人が親から受け継ぐのは遺伝子や財産だけではない。親から受け継ぐ本当に大切なモノ
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記事:安田伸也(ライティング・ゼミ4月コース)
「お父さん、立入禁止!」
次女の部屋の前にこの紙が貼られたのは、もう20年ほど前年末のことだった。
当時の私は、単身赴任をしていて月に1度か2度帰宅する。
そんな生活だった。
時々帰宅して酒を飲んでは、時々まだ小学生だった次女をバカにして、からかっていた。
大晦日の夜、家族でテレビの歌番組放送されている時に、酔っぱらいの私は次女が好きな歌手をバカにした。
そして、彼女の部屋にその貼り紙がされて閉じこもったのだった。
年が明けた正月にその話を弟にしたところ、こう言われた。
「親父にそっくりやな」
私はハッ! とした。
数年前に亡くなった父親に、同じようにからかわれていたのを思い出しのだ。
とあるアンケートによると、コミュニケーションが苦手、どちらかというと苦手と答えた人の割合が全体の60%近くだったそうだ。
半数以上の人がコミュニケーションは苦手と答えている。
獲物を狩るための鋭い牙や爪を持たない人間は、他の人間と協力しないと生きていけない。
そのため、石器時代から100人程度の集落を作って生活していたという。
人間同士が協力し合うためには、コミュニケーションは必要不可欠。
現代でも、それは同じだ。
しかし、半数以上の人がコミュニケーションは苦手と答えている。
では、この人間が生きていくために不可欠なコミュニケーション。
どうやって学習するのだろう。
あなたは、どうやってコミュニケーションを身につけたのだろうか?
算数や国語のように学校で習っただろうか?
少なくとも、私の小学校時代はコミュニケーションを教える授業は無かった。
クラスメートと喧嘩すると「仲良くしなさい」と叱られたが、「どうやったら仲良くできるのか」は教えて貰えなかった。
だから人は、親や身近な大人を見本として、実際に人と関わる中で自然に覚えていく。
しかし、その見本となる親や大人も正しいコミュニケーションを習っていないのである。
ということは、身につけているコミュニケーションが、人との関係を良くするようなモノであれば、人生は良いモノになるだろう。
だが、反対に身につけているコミュニケーションが、人との関係を悪くするモノであれば、私のように娘から嫌われるようなことになってしまう。
この親から子へ、子から孫へと受け継がれるコミュニケーションを「世代間連鎖」という。
この世代間連鎖は、人とのコミュニケーションだけではなく、その家族の形態にも受け継がれる。
家族の形態は、大きく分けて3つのタイプに別れるという。
タイプ1,封建的な家庭
これは、その家族のトップに立つ家長が、全てを決定するタイプ。
例えば、家族旅行の行き先も家長が決めて他の者はこれに従うという家庭だ。
多くの場合、子どもの父親か母親が家長だろう。
3世帯家族であれば、祖父や祖母の場合もあるかもしれない。
タイプ2,民主的な家庭
決定事項は、家族で話し合って決めるタイプだ。
例えば、家族旅行の行き先を決めるときは、誰かが司会役になってそれぞれが行きたい所を発表して話し合う。
今回はお母さんが行きたい温泉旅行にして、次回は長男が行きたいキャンプに行こう。
などと、全員の合意を得て決定する家庭。
何かを決めるときには、家族会議を開いて決める。
タイプ3,アナーキー(無政府主義)の家庭
強引に主張した者の意見に他の者が従うというタイプ。
例えば、旅行の行き先を決める時に、長男が何が何でもキャンプに行きたいと主張したとすると、渋々ながら全員がそれに従う。
声の大きい者が勝つ家庭だ。
どのタイプが良いか悪いかでは無く、家族内でのコミュニケーションの違いだ。
問題は、違った形態の家庭で育った者同士が結婚した場合。
上手く行かない場合もあるかもしれない。
何故かというと、その家族内でのコミュニケーションが当たり前で、他のタイプの人間と結婚した場合、違和感を感じるだからだ。
違うタイプのコミュニケーションに馴染めたら良いが、そうでもない場合も多いだろう。
私と妻の場合も上手く行かなかった。
私は、タイプ1の封建的な家庭で育った。
家族は、父親と母親、そして長男の私、弟と妹の3人兄妹だった。
だから、重要な事は全て父親が決めて、母親や私たち子どもに相談された覚えは無かった。
だから、結婚しても何かの決定事項があると、全て私が決めていた。
妻や子ども達の意見は訊かなかった。
私にとって、それが当たり前の家庭のコミュニケーションだった。
ところが、妻の育った家庭は、タイプ2の民主的な家庭だった。
男性は父親だけ、母親と女3人姉妹。
妻はその末っ子。
自然とお互いが気遣って譲り合う。
そして、察し合うのが当たり前だったようだ。
だから、不満があっても妻は口にしなかった。
私は、不満があれば口にする家庭に育ったため、妻の不平不満に気がつかなかったのだ。
今思うと、そんな家庭内コミュニケーションの違いが、離婚の遠因になっていたのだろう。
このような世代間連鎖は、やはり何処かで断ち切らないといけない。
そうしないと、親から子どもへ、子どもから孫へと続いてしまう。
そのためには、人は正しいコミュニケーションを学び、より良い人間関係を築くことが幸福へと繋がる。
そして、幸せな人を増やすためには、悪い世代間連鎖を断ち切り、良いコミュニケーションを次世代へ受け継がなければいけない。
だから、私は、コミュニケーションを学び、今それを人に伝える仕事をしている。
などと言ったが、やはり受け継いだ好ましくないコミュニケーションが、無意識に出てしまうことはある。
そんな時は相手に謝罪し、心の中で「やっちまったな〜」と反省している。
そんな無意識に刻まれた世代間連鎖のコミュニケーションは、なかなか手強い相手だが、少しでも「やっちまったな〜」という事を少なくするためにこれからも努力していく。
自分も人も幸福にするために。
***
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