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スポーツカーみたいになりたい!と言った私が、スポーツカーに並んだ話


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記事:にいみひろこ(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「私、CRZみたいな人になりたいです!」
「…… …… どういうことですか?」
 
14年ほど前コーチングを受けていたときに、おそらく突然に「CRZみたいになりたい」と言った私。電話でのコーチングだったが、コーチの目が点になっているのが見えるようだった。
 
CRZというのは、H社のハイブリッドのスポーツタイプの車である。このコーチングのちょっと前に購入したところだったのだ。
 
その前に乗っていた車は、一般的には人気の車。2台前の車が突然壊れたとき、ほしい車がなくて仕方なく買ったオートマ車だった。通勤にもそのあたりにいくのにも便利ではあるのだが、もともと車が好きでマニュアル車に乗っていた私からすると、なんだか反応がトロくてイライラするのだった。
そんなとき、CRZと出会い、ひとめぼれした。カッコいいし、マニュアル仕様があるし、ハイブリッドだし…。
車が好きで、マニュアル車なのに、ハイブリッド? と思われるかもしれない。でも、私は、車をかっ飛ばしたいわけではない。走る楽しみを十分感じながらも地球環境にやさしいというのが、ベストな解だった。そういう意味で、CRZは私がほしいと思う条件を全て兼ね備えていた、理想の車だった。
 
色は、何か月も悩んで、やっぱり赤にした。スポーツカーといえば赤だし、何よりもカッコいい。
でも、そんなに長く悩んだのは、「私には似合わないのでは?」と思っていたからだった。そのとき私は49歳。
もうすぐ50歳のおばさんが、そんな車に乗っていいの?
派手だし、目立つし…。
カッコいい車から出てきたのがおばさんって…笑われるんじゃ?
そんな言葉が頭の中をグルグルして、真っ赤なカッコいい車に乗りたい私と、そんな車になんて乗れない私が葛藤していた。
 
それでも、そんな葛藤を乗り越えて、私のところに理想の真っ赤なスポーツカーがやってきた。
毎日の移動の時間が、ワクワクして、楽しくて、気持ちいい最高の時間に変化した。わざわざどこかに行かなくても、日常の街乗りがこんなに楽しいなんて!
 
でも、その一方で、私は無理をしていた。だって、この車に似合う人じゃないといけないから。
車に乗るときは、ちゃんとお化粧もして、服も着替えて乗らないと! まだ身支度もできてなくて、朝からバタバタと子供を送っていくときは、例のトロいオートマ車。そんなジャージみたいな恰好で、CRZには乗れなかった。
会社の駐車場では、なるべく目立たないと思われる位置に停め、周りに誰もいないのを見計らって乗り降りをした。この車の持ち主が私だとバレないように…。
 
そんな私だったからこそ、CRZのようになりたいと思った。
高速道路なみの時速80km程度で流れている通勤路。今までのトロいオートマ車では、車の流れを邪魔しないためには、ある程度アクセルを踏み込んだまま、80kmを維持している必要があった。(交通ルール的には完全に違反だが、ここは目をつぶっていただきたい…)つまり、いつも頑張ってないといけなかったのだ。それは、まるで私だった。自信の無い自分を隠すために、必死になっていた私だった。
でも、CRZは、必要な時にちょっとアクセルを踏み込めば、あっという間に加速してくれる。つまり、いつも頑張っている必要がないのだ。自然に走っていても、必要な時だけ力を出せば十分なのだ。
見た目のカッコよさに加えて、この余裕が何と言ってもカッコよかった。まさに私がもっとも憧れるところだった。
 
コーチに「CRZみたいになりたい!」と言ってから、数年が経った。
その間、いろんな問題が起こった。多くの学びもした。そして、自分の夢のために、会社も辞め、小さいながらも1歩1歩を踏み出していた。
そんなとき、気が付いた。
あれ? 私、ジャージでCRZに乗ってる…。化粧してないこともある…。
ん? ってことは…?
私は、ある種、ワクワクとした期待や予感のようなものをもって、友達にこのことを話した。
 
「わ~~~! ひろぽん(私のことである)! CRZに追いついたんだね!」と、友達。
「や、やっぱり!?」 予感は的中していた!
 
そうだった。私はもう、無理して乗ってはいなかった。自然体で、あるがままの自分で、CRZに乗ることができていた。しかも、乗り降りするときだって、堂々としている。恥ずかしいなんて思いもしない。
そしてそれは、CRZに乗るときだけでなく、仕事の在り方にも表れはじめて来ていた。
 
CRZも、13年目の車検を迎えた。
私は、乗り続けられる限り、この車に乗っていたい。一生の相棒だ。そう思って、ちょっと色あせてきた車体を、全部塗装し直した。すると、新車の輝きがよみがえって、また、エネルギーが湧いてきた。
 
そして今、自分のモットーとして掲げているのは、「心も体も人生もカッコよく生きる!」だ。ゴールなんてないけれど、それを一生目指し続けようと思っている。
 
 
 
 
***
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2024-04-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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