メディアグランプリ

京都deサウナ


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記事:オカタツ(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「春はあけぼの やうやう白くなりゆく山ぎは……」の有名な冒頭から始まる枕草子。「春」といえば、明け方の情景が一番に頭に浮かぶ、というものだ。その後、「夏は夜……」と続いていく。「星はすばる」などもとても有名だ。
自分でアレンジなんかして、〇〇版枕草子なんていうのも数多く出版されたり、ネット上に散らばったりしている。「パリ」といえば……「凱旋門」とか「二刀流」といえば……「大谷翔平選手」といったものなど幅広い。
 では、「京都の夏」といえば……、一番に思い浮かぶのは、その「暑さ」だろう。昔から京都に住んでいる友人に「暑さ」のワケを尋ねると、「京都は盆地やから」とか「暑さだけやなくて、温度がすごいねん」などという答えが返ってくる。
 たしかに、わたしも京都に住んで早3年。暑さだけじゃないものを感じずにはいられない。もともと、お隣の滋賀県に住んでいたのだが、ちょっと暑さの種類が違うのだ。
 汗が止まらない。ハンカチで拭っても拭ってもとめどなく吹き出てくる。息をするのも苦しい日がある。蒸し蒸しとして、湿度も高い。手もすぐに汗でネットリしてくる。
「暑いなあ、なんでこんな暑いんやろか。」
「ほんまやなあ、まるでサウナみたいやなあ。」
 そう、本当にサウナのようなのだ。あの汗のしたたり具合、肺にまで熱い空気が入ってきて苦しいあの感じ。
 でも、サウナって気持ちいいんだよね。気持ちいいから、今や空前のサウナブームという噂も耳にする。朝の情報番組でもキャスターさんが山小屋をサウナルームに改造する企画をやっていたりする。どこかの社長がプライベートサウナにハマっていて……、なんて、SNSでも色んな人がサウナの気持ちよさをうたっている。
 特殊なサウナじゃないけれど、個人的にもすごく気に入っている。近くの大型銭湯に行って、脱衣所で服を脱ぎ、体を洗う。そして大きな湯船にアチチチって言いながら浸かり、そしてサウナルームの扉を開ける。あの汗のしたたる感じ。えも言われぬ息苦しさ。いいよね。
むむむ。じゃあ、京都の夏は? 同じく汗もしたたるし、息も苦しい。でも全然気持ちよくない。なぜなんだ、どうしてなんだ。
うんうん考えていると、電話が鳴った。
「今日もフットサルせえへんか」
友人が銭湯に隣接しているフットサル場で汗を流さないかとよく連絡をしてきてくれる。毎回毎回は行けないけれど、時間が合えばいくことにしている。
「ありがとう。今日は行けるで」
ジャージにサッと着替えて、タオルと下着の替えを持って車に乗る。そしてボールをパス、パス、パス、シュート! 汗だくだ。
その後、サウナでさらに汗を流す。超気持ちいいんだ、これが。
汗をかいたその後に、さらに汗をかきに行く。我ながらどうかしてるぜって思う時もある。
サウナじゃなくて、汗をかいた後に、また汗をかくなんて、これが仕事の何かだったら絶対いやだ。この時間はこれをしなさいって決まっていたとしたら、嫌すぎる。
きっと、そうか。サウナって、自分で入るかどうか決められて、いつ出るかどうかも決められる。この「決められる」ってことが大事なんだと思う。「熱さ」に飛び込むか、水風呂に飛び込むか、すべて自由ってことだ。自由に決められることが、気持ちよさをきっと生むのだ。
幼い頃、親から「いいかげん、お風呂に入りなさい!」と言われるのが嫌で仕方がなかった。風呂なんて入りたいときに入ればいいやん、なんで決められなあかんねんって思っていた。無理矢理入らされたお風呂はあんまり気持ちよくなかった気がする。自分から入った日のお風呂は、逆にものすごく気持ちよかった。
じゃあ、どこでもドアを用意して、自分の意志で真夏の京都で10分過ごし、その後避暑地軽井沢に向かうと気持ちいいんだろうか。うん、たぶん気持ちいいんだろう。
2024年5月。今のテクノロジーじゃ実現できないことだけど、夢は描ける。現実的に試せるのは、真夏に玄関を開け、外に出て、じっと座って10分待つ。その後、すぐさま家に戻って、あらかじめ氷まで入れておいた水風呂(京都の夏の水はあっちい)にダイブ。
……これって気持ちいいんだろうか。たぶん、気持ちいい。そう思うでしょ、みなさん。この夏試してみましょう。京都deサウナ。家サウナ。
この「自分で決める」という自由がもたらす価値は計り知れない。耐えられないほどの京都の夏の暑さが、少し待ち遠しくなってくるほどに。
 
 
 
 
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2024-05-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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