メディアグランプリ

レモンスカッシュは私の秘密兵器


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:こまつ (2024年6月開講1ヶ月集中コース)
 
 
「よし、気合い入れるぞ!」
私が自分自身に気合を入れるための秘密兵器、それは自分で作ったレモンスカッシュだ。家族や友人と過ごす夏のバーベキューでも、必ずレモンスカッシュを作る。釣りやサッカーの試合に行くときには、自宅で作った強炭酸のレモンスカッシュを持参する。それは私にとってのエネルギー源であり、一服と気合を入れるための大切な秘密兵器なのだ。
この刺激は、まるでベートーヴェンの「運命」のようだ。冒頭の「ジャジャジャジャーン」という力強いフレーズが心を揺さぶるように、口に含むごとに感じるその刺激は、ベートーヴェンの音楽が持つ劇的な展開に引き込まれるような感覚を呼び起こす。まるで、音楽の中に飛び込んだような気分になる。
科学的にもレモンスカッシュの効果は認められている。酸性に傾いた血液をアルカリ性に戻す効果、つまり疲労回復効果があるのだ。また、痛みや不快感を緩和させる効果もある。レモンスカッシュを飲み始めてから、以前よりも疲れにくくなったと感じる。まさに私の体を支える液体版の「運命」だ。
実は私の仕事の多くはパソコンに向かい、作文をすることだ。しかし最近、レモンスカッシュの力を使っても文章が書けないことがあった。論文、本の執筆、報告書、企画書など多くの文章を書く中で、締め切りが近づくとスランプに陥ることがあるのだ。レモンスカッシュではどうにもならない時もあった。
ある日、私のSNSに「天狼院」という本屋が開催するライティング・ゼミの広告が毎日何回も表示されていた。「しつこいなぁ」と思いながらも、「人生を変える」と謳われているその広告に少し興味を持った。
「もしかして、本当に人生が変わるかもしれない。文章の締め切りに追われる日々が楽になるかもしれない」と期待も芽生えた。
しかし「人生を変える」と謳われるとなんだか怪しさも感じた。友人にも「本当に大丈夫?」と心配され、ますます迷った。
数日後、私は無農薬レモンを手に入れたので、レモンスカッシュを作るためにレモンを食卓で瓶に詰めていた。まるで秘密兵器を作る魔法使いのように。
そして妻に「ライティング・ゼミに参加しようか迷っている」と相談した。
妻は笑って言った。「あなた勉強好きね。やってみる価値はあるじゃない。もし怪しかったら、その時は一緒に考えよう。」その言葉に勇気づけられた私は、すぐに携帯でライティングゼミへの参加を申し込んだ。あまりに急いだので手にはレモンの酸っぱい香りが残った。
 
受講当日。
カランカランと、重い扉を開けた。ここはワンドリンク制だ。飲み物を注文しないといけない。
「あ、レモンスカッシュ?」レモンスカッシュを忘れてしまった。
次の瞬間、メニューに書かれた「レモンスカッシュ」が目に入った。私は、ここは気合が必要なのでレモンスカッシュを注文した。
開講直前に机にレモンスカッシュが届いた。ストローはない。
「ガブ飲みスタイルか。気合いを入れるにはちょうど良い」
コップから直接レモンスカッシュを口にした。
「あれ……なんか……ちがう……」
私が予想したのは、これまで自分で作り飲んでいたレモンスカッシュと同じような、エナジードリンクの役割だった。一服後に一気にエネルギーを爆発させるレモンスカッシュだ。ベートーヴェンの「運命」のように、強烈なエネルギーでテンションを上げてくれるレモンスカッシュだ。
一方、今口にした天狼院のレモンスカッシュは、例えるならばベートーヴェンの「田園」だ。「田園」は、自然の美しさと平和を描き出し、聴く者に穏やかでリラックスした気持ちをもたらす。この交響曲が持つ調和と安らぎは、天狼院のレモンスカッシュの優しい酸味と柔らかな甘さに似ている。
天狼院のレモンスカッシュは、店員さんによれば「甘酸っぱい初恋の味」をコンセプトにしているそうだ。その言葉通り、心を落ち着かせ、一服をもたらしてくれる。どちらのレモンスカッシュも、疲労を吹っ飛ばし、心に余裕を与えてくれる秘密兵器だ。
ゼミが進むにつれて、私は文章を書くために自分の心の動きをモニターして表現することが大事だと思うようになった。「なんで自分は今嬉しかったのか?なんで悲しかったのか?」そんな問いかけを繰り返し、自分を見つめ直し、表現してみる。これが文章を書くための糧となると理解した。今や過去を振り返り、そして人生の棚卸しさえもするライティングゼミ。こうしたときには、たしかに癒される天狼院のレモンスカッシュが必要だ。
レモンスカッシュの中身の調合は企業秘密らしい。だが、私は気づいた。文章を書くことも癒しのレモンスカッシュを作ることも、読み手や飲む人、つまり対象者の置かれている立場を考えて喜んでもらう点が共通している。
その爽快な刺激と穏やかな癒しの両方を楽しむことで、元気が出る。それによって、相手の立場に立って考えることができる心の余裕ができる。そして人を喜ばせるための工夫と心を込めることが、何よりも大切であることを教えてくれる。
レモンスカッシュは私の秘密兵器だ。
 
 
 
 
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2024-06-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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