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大相撲入門~ここを押さえて楽しもう!


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:オオフチ マナミ(ライティング・ゼミ6月コース)

 
 

7月28日日曜日。暑くて、熱い大相撲名古屋場所が終わった。
千秋楽の様々な儀式があって、優勝力士のインタビューが始まる。
「ああ明日からはもう相撲はないんだ」
何とも寂しい気持ちでいっぱいだ。
 

私は大相撲が大好きだ。子供の頃から両親が見ていて、何となく馴染みがあったが、それほど興味があったわけではない。
それが、コロナ禍で家のいることが増え、大相撲を見るようになった。
 

最初は、このお相撲さん、何となく昔付き合っていた男の子に似ているなあと思った。そしてその力士を応援するようになった。応援すれば、彼の勝敗に一喜一憂する。毎日ハラハラドキドキして、その時間が楽しみになった。そして大相撲の魅力にはまっていったのである。
 

本場所は年に5回。奇数月に15日間行われる。
午後3時40分頃、十両の取り組みが終わり、幕内力士の土俵入りが始まる。
先頭の行事さんに続き、力士がひとりずつ、四股名と番付、出身地、所属する部屋を呼ばれて、土俵に上がる。それぞれ特徴のある化粧廻しを着けている。関取のみに許された特権だ。闘志を感じる言葉が描かれているものや、可愛い動物やキャラクターもある。力士本人の好みや、贈呈者の希望が反映されているそうだ。
 

人気力士には大きな拍手や声援が起こる。力士は土俵を取り囲み、お客さんに顔を向けて立つ。
全員が土俵に上がったら、中央の行事さんの方に向き直り、揃って所作を始める。土俵入りは、観客への顔見せ披露のほかに、地の邪気を祓い清めるとう意味が込められている。人数が少なかった昔は、全員が横綱のように四股を踏んでいたが、今は人数が多いので、簡略化され、代りに柏手を打ち、化粧廻しを持ち上げる。両手を高々と上げる最後の所作は、武器を持っていないことを意味している。
相撲は元々豊作を祈る神道行事であったから、それに関連した沢山の伝統や所作があることも魅力のひとつだと感じている。
 

600人の相撲界の力士の中で、ここに上がれるのは、わずか40人ほど。どんなに誇らしいことだろう。
 

そして、横綱の土俵入りだ。相撲の基本の型を演じて、五穀豊穣と安全を祈願する神事だ。側には太刀持ちと露払いの役割を担った同部屋の弟弟子が控える。独特の雰囲気があり、大相撲と横綱の神聖さを感じる時間である。
 

そして、取り組みが始まる。華やかな土俵入りの後は、厳しい勝負の世界。
見ていると、それぞれの力士たちの取組みの特徴や、調子の良し悪し、癖などがわかってくる。
力士の取り組みのタイプは、大きく「突き押し相撲」と「四つ相撲」に分けられる。
「突き押し相撲タイプ」の力士は、押すか突っ張るかをして、相手に廻しを取らせないようにし、土俵の外に出す。
「四つ相撲タイプ」は相手の上手や下手を取って重心を浮かせ、土俵の外に出したり、投げを打ったりする。四つ相撲は、力士によって、それぞれ左右どちらか得意な方があり、それがわかると面白さが増す。
 

凄いのが、「立ち会い」だ。相撲に試合開始の合図はない。両者の呼吸を合わせて始まる。どんな勝負もそうだが、先手を取ることが重要だ。あんなに大きな身体が全力でぶつかりあう。頭同士がぶつかっていくと、「ゴン」と音がしたりする。
そしてさらに驚くのが、最後の「土俵際の攻防」である。ちょっとした隙で、攻めていても逆転されることがある。相撲は、土俵の外に出るか、足の裏以外の身体の一部が地面に付いたら負けだ。力士たちは、勝負を諦めず、身体が倒れかけても、最後まで足を土俵の外に出さない。土俵は66センチの高さがある。高所恐怖症の私は、足を踏み外すだけでも死ぬ思いであるが、力士たちは頭や身体から土俵の外に落ちていくのである。
どれだけ鍛え抜いていることであろうか。
 

日々鍛えている力士たちも、厳しい勝負の世界で、常に怪我と闘っている。幕内に入ることも大変であるが、勝ち続けて、役力士になることはさらに大変だ。そして、役力士になっても、常に勝つことを求められる。負け越したり、怪我をして休場したりすると、すぐにその地位から転落してしまうのだ。
けれど、力士たちはいつも多くを語らない。怪我をして痛いところがあっても、それによって、負けても、決して言い訳しない。それが相撲の美学とされている。
 

そんな世界に生きている力士たちの人となりを知ることで、さらに大相撲は面白くなる。
「叩き上げ」と呼ばれる中学を卒業してすぐに相撲界に入った力士たちがいる一方で、大学相撲で活躍して入ってきた力士や、社会人経験者など様々だ。苦労して、役力士まで上がっても、大きな怪我などで、休場を余儀なくされ、かなり下の番付まで下がり、そこから時間をかけて、再び幕内まで上がってくる力士もいる。お客さんはその背景を知っていて、そんな力士を応援し、暖かい拍手を送る。
 

本場所では厳しい顔をして、勝負に挑んでいる力士であるから、ちょっと笑った顔や優しげな仕草がとても魅力的だ。奥さんたちが美人揃いなのも肯ける。
 

日本文化の一部として、厳しい実力の世界で生きていく力士たち。それに魅せられる人は少なくないようで、本場所は連日「満員御礼」だ。
 

次は9月の秋場所。それぞれの力士たちが、また、どんな熱い勝負を、そしてドラマを見せてくれるのか、楽しみだ。

 
 
 
 
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2024-08-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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