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毎週ライティング・ゼミの課題提出がギリギリになる言い訳


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:きむらあや(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
今回という今回はまずい。もう21時だ。絶対間に合わない。
だから土日に少しでも書いておけばよかったのに、わたしのバカバカ。
 
ここ2カ月ほど、毎週月曜日は脳内でこんなことを繰り返している気がする。
 
月曜日は、ライティング・ゼミの課題提出日だ。
毎週2,000字前後の文章を、23:59までに送信しなければならない。
 
週末にざっと書いておいて、月曜日は少し寝かせて置いたものを推敲、小修整して提出する、という形が理想ではある。
しかし、理想は理想であり、夏休みの宿題をギリギリにやるタイプ代表(と勝手に名乗る)・私は、月曜日になってから、「今からが本番!」と、ギアを上げて取り組むことが続いている。
 
しかし、困ったことに、月曜日の私は、ある理由で毎週のように寝不足である。
これから2,000字書かなければならないのに、夕食を食べ終えたころにはもう、眠くてしょうがない。
この状態で、冒頭のように、脳内は焦りで汗だくになりながら、一心不乱にタイピングをしている。
 
 
 
この状況の言い訳させてもらうと、毎週月曜日に寝不足で、課題提出がギリギリになるのは、「子ども」のせいである。
これは、わが子のことではなく、私の心の中の「内なる子ども」だ。
 
 
 
漫画がとても好きだ。人生を振り返ると、漫画を読む時間はもちろん、読んでいなくても、漫画作品のことを考えたりする時間の割合が大きいと思う。
 
覚えている範囲で、初めて読んだ漫画は、たぶん、『セーラームーン』だった。
絶大な人気を誇ったアニメ放映当時、未就学児であった私は、ご多分に漏れず、毎週テレビにかぶりついてリアルタイムで視聴していた。その熱狂ぶりを見た母が、原作が掲載されていた『なかよし』をたまに買い与えてくれた。
どう考えても、まだ満足に漢字も読めない未就学児に少女漫画は早かったと思うが、話はよくわからないながらも、少しお姉さんになった気持ちで、原作『セーラームーン』の繊細で美しい世界を夢中で眺めた。
 
やがて、少女漫画雑誌のメインターゲット層である小学生になると、『なかよし』を毎月買ってもらえるようになった。
話もだいぶ理解できるようになったので、次の号が発売される1ヶ月の間に、何度も何度も何度も読み返した。
あまりにも集中して読んでいたので、親の呼びかけが聞こえず、その都度ものすごく怒られた。
 
 
 
漫画のこととなると時間を忘れて没頭してしまう。そんな立派な漫画少女になった私は、中学生になり、同級生の影響でついに少年漫画にハマった。
それまで夢中だった少女漫画は、ときめきと憧れで心を満たしてくれたが、少年漫画は、ハラハラドキドキとその後の爽快さで胸がいっぱいになった。
 
そのころ、憧れていた漫画の読み方があった。
『週刊少年ジャンプ』を毎週購読することである。
 
当時、友達から借りる『ONE PIECE』や『BLEACH』に一気にのめりこんだ。
好きな作品の最新話を一度に読める『ジャンプ』は、コンビニの雑誌コーナーで光輝いて見えた。毎週買って読めるようになりたかった。
 
しかし、月刊誌ならまだしも、毎週漫画雑誌を買ってほしい、と親にねだるのは、私にとってはハードルが高かった。
自分のお金で買おうにも、漫画以外にもほしいものはたくさんある。ましてや中学生はバイトもできない。雀の涙のお小遣いの中から、毎週300円弱、月に1000円以上の出費は痛かった。
 
毎週自腹で『ジャンプ』買える少年少女はいるのか?いくらもらったら毎週買えるんだ?と心の中で悪態をついて、涙を飲んで『ジャンプ』の定期購読は諦めたのであった。
 
 
 
そんな漫画好きの少女は、その情熱はそのままに、時を経て社会人になった。
今から3年ほど前、単行本を愛読していた『呪術廻戦』と『ONE PIECE』の展開があまりにもおもしろく、コミックスで追っているだけではもどかしくなった私(と夫)は、『ジャンプ』電子版の定期購読を決めた。
毎週買うことを諦めたあの中学時代の悔しさから約20年。ついに、あの憧れの「ジャンプ読者」になることができた。
大人(の経済力)って最高だ。
 
月曜日発売の『ジャンプ』は、電子版だと、日曜日の深夜0時、つまり、月曜日になった瞬間に配信される。
毎週日曜日はいつもより少し夜更かしして、0時になった瞬間、iPadで『ジャンプ』を読んでから寝るのが日課になった。
月曜の朝起きてから読んでも良いのだが、中学生時代から定期購読を我慢していた反動からか、配信後すぐ読みたい気持ちを、どうしても我慢できない。
 
しかも、困ったことに、一度読んでしまうと、布団に入ってもすぐには寝付けない。
『ジャンプ』というものは、毎週毎週それはもうとんでもなくおもしろい。「この展開は予想外! 激熱!!」とか、「え、もしかしてあのときのあれはこの伏線だったってこと……?」と、脳内のありとあらゆる引き出しが開けられ、思考があふれ出して止まらない。
興奮で眠れないことすらも、ちょっと楽しい。
 
「翌日のパフォーマンスが落ちるから、0時には眠りについていたい」
「ましてや明日は月曜日。憂鬱な平日の幕開けは万全の状態で臨みたい」
「ライティング・ゼミの課題提出もあるんだよ?」
 
「大人としての私」が、そんな冷静な声を浴びせてくるが、その声をあえて無視して、0時を待つ。この罪悪感も気持ちいい。
 
日曜0時は私にとって、大人の冷静さを脱ぎ捨て、誰にも文句を言われず子どもに戻れる特別な時間なのだ。
 
この罪悪感交じりに、ワクワクしながら物語を読み進めて、感情を思いきり動かす時間こそが、一週間の活力になっているとすら思う。
頭や体のコンディションは万全ではなくても、「『ジャンプ』おもしろかったな」という追憶だけで、週明けの仕事と、ライティング課題へのモチベーションはとてつもなく上がる。
冷静な自分だったらしないことに踏み込んで、別の視点をインストールしているからこそ、新しいことを発見できると信じている。
 
 
 
週に1度、現実から離れて、後先考えない子どもに戻れる時間がある。
私にとってその時間は、大人になったからこそ叶えられたことだ。自分が今、と決めたときに、思う存分子どもに戻れる。もしかしたら、ある意味では大人こそが「真の子ども」でいられると言えるのかもしれない。
 
ということで、今週の課題提出も、眠い目をこすりながら、ギリギリ書き終えた。
昨晩夜更かしして『ジャンプ』を楽しんだ「子どもの私」も大満足だ。
今週も良い一週間になりますように。
 
 
 
 
***
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2024-05-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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