ができない」というコンプレックスも薄れた。
 
しかし、この数年後、私は料理を作ることが苦手……を超えて、苦痛になってしまった。
きっかけは、下の子の離乳食だ。
 
上の子の離乳食は、自分でも少しは料理が作れるようになった! という喜びから、あまり苦を感じずに作ることができた。作ったものもパクパク食べてくれたので、作り甲斐もあった。
一方で、下の子は全然食べなかった。そしてこの時は、料理が作れるようになった喜びなど遥か昔の話で、とにかく日々食べさせるものを作らなければ……という状態だった。
歯ぐきでつぶせるほどの柔らかさになるまで煮込まなければならないので、少しでも火が通りやすくなるように細かく切る。火を使って料理をしている間は、台所から離れられない。そしたら、下の子が泣き始める。でも、おんぶは嫌い。抱っこだと鍋に手を伸ばしてしまって危ない。
 
ああ、どうすればいいんだろう。
世のお母さんは、どうやって要領よくやっているんだろう。
昼寝の時間にごはんを作ってばかりいたら、私、自分のやりたいこと全然できない……。
というか、一体何を作ったら食べるんだ。
そして、なんでこんなに細かく切ってるのに、柔らかくならないんだ……。
さらに、上の子も好き嫌いが出始め葉野菜を全く食べない。ごはんの時間もおしゃべりばかりで食は進まず、服にもボロボロこぼしカスがつく……。
料理を作る時間だけでなく、食事の時間すらストレスだった。ごはんに関わる時間全体が、苦痛になってしまった。
 
育児書などを見ると「離乳食が進まなくても、食事は楽しいことだって子どもが思ってくれることが大事。ママ自身も食事を楽しんでね」というアドバイスをよく見る。
それどころじゃないんだよ! というのが正直な気持ちだった。でも、確かにこのままではいけないのもわかる。
ただ、どうしたら楽しんで料理から食事の時間を過ごせるのか、全く思い浮かばなかった。
 
そんなとき、ふと、とあるテレビ番組を思い出した。
「1ヶ月1万円で生活」というコーナーをやっていた番組だ。
あ、そういえば、あのコーナーっておかずを炊飯器で作ってたな。
……これかもしれない!
 
食事に関わる時間で私が特にストレスに感じていたのは、火をつけているときにその場から動けないこと、そこそこ時間をかけているのに食材が柔らかくならないこと、その間に下の子が泣いてしまうことだった。
 
炊飯器であれば、スイッチを押せば火を見る必要もない。圧力もしっかりかかるので、きっと食材も柔らかくなるはずだ。
 
作ってみた。
今まで台所に立っていた時間はなんだったんだろう? と思った。
野菜を切って入れただけで、勝手に調理してくれて、野菜の甘みもより際立つ。
台所に立つ時間が30分以上からたった5分強にまで減った。
そして、日によってムラはあるものの、下の子も野菜をたくさん食べてくれるようになったのだ。
炊飯器が、私にとっての救世主になってくれた。
 
思えば最近は自動調理鍋が大人気だったが、私にとっては全くもって眼中になかった。
そんなものを台所に置くスペースなど、我が家にはないからだ。
毎日活用していた炊飯器が、自動調理鍋の役割もこなしてくれている。こんなありがたい調理家電を、私は持っていたのだ。
本当にあなたのおかげで、私は救われました。炊飯器様、これからもよろしくお願いします。
 
 
 
 
***
 
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2024-03-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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