心地の良い環境は本棚に収まるほどにする
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:尾崎コスモス(ライティング実践教室)
「今度お会いしたいのですが、いつなら空いていますか?」
このようなアポイントの電話がかかってくる。もしくは、メールで飛んでくる。
こんな時、私の心はザワザワした。
人と会うことは好きだ。
飲み会なども好きで、誘われれば顔を出すことに抵抗がない。
時間が許す限り、多くの人と話がしたいとも思っている。
しかし、アポイントメントの連絡にはザワザワとした心の状態になる。
それでも、そうした心の状態に目を瞑って日々を過ごしていた。
私の中では、大した問題ではないというつもりでいたのだ。
普段、昼間は働いていた。いわば普通に会社員をしていたのだ。
しかしプライベートでは読書関係の活動を行っていたため、多くの人と知り合う機会があった。
「趣味が高じて、多くの人と繋がっている」という人と、なんら変わらない。
つまり、仕事以外でも連絡しなくてはいけない人が、たくさんいる状態である。
仕事やプライベートで、忙しくしている人がカッコよく映ることがある。
洋画を見ていても、ヒーローなのに普段は会社の社長をしているなど、忙しく働くビジネスマンは格好よく描かれている。マーベル(MARVEL)好きな私は、そうしたヒーローもの映画の影響も多分にあったろうと思う。
しかし、いざやってみるとこれが、思ったよりもたいへんだった。
仕事中であっても、アポイントメントがあれば返事をしなくてはいけない。
「相手も忙しい最中、連絡してきているのだろう」と気を使ってしまい、すぐに返事をしなくては動悸がする。何かに追われているような感覚になる。
頑張って、すぐに返事をすると安心する。
すると、それまでの切迫したような感覚から解放され、一気に解き放たれた心は、忙しく働く自分を好きになる。
しかし、またアポイントメントが来ると、「なぜこんな思いをしてまで追い込まれた気持ちになっているのだ」と、再び切迫してくるのだ。
そうしたことを繰り返してきた。
すると、何もしていないのに疲れることや、休日には無気力な状態となり一日中寝てしまうこともあった。
忙しくしていることに憧れているのに、一日中寝てしまったという罪悪感は半端ない。
自己嫌悪に陥り、自分を否定したくなる。
「私なんて」という言葉が口をつく。
そんなある時、以前から興味のあった“断捨離”を実行した。
本棚に収まらないほどの本を所有していたため、自宅の床まで本だらけになっていた。
「あふれるほどの本が気持ち悪い。手放してスッキリしたい」
部屋をぼうっと眺めていた時に、ふと急に、そんな気持ちになった。
心のザワザワの原因が、本棚であるような気がしてきたのだ。
インターネットで調べた本屋に、段ボールにして5箱にも及ぶ本を送ってみた。
スッキリした。
なんだか心地いい。
2、3日はそのまま過ごしたが、快感が忘れられず、また段ボールに本を詰めた。
今度は4箱。
以前の5箱分と合わせて、500冊くらいは送った。
元々何冊あったのか数えたこともなかったが、本棚の3分の1くらい無くなったように感じる。めちゃくちゃ気持ちいい。
癖になった私は、断捨離のおすすめ動画を見ると、『魔女の宅急便』の原作者である角野栄子さんが、本棚について話している動画に出会った。
角野さんは「小さな本棚に収まるくらいの量、例えば本当に好きな本を30冊くらいに絞って、それ以外は手放すと、とても人生が豊かになります」と話されていた。
「素敵! やってみよう!」
そう思い、さらに断捨離を敢行した。
読み終わった本はもちろん、読んでいない本でも「この先も読まないだろう」と思われる本は全て手放した。
30冊とまでは行かないまでも、持っている本棚に収まるほどに絞ってみた。
スッキリした。
これまで味わったことのない開放感は、心の底からの安堵感にも浸ることができた。
ふと、「人間関係も本棚と同じなのではないだろうか?」
そんな気持ちになった。
「人間関係も、自分の本棚に収まるだけに留めてみよう」
そう考えて、人間関係を絞っていくことを考えてみた。
自分を中心に、大切に思う人から順に、欠かせない人をあげていく。
これまでの人間関係でも、「この人のことが好き」という気持ちで付き合っている人はそれほど多くなかった。
付き合っていると、自分にメリットがあるという理由で付き合っている人というのは、相手も同じ気持ちであることが多い。
そうした生産性のない関係は、思い切って断ち切ってみた。
すると、驚いたことに、本棚に収まるほどの人間関係で十分に幸せだと感じられた。
人間関係というのは、広く浅く持つか、深く濃く持つかの2択しかない。
1日に会える人の数というものに制限がある以上、広いと言っても限界がある。
つまり、広くたくさんの友人を持つほど、人間関係というのは希薄になる。
心から大切な人と、濃くて濃密な時間を持てなくなることに気がついた。
人生において、心から友達と呼べる人に出会う確率というのは多くないという。
出会っても、1人か2人だろうとも言われている。
そんな中で出会えた、大切な友人、家族と共に過ごす時間はかけがえのないものとなる。
そして、そんな人と過ごす時間こそが、人生の大切な時間となるのだ。
私は、本棚に収まるほどの人間関係に絞ったことで、これまでよりも家族と話す時間が多くなった。それまで、家の外に目を向けていたことを悔やむほどだった。
友人を減らした結果、驚くほどに時間や心にゆとりが生まれた。
人間関係も本棚に収まるほどに絞ると、人生が豊かになることを実感した経験だった。
***
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