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音楽フェスという薬の効能


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:鈴木(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 

音楽を聴くのが好きだ。
中でも、ライブに行って生の音楽を聴くのが好きだ
ライブにしかない、その瞬間にその場で出るでかい音が好きだ。
音を出しているアーティストから発せられるエネルギーと、それを受け取って全力で返すお客さんの間で生まれる熱が好きだ。
 

ライブの一つとして、音楽フェスやロックフェス、野外フェスというものがある。
すごく単純に言うと、音楽好きの祭りである。
今回は、これらを総称してフェスと言わせていただく。
 

フェスでは、たくさんのアーティストがライブを行う。
年がら年中、北海道から沖縄の、公園からキャンプ場まで、さまざま時期や規模やコンセプトのもと、あらゆるフェスが行われている。
たくさんアーティストが出演する分、ライブをする時間が必要になるので、丸1日行われるものや、テントに泊まって翌日もライブを見られるフェスも少なくない。
宿泊を伴うフェスでは、終日どこかしらで音楽が鳴り続けている。
 

大学生の頃にフェスのボランティアスタッフとして参加して、遠くで響くバンドの音と、お客さんたちの楽しそうな様子に惹かれてから、10年以上フェスに通っている。
そんな私が、なぜこんなにフェスが好きなのかを改めて考えてみた。
 

フェスの好きなところは、やっぱり、いろんなアーティストの音楽を聴けることだ。
フェスでは、紅白で見たことのあるアーティストから、小さなライブハウスを主な活動場所としているアーティストまで、多種多様な人々がライブをする。
 

そこでの一つの楽しみ方として、アーティストが売れていく様子がわかりやすく見られる、ということがある。
「このバンド、このステージでこんなに人を集めて沸かせるバンドになったのか……」
と、まるで昔からのファンであるかのように振る舞うことが出来る。
どういうことかというと、フェスにはたくさんのアーティストが出るので、ステージがいくつか用意されている。
そのステージは、大きさがそれぞれ違うのだ。
紅白に出るような老若男女が知るアーティストは、大きくてお客さんがたくさん入るステージで、遠くの人にまで届くようなライブをする。
知る人ぞ知るアーティストは、小さめのそこそこ人が集まるステージで、目の前の人たちに全力でライブをする。
私は、一番小さいステージで演奏していたバンドが、4年後くらいに一番大きいステージに出ているのを見たことがある。
というか、その前からテレビの歌番組で堂々と歌っている様子を見て「なんだか売れてきたな」とは感じていた。
しかし、毎年行くフェスの一番大きいステージで堂々とギターをかき鳴らす様を見せつけられると、過去に小さいステージでライブをしていた時の景色がどうしても頭に浮かぶ。
そうすると、「このバンド売れたなぁ……。よかった……」としみじみしてしまう。
さらには、「こんな小さいステージでやってたんだよ!」と古くからのファンであるかのように周りに言いふらすこともできる。
 

いろんなアーティストが出ることによる楽しさは、まだまだある。
例えば、
「この時間は見たいアーティストいないけど、ひまだし行ってみようかな」
と軽い気持ちでステージに行ってみたら、まんまとハマってしまうことがあるのだ。
これは、新しい宝物を発見したかのようなときめきを感じられるので、とても良い。
反対に、時間の無駄だったな、と思ってしまうこともなくはない。
それでも、ときめきを知ってしまった音楽好きは、挑戦し続けてしまう。
 

ほかにも、
「友人が好きなアーティストとはいえ、いきなり2時間がっつりライブを楽しめる自信がないな」
という時にも、フェスはぴったりなのである。
一般的に、アーティストが単独でライブを行う場合、公演時間は2時間から3時間程度だろうか。
フェスでのアーティスト一組の持ち時間は、30分から40分程度であることが多い。
この短い時間の中で、アーティストは全力で観客の心と体を掴もうとしてくる。
人気の曲や、みんなで盛り上がれる曲、本気で泣かせに来るバラード、ライブの定番曲などを披露し「この時間で観客全員を自分たちの単独ライブに来させてやるぞ」という、メンバーたちの勢いを感じる。
もしかするとこの勢いというのは、出演者たちが「たくさんアーティストが出るけれど、この中で一番のライブをするのは自分だ」という気持ちで演奏していることで、生じているのかもしれない。
とにかくフェスならではの熱を感じるのだ。
 

さらに熱を感じられる要素がある。
フェスでは、あつあつや冷え冷えの、美味しい物まで食べられるのだ。
1日中ライブをしているのだから、観客も当然、腹が減る。
ほとんどのフェスに飲食のブースがあり、そこの景色はまさにお祭りの屋台のような雰囲気だ。
そしてフェスの中には「このまちに来たからには、うちの美味しい物食べて行ってください!」と、ご当地グルメやご当地アルコールを売る店が、必ず存在する。
それは、ソフトクリームだったり、ラーメンだったり、ビールだったり、日本酒だったりする。
ライブで騒ぎまくった後に汗だくで飲むビールなんて、おいしいに決まっている。
好きな音楽を聞けて、好きなお酒も飲めて、美味しい物を食べられて、こんなことがあっていいのだろうか、といつも思う。
 

フェスが終わった後の喪失感はすさまじい。
まさに夢から覚めたかのような状態だ。
しかし気が付くと、爆音のギターやベースやドラムの音が、耳の中で響いている。
もっと音楽を好きになっている。
帰り道では必ず「来年も行こう」と決心している。
そしてまんまと、翌年もフェスに行ってしまう。
私にとってのフェスは、1年間効く薬なのだ。
 

その薬は、音楽と、お酒と、熱と、夢で出来ている。
 
 
 
 

***

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2024-09-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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