メディアグランプリ

サイボーグ人間は多病息災で元気に生きる


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:橋永 雅夫(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
皆さん、心臓の調子はいかがですか。心臓はなかなか不調が分かりにくい臓器といわれています。気になった時にはもう手遅れ、ということも多いですね。
私の心臓弁膜症、前立腺がん他のこの20年間の壮絶な闘病体験が何かのご参考になればと思い、今回取り上げました。
 
ずっと入院など経験のない人生を送っていましたが、50歳の時、心臓の不調が健康診断で見つかりました。
当時の会社の健康診断では、体力測定も一緒にやり、30代の体力があると判定されました。唯一、肺活量だけが前年の半分しかなかったのが不思議で、いくら一生懸命吹いてもダメでした。
健康診断の最後に医師の問診があり、医師との間で次の会話が交わされました。
「大丈夫ですか。胸のレントゲン写真を見ると、肺に水が溜まっているようですね。通常の肺の形は下部分が尖って写るものですが、あなたの場合は丸くなっています。これは肺に水が溜まっていると考えられます。それで、肺活量が去年の半分くらいになっているのです。その原因はおそらく心臓の不調です」
「えっ、そうですか。少し息苦しいと思っていましたが、そうなっているのですね」
「すぐに病院で精密検査を受けてください。近くの病院を紹介します」
「でも今日は夜に自分が主催の飲み会があって、明日はゴルフの予定です。精密検査は来週でもいいですか」
「何を言っているのです。生死にかかわる問題ですよ。両方とも断って、すぐに精密検査を受けてください」
と強い口調で言われて
「わかりました」
と答えるしかありませんでした。
その後、看護師さんがタクシーを呼んでいただいたので、一緒に近くのA病院に向かいました。看護師さんに同乗していただいたので、少し心強かったです。
病院に着くと緊急の検査が実施されました。
何か機械を付けられ、医師が私の身体に馬乗りになって、
「切れていますね。大丈夫ですか」
切れている? 何が? と思いながら、
「はい、何とか大丈夫です」
と答えると
「心臓の弁を動かす『けんさく』というひもが切れているか、切れかかっていて、弁を動かせないので、心不全を起こして肺に水が溜まっているのです。よく肺のレントゲンの検査で見つけられたと思います。すぐに入院してください」
「えっ、そうですか。でも、ここは家から1時間以上かかります。妻が見舞いに来たりすると思いますので、できたら、堺市南区の泉北ニュータウンの家の近くの病院を紹介してもらえないでしょうか」
「わかりました。調べてみますので少し待ってください」
「確認ですが、今日の夜の飲み会と明日のゴルフは」
「もってのほかです。死にますよ」
「はい、分かりました。中止します」
しばらくして、泉北ニュータウンの自宅から車で10分ほどのところにあるB病院を紹介されて、また、看護師さんと一緒にタクシーでそこに行き、その夜から入院しました。タクシーの中で妻と会社と宴会、ゴルフの関係者に連絡しました。みんな、一様に驚いていました。
妻とはB病院で合流しました。
2か月入院して、最初の3週間は、肺の水を抜くために利尿剤を飲んで、水が抜けるのを待ちました。その後、いろいろな検査を受け、手術にGOサインが出ました。
手術は朝の10時から夜の8時ごろまでかかり、妻と次女が待っていてくれました。集中治療室に白いキャップをかぶって現れた二人はまるで天使のようでした。
本人は全身麻酔で寝ているので全くわからないのですが、大手術だったようです。胸を切り開いて、胸骨を切断し、心臓を露出させ、弁の形成術をするために一旦、心臓を止めます。そして、コロナの時に話題になった人工心肺、エクモを使ったようです。 
術前の説明を聞いた時、
「一旦、心臓を止めて、次に動かなかったら、どうなりますか」
と質問して、
「その時はカリウムを使うことがあります」
と医師はこともなげに言ったのでびっくりしました。
そういうものなんだ、と思いました。全身麻酔というのもリスクがあるようでした。成功確率は83%と言われて、
「えっ、17%も失敗確率があるのだ。自分が開発を担当していた器具の故障率が
17%もあったら超不良品と言われる」
と思いましたが、手術のリスクの考え方は違うようでした。
もし、この手術をしなかったら、半年以内に死んでしまう、と言われていたので、それこそ、  50%の成功確率でも手術を受けるしか選択肢はありませんでした。
とにかく、2か月の入院を経て、無事に退院しましたが、さらに1か月、会社は休んだままで、家でリハビリでした。
リハビリのための毎日の散歩には家内が付き添ってくれましたが、
「結婚して初めてやね。こんなにゆっくりとした日々を過ごすのは」
「そうやね。少しは病気に感謝しなきゃいけないかも」
というやり取りがありました。
切断した胸骨はステンレスの金具で繋がれていて、骨自身がくっ付くのには、半年以上を要するとのことでした。そのため、胸の痛みはしばらく続きました。帰宅当初は、布団から起き上がるのに一人では起き上がれなく、妻の手を借りました。この時のことがあって、妻には一生、頭が上がりません。
1か月のリハビリを経て、会社に復帰しました。
その後、61歳の時に11年前の心臓の手術の時の傷が原因と考えられる、不整脈が見つかり、心房粗動と診断されました。最終的な判断として、当時の最新技術のカテーテルアブレーションという心臓の筋肉を43か所、電流で焼く手術を受けることにしました。身体にあけた穴は足の付け根の2つだけだったので、4日間の入院で済みました。
その後、再就職した会社の健康診断がきっかけで前立腺がんが見つかり、65歳の時に、大学病院で、ロボット手術のダビンチを使っての全摘手術を受けました。こちらは1週間の入院でした。
それ以外にも耳は悪くて、補聴器を入れ、血糖値と尿酸値を下げる薬を飲み、歯科で奥歯が割れているといわれて昨日、インプラント治療を始めました。年に一回の胃カメラと数年に一回の大腸カメラも受けて、今までに数回ポリープを切除しています。
お風呂で鏡を見ると身体には心臓の手術跡、ダビンチの手術跡で数か所の傷があります。 
まるでサイボーグ人間みたいだ、と思っています。
しかし、定期的に血液検査等をして身体をチェックし、元気そのものです。 
週2回の仕事を楽しんでやり、チョコザップで筋トレをし、ゴルフ+インドアゴルフで夏も冬もプレーと練習をしています。
こんな感じで、身体のあちこちに不調がありながら、いわゆるサイボーグ人間は医療技術の進歩のおかげで一病息災、いや多病息災を意識して、力強く生きていきたいと思います。
皆さん、健康診断はしっかり受けましょう。
 
 
 
 
***
 
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2024-06-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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