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用法用量を守ってランク外の人と付き合いましょう


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記事:鈴木(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
用法用量を守ってランク外の人と付き合いましょう
 

先日、12年ぶりの友だちに会った。
その翌日、6年ぶりの友だちに会った。
どちらも、大学時代に交流があった人たちだ。
そして、どちらからも同じようなセリフを言われた。
 

それは、
「最近人に会うと、結婚とか子育ての話ばっかりだから、今日はなんか楽しかった」
である。
 

私は、30歳を過ぎて結婚も子育てもしていない。
かといって、仕事を頑張って大儲けしているキャリアウーマンでもない。
(キャリアウーマンはもしかしたら死語かもしれない)
 

私はただ、何をしても続かなくて、それでも何かをしないと生きていけないので、もがき苦しんでいるだけなのだ。
それも、大学を卒業してから12年ももがき苦しんでいたら、なんだかもうどうでもよくなってきて、恥ずかしげもなく久しぶりに友だちに会いたくなってしまうのだから、本当に仕方のない人間である。
 

一般的に、12年ぶりに会った友だちとする会話と言えば、
「えー! 久しぶりー! なんか大人になったね!」
「そっちこそ! 全然変わってないね! 最近どう?」
と、お互いの外面をそれとなく評価してから、近況を探り合うことから始まり、恋愛の話や旦那の話、子どもの話、仕事の話などをしていくのだろうか。
共通言語を探しながら、お互い踏み込みすぎないように用心して、どのランクにいるのかを見定めて、会話を進めていくのだと思う。
相手をほめることを忘れず、自分が優越感に浸ることも欠かさないように。
 

それに対して、私が久しぶりに会った友だちとした会話と言えば、
「久しぶりなのに会ってくれてありがとう。ところで、明日のフェスだけど、初めてだからいろいろ聞きたいことがあってさ」
「いやいや、久しぶりすぎて壺でも売りつけられるのかと思ったよ。そうそう、明日のフェスに来るんだもんね」
「そうだよね。壺は売らないから安心して。そういえば、大学卒業した次の年くらいに壺を売りつけられそうになったことあってさ……」
である。
近況報告なんかより、聞きたいことと話したいことがたくさんある。
 

私にとっては、相手がどのような状態なのかはどうでもいい。
既婚とか、子持ちとか、働いているとか、稼いでいるとか、もう本当にどうでもいい。
私が知りたいのは、今この人が何をおもしろがって生きているのか、ということだ。
子育てをおもしろがっている人、オタク活動をおもしろがっている人、仕事をおもしろがっている人、田舎暮らしをおもしろがっている人など、さまざまな人がいる。
その人が何かをおもしろそうに語っている顔を見て、勝手にエネルギーをもらえるし、この世界にはまだ知らないおもしろいことがあるんだなぁ、と思える。
 

反対に、悩んだり困ったりしていることを聞くのも好きだ。
結婚に踏み切らないパートナーとか、不倫とか、子どもの不登校とか、人生にはその段階ごとに様々な悩みが生じるようで、その時にしか生まれない熱のようなものを感じることが出来る。
私に話したとしても、解決することはほとんどないと思うが……。
 

そもそも、多くの人が「初めまして」や「久しぶり」で人と会う時、相手のプロフィールを把握しようとするのはなぜだろう。
それは、お互いにどのランクにいるのかを確認し合うため、という側面があるのではないだろうか。
 

人は生きていくために、何かしらの社会に所属することになる。
家族、職場、趣味、学校、町内会、ママ友、PTA活動などの、さまざまな社会だ。
そしてそこに新しい人が現れた時には、必ずランク付けが行われる。
仕事ができるかどうか、収入が多いか少ないか、忙しいかどうか、子どもがお利口かどうか、パートナーはかっこいいかどうか、などなど。
それによって、ランキングのどの位置に相手を置いて話すのかを決めるのだと思う。
自分がバカにされないように、偉そうに話しすぎないように、他の人に変な噂を広められないように。
きっとみんなそうやって、それぞれの社会の中で自分のランクを守りながら生活をしている。
 

そんな中で私はまず、結婚も出産も子育てもしていない。
職場を転々としているので、大金を持っているはずもない。
普通の30歳過ぎの大人が所属するであろうどのランキングにも、当てはめられない。
もちろん私の方も、相手に対してランク付けをすることはない。
私はただ、相手が何をおもしろがって生きているのかを知って、自分の人生の栄養にしたいだけだから。
 

きっと普段、友人たちはそれぞれの社会の中で、旦那の愚痴や、子どもの至らなさや、職場への文句を、そのランキングに合わせて話しているのだと思う。
そういうのを抜きにして、旦那の素敵なところや、子どもの可愛さや、職場での頑張りを、素直に感じたことを話せる相手が、いてもいいのではないだろうか。
そういう人が身近にいたら一番いいのだろうけど、自慢のように聞こえるエピソードを話すことで印象が悪くなり、それがランキングに影響するため、なかなか難しいところもあるのかもしれない。
 

そんな時には、ランキングの外側で生きている人に、声をかけてみてはどうだろう。
 

ただし、ランク外で生きている分、一般常識がありませんので、用法用量にはお気をつけください。
それによってなにか不都合が起こっても、自己責任とさせていただきます。

 
 
 
 

***

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2024-09-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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