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【注意!】空港は2つある~トラブルが起きたとき~

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記事:しのP(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
その人と結婚するかどうかは、結婚前に一緒に海外旅行をするとよいという。
海外旅行に行けば必ずトラブルがあり、トラブルがあったときにどんな対応をするかで、生涯のパートナーになり得るかどうかを見極め、お互いの価値観を浮き彫りにするからだという。
 
わたしは結婚をしたことがないから、その話が本当かどうかわからない。
でも、海外旅行に行くとトラブルに必ず遭遇するというのは本当だ。
 
もしも「海外旅行トラブル全集」という本があったら、想像もできない刺激的な体験の数々がおさめられているだろう。本日は、そんななかでもささやかな部類に入るだろうけど、でも焦りまくって教訓を得ることができた、そんなわたしの身に起こったトラブルを紹介したい。
 
正確に言うと、それはトラブルというよりは自分の確認不足に端を発するもので、未然に防げたものだ。仮にフィアンセと一緒にいたら、一発でアウトだっただろう……
 
わたしは、とある国へ一人で旅行に行っていた。
その国へのフライトは、直行便もあるけれど、安い運賃につられて、あえて上海で乗り継ぎする中国系航空会社を利用したのだ。
旅行中は順調だったが、帰りのフライトの乗り継ぎ地である上海の航空会社カウンターでこのようなことを告げられた。
 
「日本への接続フライトは、この空港から出発しない」
 
どういうこと……?
 
その時わたしが到着した空港は、上海浦東(プートン)空港という国際空港だ。
いわば日本でいう成田空港のような場所である。
 
しかし、日本への接続フライトは、そこから60キロメートル離れた、上海虹橋(ホンチャオ)空港から出発するという。
日本の羽田空港のようなものだ。
 
虹橋空港へ移動するには、2時間は見ておいたほうがいいだろうと、告げられた。
 
うそでしょ、と予約明細を再確認すると、乗り継ぎフライトの地名にこのように記載がされていた。
 
1便目到着地:PVG SHANGHAI
2便目出発地:SHA SHANGHAI
 
PVGは浦東空港のことで、SHAは虹橋空港のことだ。
 
まーぎーらーわーしー!
気づくかこんなの、ボケっ!
注意書きに書いとけ!
不親切すぎるだろ!
 
その中国系航空会社の不親切さに、恨み節が心の中で爆発したが時すでに遅し。
JAL様かANA様だったら、「到着空港と出発空港が異なるので、お客様ご自身でお乗り継ぎをお願いいたします」の一言くらい、書いてあるだろう。
しかし、今はそんなことを嘆いている暇はない。
 
時刻は午前6時半。日本への接続フライトの出発時間は9時半。
出発時間まで3時間だ。
フライトを変更するという手段もあったかもしれないが、手痛い出費になることはわかりきっていたのでできれば、予定通りのフライトに搭乗したい。
 
3時間あれば何とか虹橋空港へ移動できるだろうか?頭をフル回転させた。
上海では、空港や税関は常に長蛇の列。とにかく待つので、かなりの時間が必要だ。この度でも何度も経験してきて、もう無理だ、という考えが頭をよぎる。
 
そして、その時の状況を説明すると、わたしはないものばかりだった。
 
中国で利用できるインターネットのネットワークを持っていない。
空港のWi-Fiも、スマホの電話番号が使えないから利用できない。
中国人民元が手元にない。
スマホがネットワークにつながらないから、正確な時間もわからない。
中国入国のビザがない。
時間が、ない……
 
まさか上海でこんなことになると思わなかったから、なにも準備していないのだ。
 
詰んだ。
 
そう思ったが、なんとかやれるだけのことをやるしかない。
 
結論からすると、かなり無我夢中でなんとか予定通りのフライトに間に合った。
 
一時入国用の手続きをして、いったん中国に入国し、そこからタクシーで出発空港まで向かったのだ。しかしながら、自分でも笑ってしまうくらい焦っていて、そこで自分の新たな面を発見した。
 
不安すぎて、周りの人に話しかけまくった。
いつもは人に聞く前にまず調べるけど、めちゃめちゃ聞きまくった。
何度も同じことを違う人に、聞きまくった。
乗車したタクシーの運ちゃんに機嫌よく運転してもらえるよう、話に付き合った。
言語が通じないから、全部翻訳アプリを介して話をした。
その運ちゃんには、フライトには間に合わないってさんざん脅されたが、
最後には、Weiboという中国のSNSアカウントまで教えてもらうほど仲良くなった。
釣りはいらねえ!って言って急いでタクシーを降りることを、初めてした。
無事に到着した虹橋空港では、安心して1000円もするコーヒーを贅沢に飲んだ。
 
わたしってこんな面を持っているのね……
普段はクールで、ポーカーフェイスですごしている(と自分では思っている)けれども、焦っている、イライラしている自分がすごくみっともなかったけれども、必死な自分がそこにいた。
 
なによりも一番思い出に残っている。
 
こうしてわたしは無事に日本に到着した。
結果オーライだったけれども、もしあの時、フライトに間に合わなかったらどうしただろうと思う。私が皆さんに伝えたいのは上海に空港は2つあるので気を付けてね、ということ。
そしてもう1つ。
 
それはしっかりとインターネット接続は確保しようということ。
後から調べれば、連絡バスやら電車やらの手段があったらしいし、ほかにもいろいろな情報にアクセスできただろう。でも、ネットワークに接続できなかったからなにもできなかったのだ。旅行先でのSIMカードは準備するけれども、乗継の空港では空港のWi-Fiに接続すればいいやと思っていたらできなくて、こんなに不便に感じるとは、思いもしなかった。
 
振り返れば、このような状態でも、なんとかなった。
 
しかし、もし結婚したいと思う相手とこのような事態に遭遇したら。どんな状況でも乗り切って頼もしいと思うか?または、準備ができない人だと残念に思うか?
 
それは人それぞれ。
トラブルは、人の価値観を浮き彫りにしてくれる。だからきっと、海外旅行はリトマス紙のように役に立つ。
あなたは、どう思うだろうか。
 
 
 
 
***
 
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2024-08-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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